真の動物福祉牧場を目指して

獏の食べ残し

作家の使命は、まだ誰も書いていない「獏の食べ残し」を描き出すコトだと、中島らもは言っていました。
因みに獏は悪夢を食べてくれる有り難い神獣とされ、その食べ残しを料理して皆に饗するのが作家の仕事と言うコトでしょう。
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私の知る限り、チベットの絶滅収容所に消えた17万3千2百2十1人の命は「獏の食べ残し」となっており、「悪夢」は料理されずに腐敗している感すらあります。

犠牲者の数が正確に出ているのは、人一人が無実の罪(有罪で処刑は他に15万人)によって消されたコトが、どれだけ周りの人々に憤りを与えたかを示しており、人は誰もが「永久欠番」(中島みゆき)だと言うコトでしょう。

一方、600万人が消されたポーランドの絶滅収容所については多くの作品が書かれており、それら「獏の食べた夢」の中で一番人気を博しているのは漫画のようです。

田口ランディも「パピヨン」で、この絶滅収容所の悪夢を料理しようとしています。
それは、「死の第一人者」キューブラー-ロス(女医)が二十歳で終戦直後の絶滅収容所を回った時に見た、壁に子ども達が小石で刻んだダイイングメッセージの「蝶」を追う物語で、既に風化し残っていない蝶を描き出そうとしています。

しかし、日本人にユダヤ人のホロコーストを描くのは限界があり、それは現地の関係者や「生存者」ですら難しいと認めています。
それは膨大な犠牲者の命が、想像で描くのに気後れを感じさせるほど重たいからで、恐らくこのテーマで最も優れている映画「ホロコースト」でも、決定的な「死ぬ瞬間」(ロス)までは描けていません。

もう1つ映画を挙げますと、絶滅収容所までは描いていませんが、ユダヤ人の迫害と逃避を描いた「戦場のピアニスト」も実に優れています。
ここでは今のウクライナの様に、侵略して来る外国に対して戦い廃墟と化したワルシャワで、奇蹟的に生き残った実在のユダヤ人ピアニストを描いており、その「妙なる命」がとても力強い光を放っています。

絶滅収容所の本を挙げるならば「マーシャの日記」が一番生々しく、奇蹟的に生き残った少女の証言には感銘を受けますが、彼女が見れたコトには限りがあり、消されて行った多くの命は描けておりません。

ドイツでは絶滅収容所の存在を隠蔽したり、その生存者の証言を否定するコトは罪に問われますが、中国では反対にそれを明るみに出そうとすると捕まってしまいます。
中国共産党は絶滅収容所の存在を外国に対して完全に隠蔽しており、生存者は党の犬になるコトで生き延びたので、口を閉ざしてしまっています。

しかし僅かですがヒマラヤを越えられた生存者が「雪の下の炎」等の本を書いており、党はその証言を全力で否定しています。
そうした党の「罪」に屈しないよう、力強い「獏の夢」を描き出して、悪夢をみんなで消化する必要があると思います。






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