真の動物福祉牧場を目指して

71. 「同胞」(はらから)

「同胞」は農村と都会の絆を描いた山田洋次監督の名作です。

ストーリーは都会で食い詰めた劇団が、農村を公演して周り、暖かい声援の中で成長して行く物語です。

物語の舞台はずっと農村で、劇団を受け入れる「青年団」の団長(寺尾聰 酪農家)が主役です。

この時代の酪農家は、貿易自由化の煽りを食って虐げられた存在に成っており、休み無しで働いても全く儲からず、「酪農家の嫁にだけは行くな」と言われた時代でした。

そんな彼の元に劇団を代表する女性(倍賞千恵子)が訪れて、劇団の受け入れと集客を頼みます。
これには初め青年団で反対が優勢を占めますが、団長が「失敗したら牛を売って穴埋めする」と言ったコトでひっくり返ります。 このシーンはとても感動的なので、ぜひ観てみて下さい。

映画では劇団員と農民の交流は「劇中劇」の形で描かれますが、青年団メンバーの間では倍賞千恵子を巡ってつばぜり合いが起き、寺尾聰がそれを収める役割を果たします...

農村、特に酪農地帯での嫁不足は深刻な状況です。 なので、都会では出会いが得難いと思う方はぜひ農村にいらして下さい。
今では酪農家の収入も国からの補助によって安定しており、技能実習生(ベトナム人が主)を雇って長期休暇を取るコトも出来ます。

しかし、技能実習生は中間業者にかなりの額を取られ、日本人の雇用にも貢献しないので、私的には日本の障害者を雇いたいと思っています。

「障害者」と一口に言っても様々で、聴覚障害による情緒不安定さえ克服すれば、健常者と知的レベルで変わりの無い「自閉症」の人達も居ります。

他にも事務仕事で同等の力を発揮する「半身不随」の人達や、触覚と嗅覚と聴覚で健常者を遥かに上回る視覚障害者も、牧場の仕事では役に立てると思います。

実際に彼等は「EMボカシ」作りにおいて特別な才能を発揮しており、微生物達とコミュニケーションをとる能力では健常者を上回るかと思います。

こうした「同胞」と、仕事で接点を持てたコトはとても有り難い経験で、色んな「はらから」と手を取り合うコトで、「愛国心」は育つかと思います。

最後にちょっと「捻り」を加えますと、前回少し触れた「闇の左手」などの非常に文学的な「宇宙オデッセイ」を読むと、地球人がみんな「はらから」に思える様になります。

「闇の左手」で描かれる異星人はみんな両性具有で、特殊な精神文明を発展させていますが、科学技術は未開レベルで迷信に捕らわれています。
そんな星に地球から単身で使者としてやって来た主人公は、黒人として描かれていますが間違いなく「はらから」だと感じられます。

他の星に到達するほど進化した人類は非常に開明的で、こうした優れた未来SFを読むと、地球人同士で戦争するなんて、全くナンセンスだと思える様に成ります。





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