夫婦。親子。友達。
個である一人一人は言葉という伝達手段によって
それぞれが他人との関係を築いています。
バベルの塔の崩壊によって人類が共通の言語を
失った様に、この映画に登場する人物たちは
みな言葉によるコミュニケーションを奪われた
状況にあります。
共通言語を失ってしまった時、人びとは目に飛び込んでくる
情報でしかものごとを判断をしなくなってしまいます。
それが差別や偏見なのかもしれません。
言葉が通じないことによるもどかしさと恐怖。
あるいは愛情や感情のすれ違い。
この映画では聴覚障害者の女子高生や、
言葉が通じない他人種との交わりを通して
それを感じることができます。
バベルの塔崩壊の行から導かれたストーリーや、
それを想起させる都心の高層マンション。
猥雑なメキシコの風景と渋谷の混沌とした街並。
映像と音楽の洪水がこちらを煽る様に刺激してくるのですが、
しかしこの映画が一体何を言おうとしているのか、
正直なところ最後までよくわからなかったです。
それは鑑賞者が各々感じればいいとでも言いたいのかな。
それにしたってもう少しヒントが欲しかったです。
最後は消化不良だったな。