夢実現研究会2009

団塊世代の生き方を考えよう。

団塊世代のセカンド・ライフプラン:その2

2009-03-23 16:39:14 | Weblog
退職者の今後の生き方のスタンスに対するヒント
日経新聞「サラリーマン インタビュー編」から

堺屋太一氏
●職選びの基準は「有利」よりも「好き」
〇団塊世代が失敗したものとは?
① 子弟教育だった。
② 子供に勇気とか覚悟とか独創といった美徳を教えなかった。
③ 自分で考え選択する気力を与えなかった。
④ 一流の学校を出て、一流の会社に入るのが幸せなんだと。
⑤ 優しさと安易さだけが美徳と教えた。

〇現代のサラリーマンに横たわっている問題とは?
① 近代工業社会で物財の多いことが幸せという時代は20年前に終わり、満足の大きいことが幸せになった。
② 満足とは主観的。
③ 世界中は主観を持ち出しているのに、日本人だけは客観がいいと思いたがっている。
④ サラリーマンとして生きるには自分の意見より会社の意見、職場の意見に従うことが客観につながる。
⑤ 自分で考える必要はないし、選ぶ必要もないので楽なのだ。
⑥ そういう考え方を団塊は次世代に教えた。
⑦ 今の現役の多くは決断と勇気がなく、臆病を慎重と言い換えてしまう。
⑧ この国を上手に再生したり、違った繁栄に導くことができない。
⑨ 根本的な改革を避けている。

〇これからのサラリーマンに求められる気質は何か?
① 戦後のサラリーマンは先憂後楽。
② まず心配して貯蓄して人生を読み切る生活がよいとされたが、これからは健全な楽観主義が必要だ。
③ 人生は予定通りにはいかない。
④ 昔の人は「その時はその時」という覚悟があった。
⑤ 変動が来ても慌てない。
⑥ 覚悟があれば楽観的に生きられる。
⑦ そして「有利」より「好き」を選ぶことを何より大事にして欲しい。
⑧ この職業が有利、例えば医者が有利という選択ではなく、この職業が好きということで選ぶべきだ。
⑨ 仕事がおもしろいということが幸せ。
⑩ 好きは仕事にも暮らしにもある。
⑪ 「好き」を基本に「勇気」と「決断」と「覚悟」の美意識を持ち直そう。

作家山本一力氏
●誇りある生き方、次代伝承の努め
〇誇り高い先輩
① 1966年に近畿日本ツーリストに入社。
② まだ先輩に明治生まれの人がごろごろいた。
③ 気骨があった。
④ 旅行業界では国鉄総裁の石田礼助が尊敬の的だったが、身近にも誇り高い人が多かった。
⑤ 部下に好かれようなんて全く考えない。思いっきり怒られて鍛えられた。

〇世の中全体に、そんなエネルギーが満ちていたのでは?
① なにしろ、大人が輝いていた。
② だから、早く一人前になりたかった。
③ ナンバーワンよりオンリーワンなんて、最近はそんなごまかしを言うようだけど冗談じゃない。
④ おれたちが教えられたのは、やるんならトップを取れ、ということ。
⑤ 実際、直木賞をもらって痛感したが、一等賞と二等賞では超えられない節目がある。
⑥ 少しでも前に進む。何かを超えようとする。それが大人というものだ。
⑦ 日本人の血に脈々と流れる「卯建(うだつ)を上げる」という意識だ。
⑧ 高度成長の最初のころは、それを家族も必死で支えたんだと思う。
⑨ それが、マイホームを持ったはいいが通勤の一時間半もかかる。家がどんどん遠ざかり、抜き難い文化の歪をつくってしまった。
⑩ それがオヤジの存在感喪失につながり、家庭の憲法がなくなった。
⑪ だから、社会や家庭に、規範やわきまえを諭す教育力がなくなった。
⑫ 今こそ、これを取り戻さないといけない。

