真の動物福祉牧場を目指して

山賊の巣窟へ

 ネパールの山岳地帯には道路も電気も無く、政府の支配が及ばない地域がけっこうあります。
 その中には「最後の秘境」とされたムスタン王国も含まれ、ここには最近ようやく外国人が入れる様になりました。

“禁断の王国”の未来

外部の人間が立ち入れなかったかつての王国が世界に向かって門戸を開きつつある。


 秀祥のパーティもムスタン王国を目指しますが、そこへ辿り着くまでには無法地帯の「山賊の巣窟」を通らなければなりません。
 また、そうした無法地帯にも病人は沢山いるので、彼等を放って素通りするワケにも行きません。

 秀祥のパーティは3人だけとし、それはなるべく少人数の方が、食糧や宿の負担が少なく山旅はし易いからです。
 山道を進んで行く時は、ユパが先回りして安全を確かめてから、合図で秀祥とミトに知らせる方法を取ります。

 ユパはしばしば山賊と出くわしますが、パーティは医療ボランティアなので襲ってはいけないと説得します。
 ユパの必死の訴えとミトの貫禄により、山賊も道を開けて秀祥を巣窟の村に通します。
 
 そこには当然、盲腸炎や結核、梅毒や籟(らい)で苦しむ患者が居り、それらの感染症には抗生物質が達効を発揮します。
 死病に取り憑かれて絶望していた患者は希望を得て、それは秀祥の眩い笑顔と共に与えられます。

 村人は彼女に感謝し、山賊達もチベット仏教に帰依して、トゥルクは山岳地帯に平和をもたらして行きます。
 
 
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