〇団塊の世代には、そうした役割も求められているのかもしれない。
① 人は生きていく上で、社会に何を還元できるのか、何で寄与するのかが一番問われる。
② リタイアする団塊もいろんな能力やノウハウを蓄積している以上、社会へもう一度何か残せるはず。
③ 本気になって農業に取り組んで「我々の手で食糧自給率を5%上げる」なんていう目標もあってもいい。
④ 年金問題がかまびすしいが、年金は所詮、捨扶持なんだ。
⑤ 団塊消費ブームだって単にカネを使うだけの話。
⑥ これでは、おれたちの世代は誇りを失っていく。
⑦ 我々は先輩たちに教えられたことを断線させず、次代に伝承していく努めがあると思っている。
⑧ 年齢というボーダーに捉われることはない。



「会社人間」を辞めた後
●企業での常識は通じない。
〇あるボランティア団体でのトラブル
① 桜並木の維持・管理をするボランティア団体「上北沢桜並木会議」の立ち上げ準備に追われていた年の春。
② Sさんは自宅のPCの電子メールに凍りついた。激しく攻撃する内容だった。
③ それをきっかけに喧嘩のようなメールの応酬。
④ 和解はできず、精神的な疲労だけが残った。以後、メンバーとは会いたくなくなった。

〇何がトラブルの原因だったか?
① 何でこのようなトラブルに陥ったのか、自分に直せるところはあるのか、を自問する日が続いた。
② 導き出した結論は、
③ メールの送り主は数ヶ月前に初めて出会った地元をよく知るメンバー。
④ 翻って自分は大手電機メーカーの海外駐在員として退社したばかり。
⑤ 地域の実態をろくに知らないで自分が、準備会合で、社会人として大学院で学んだ専門用語を駆使して地域通貨の導入計画などを提案した。
⑥ これには、相手は面白くなかったに違いない。
⑦ 知識をひけらかして主導権を握ろうと思われるのも無理はなかった。
⑧ いわゆる、「地域デビュー」を前に、無意識のうちに肩に力が入ったのだろう。

〇元サラリーマンの犯しがちな過ち
① サラリーマン時代の癖で、会議ではどんなことでも提案するのが美徳だと思い込んでいたのが間違いだった。
② 会社の常識が通じない点がもう一つ。
③ メールでの意思疎通を過信していたのだ。
④ メール一本で社員同士が分かり合えるのは、長年同じ社で働いた蓄積や共通の目標や問題意識があるからこそ。
⑤ 互いを知らないままのメールのやり取りでは、むしろ誤解を招きやすいと気付いた。

〇苦労の果て、辿り着いた結論
① 実行の段階まで自ら責任を持てる計画だけを提案し、仲間とはメールだけでなく、必ず会って意思の伝達をする。
② 上っ面の言葉ではなく、行動で会に貢献する。
③ ボランティア活動では、これは常識。

シニア社員への期待「的確な助言」45%
〇職場での「賢い共存」
① 定年の60歳を過ぎても、再雇用などで同じ企業で働き続ける「シニア社員」が増えている。
② 65歳までの雇用延長を定めた改正高年齢者雇用安定法が一昨年の春、施行されたためで、今春は団塊世代の第二波、1948年生まれがシニア社員入りする。
③ 職場では彼らと現役組との「賢い共存」が一つの課題になる。

〇現役世代はシニア社員に何を期待するか?
① トップは、「仕事への的確な助言」が45%。
② 次が、「技能伝承」で40%。
③ ただし、助言と言っても簡単ではない。
④ シニア社員には助言のつもりでも、実は意見の押し付けだったり、自己の経験の絶対化だったりということが往々にしてある。

〇これはごめんというタイプ
① 「過去の権威(元部長、元課長など)をひけらかす」が68%と突出。
② 続いて、「自慢話が多い」が54%。
③ ゆえに、「謙虚にさりげなく助言する力量」がシニア側に問われる。

〇シニア社員との付き合い方で戸惑いそうなことは何?
① 第一位が「仕事で意見が食い違った時の対応」が48%
② 率直に意見を戦わせていいのかどうか、相手が先輩だけに現役世代は悩む。
③ 指示・命令も出しにくい様子が伝わってくる。

〇シニア社員は、どのような存在か?
① 経験を積み、企業社会の酸いも甘いも知る人々だ。
② だからこそ、現場や管理職の独断、暴走を防ぐ冷静なブレーキ役も果たしうるはず。

〇参考になる意見
① 一歩、外から職場を見るような感覚でいて。
② おおらかに支える存在であって欲しい。
③ 無理に溶け込まず淡々とマイペースを貫くぐらいがいいのかも。

読売新聞:団塊力新時代から
〇団塊お荷物論
① 団塊お荷物論が出てきている。
② 巨大な人口の塊が、支える側から支えられる側に回ることによって生じる負の圧力に、社会保障をはじめとする諸制度が、あるいは社会そのものが耐え切れなくなるからだという。
③ 果たしてそうなのだろうか?
④ 戦後が完全に過去のものになり、成長より持続性が重視される時代になっても、また、時代のキーワードが競争から協力へと変わっても、競争時代の申し子たちは輝きを失っていない。
⑤ それは、団塊世代による競争の本質が、実は創造性にあるからだといわれる。超高齢化時代の主役は、今後、次々に高齢者の仲間入りをする団塊の世代である。新しい時代を切り開くのは、団塊世代のお家芸である。

〇募る不安
① とはいうものの、いずれはそうなると、かなり以前から分かっていたのに、実際に、その時がきてみると、改めて十分な対策を打ってこなかったことに気付き、この先どうなるのだろうと不安が募る。
② その上、不透明な時代に突入する。つまり世界に類例のないスピードで進むわが国の高齢化、少子化の問題だ。
③ 高齢化の、その時とは、2007年である。1947年から49年のベビーブームの時に生まれた団塊世代が、ついに60歳の定年に達し、大量退職が始まった。この塊は実に、680万人に及ぶ。前後の世代より約4割も多く、人口の5%強を占めている。
④ 少子化の、その時とは、2005年だ。出生率の低下に伴い、総人口が戦後初めて前年を下回った。予測によると、2015年頃までは減少幅はまだ少ないが、それ以降は加速がついたように減り続け、鳥取県の人口に相当する60万人程度の人口が毎年、減り続けていく。

〇人口ボーナスと人口オーナス
① 人口変動と経済成長との関係を表す「人口ボーナス」という言葉がある。
② どの国も、近代化に伴い多産多死から少産少死へと移り、扶養される高齢者、子供の合計人数に比べ、それを扶養する生産年齢人口が一時的に増加する。それが経済成長を支える要因の一つになるから「人口ボーナス」と呼ばれる。団塊世代がその中核であった。
③ しかし、時が移り、この関係が逆転する。支えていた者が、扶養される側に回ると、一転して、団塊世代は「成長の重荷」となる。これを「人口オーナス(重荷)」という。
④ こうした人口構造の変化から懸念されるのは、経済成長への悪影響だけではない。社会保障、たとえば年金制度も危惧されている。65歳以上の人一人を支える現役世代の人口は、2000年時点では3.6人だが、2025年には2.0人、そして2050年には1.3人となると推計されている。理論的に、現在の若者は年金をもらえる可能性はない。医療や介護制度も同じ状況だ。

〇課題はたくさんある。
① 世代を超えて支え合う仕組みをどう構築するか?
② 少子化に歯止めをどのようにかけるか?
③ 小さな視点では、団塊世代は、第二の人生をどう構築していくのか?

〇論点が拡散してしまうので、団塊世代のみを対象に考えていく。
① 一般に、団塊世代は、意欲と能力のある人たちで溢れている、と言われている。
② 国や自治体、企業は、うまく後押しすれば、その力を十分に発揮できる。
③ 一方、団塊世代の退職金は約50兆円にものぼるという。シニア市場は、今後、一気に膨張する。企業には新たなビジネスチャンスが生まれる。
④ 今こそ、「団塊力」を示す時である。仕事であれ、ボランティア活動であれ、趣味であれ、まずは思い切って踏み出すことが大事だ。
⑤ 変化の時代こそ、挑戦の時代だ。多くの分野で確固不動と思われていた旧来の制度や慣行、考え方が大きく揺らぎ、希望の実現に向かって挑戦しやすい時代の環境が整いつつある。

○ 挑戦、人生第二幕
① 50代を人生のピークと考えるのではなく、もう一花咲かせたいと思うのが団塊世代。退職後に新しい文化を創ろうとしている。
② 団塊世代は日本経済の成長に貢献し、その崩壊も経験した。退職後は、経済成長という価値観とは別の、新たに打ち込める「何か」を探している。
③ 団塊世代は何をするにせよ、学習意欲が旺盛だ。また、自分が学ぶだけでなく、蓄えた知識や技術を後輩に教えることに情熱を燃やす。
④ 強い健康維持志向。第二の人生を有意義に過ごすためには、健康と長寿が欠かせない。博報堂の調査によると、定年後の生活の中で最も不安なことは、「健康にかかわる問題」だった。第二位が経済的な問題だった。

○ 退職金、50兆円はどこへ
① 第一生命経済研究所の推計では、2007年から3年間に団塊世代が受け取る退職金総額は約50兆円。
② 金融界が想定する団塊世代の投資家像は、自分の経験、知識、資産を駆使して投資を楽しむ「成熟したオトナの投資家」。預金、投資信託、株式、外貨、保険と幅広い選択肢からベストの金融商品を選ぶ目を持つ、利回りのためなら、ある程度の冒険もいとわない、というイメージ。

○ 新団塊ライフ・識者に聞く
① 堺屋太一:私自身、人生を振り返ると60代が一番良かった。役人時代は嫌な人とも付き合い、好きでもないことに無駄な時間やお金を使った。好きなことをして、お金も時間も倹約して豊かな生活を送れるようになったのは60代からだ。なぜなら「職縁社会」を飛び出したからだ。それに気付いた人が幸せになる。これからは、好みの縁による「好縁社会」になるので、本当の黄金時代になる。
② 落合恵子:役割から解放され、自分色に輝こう。
③ 清家篤:生涯現役社会実現の先導役に。「問」60歳代で再就職する場合の心構えは?「答」過去の栄光は忘れろ、という人もいるが、私はそうは思わない。技能、経験、知識と、それによる自信が仕事をする上で重要だ。肩書きは意味がないが、実績には自信を持てばいい。ただ、能力に見合った給料で働くことになる。退職前の給料では企業は雇えない。今までの給料が高すぎた、と割り切るべきだ。「問」60代には、どのような活躍の場があるか?「答」人脈は時間をかけて蓄積するものだ。問題解決のために、誰の知恵を借りるべきか知っていることが高齢者の利点だ。再就職する場合、培った能力を生かせる、退職前と同じ仕事を選ぶといい。「問」団塊世代に期待することは?「答」団塊世代が生涯現役社会の実現の先導役になって欲しい。団塊世代は恵まれたサラリーマン人生を送ってきた。経験や技能を蓄積してきた。それらを次世代に伝えるために活躍して欲しい。
④ 加藤仁:NPO拠点に地域貢献。「問」これまでの定年退職者と違う点は?「答」パソコン操作を苦手としない人が多い。インターネットを活用すれば、何かをしようと、仲間を募るときも集めやすい。「問」退職後に、どんな活動をするだろうか?「答」退職者にとって、溜まり場となり、活動拠点となるNPO法人が増えると思う。定年退職者は帰属や所属など、自分を証明するものを求めている。団塊世代は、企業の中で、十分な人材教育を受けた。身に着けた能力で、地域に役立つものがある。「問」自然や農業への関心も高いようだが?「答」団塊世代はこれまで様々な競争をしてきた。だから、競争のない世界で、自分なりに人生を仕切りなおしたい、という思いが潜在的にある。農業は自分の裁量や能力の範囲でできる。また、本屋のないような田舎へは行きたくない、という都会人もいるが、ネットで対応できる。


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