STUDIO+U

日々、クリエイティブに。

最後の一日

2006-02-28 | 日常


本日で今の会社最後の日。
送別会は表に繰り出さず、酒やらつまみやらを買い込んで
社内で行われる。

いつも寡黙だった支社長は、常に自分がどうあるべきか
を考えなさいと熱く語ってくれた。

一ヶ月前に提出した退職願を、もう少し考えなさいと
預かってくれていて、それでも辞めて新たな一歩を
踏み出そうとするボクを誰よりも心配し、
誰よりも応援してくれたのもこの人だ。

実は同じ大学だった下ネタ大好きな体育会系の先輩は、
早くカノジョ作れ、早く結婚しろと、浅黒い顔で
目を真っ赤に潤ませて追い出してくれた。

涙の一粒も見せやしない隣のデスクの彼女とは
完璧にフラれて終わってしまったけれど、
池袋で朝日を眺めたのも、今日のランチにこっそりワインを
飲んで送別会を前倒ししたのも二人だけの秘密だ。

短期間だったけれど、思い入れのある職場ってあるもんだ。
1年前、設計事務所を退職して疲労と空虚感で絶望的な
気分になっていたけれど、何かの縁でこの会社に入って
この仲間たちと出会った。

だからここでまた違う場所へ旅立とうとするのも、
こうしなさいという何か運命的な力が働いたからなんだろう。
そう思いたい。

明日から少しのんびりと旅に出る。
少しの充電の後、新しい職場が待っている。


♪Heavy Rotation♪
「終わりなき旅」/Mr.Children

「好きだ、」観てきました。

2006-02-27 | 映画


ボクはこの監督の間の表現がとても好きです。
とにかく時間の撮り方が上手い監督さんだなぁと
感心しきりでした。

ひたすら沈黙が続くシーンでさえも
周囲の鳥のさえずり、川のせせらぎ、都会の喧噪が
時間の流れを引き立たせて、二人の間に流れる静寂な
時間を際立たせています。

それからなんと言っても空の撮り方。
時間の流れ、季節の流れ、時に人の感情を切り取る空。
様々な表情の空が絶妙なタイミングで挿入されます。

そして宮崎あおいの演技が良い。泣きたくなる様な
「好き」の気持ちを、ほんの瞬間の顔の歪みだけで
表現する。それだけで彼女の気持ちがストレートに
痛いくらいに伝わってくる。

すべてのシーンが瞬間瞬間の写真みたいな映像で
表現されています。その独特の世界に浸るだけでも...
オススメです。

~公式サイト~
「su-ki-da ,」

旅立つ準備

2006-02-26 | 日常


日曜日。横浜は一日雨降り。
すっかり出かける気を無くしてしまって、
仕方なく3月から出発する旅の準備を始めることにした。

2月最後の日はボクの送別会があって
きっと終電間際まで騒ぐかもしれないから、
明くる日の早朝便に乗り遅れない様に
準備だけ万端にしておこうと思う。

本当は楽しい旅行準備のはずなのに、
頭の中では会社を離れてしまう不安と
すぐに新しい会社で緊張を強いられる不安。

楽しい仲間達とお別れしなければいけないこと。
そして一番大切な同僚の近くにいられなく
なってしまうこと...

様々な想いがぐるぐる巡って
ちっともはかどらない。

とにかく飛び出すしかない。
そして飛び込むしかない。
見送ってくれる人たちと
新しく出迎えてくれる人たちに
迷いは見せられない。


♪Heavy Rotation♪
「You've Got A Friend」/Carole King

「沖で待つ」読みました。

2006-02-25 | 読書

「沖で待つ」/絲山 秋子 著

毎年芥川賞は文藝春秋恒例の全文掲載で読むことに
していますが、”すべての働くひとに”という帯の
コピーに妙にひかれて思わず手にしてしまいました。

素直な感想は、これといった感動も印象も残らなかった
というのが最も適当だと思います。

著者自身の会社員時代のエピソードを思わせる内容
なのですが、こういった思い出話はその人自身にとっては
ドラマティックであっても、周囲が共感するには
難しいものがあると思います。

読み手がどう捉えるか?に託すのは、作品として世に発表
してお金で買ってもらうことを考えると、
いかがなものかなと...

もういっこ収録されていた短編モノ「勤労感謝の日」が
小説としては妙に印象に残りました。

ちなみに去年の芥川賞の感想は以下のバックナンバーを。


~バックナンバー~
■050220:::「グランド・フィナーレ/阿部和重 著」

「ホテル・ルワンダ」観てきました。

2006-02-25 | 映画


民族間の対立と大虐殺。これら真実を素直に映像化すれば
恐らく目を背けたくなる様な内容になっていたことでしょう。
テーマを聞いたとき、そういう内容の作品だと思っていました。

しかしこの映画は、感情的な表現をできるだけ抑えて、
冷静に「実際に行われていたこと」を伝えていました。

コネと賄賂を駆使して1000人以上の避難民たちを守る主人公。
そこには美しい愛国心なんかよりも、なりふり構わず仲間を家族を
守ろうとした一人の男の真実がありました。

同じアフリカンであるのに、互いにいがみ合う二つの民族。
この対立は私には一生理解できないかもしれません。
殺されないために逃げ続けることが戦うことになっているという
現実に、自らも追われる様な緊張感がありました。

どうして”アフリカ合衆国”になれないのか?
どうしてイギリスの様に王国同士が結束できないのか?
繰り返されるメッセージが強く残ります。

退職願

2006-02-24 | 日常
退職願がようやく受理された。
希望通り2月いっぱいだ。

「逃げるみたいに去るんだね」
「残り数日死ぬほど働いてもらうから」
とからかい半分に言ったあの人の言葉は、
あの人なりに寂しさを隠しているのだろう。

3月の頭から実は八重山の離島へ行く。
チケットも一泊目の宿も予約済みだ。

「また島へ行くの?」
と言ったあの人の言葉は、今度は本当に
あきれているのだと思う。

残り数日を大切に過ごさなければ。


♪Heavy Rotation♪
「さよならありがと」/一青 窈

よくわからないけれど...

2006-02-20 | 日常


トリノは北欧のどっかだと信じていたくらい
最近TVを観ていなかった。

なにがどうなると勝ちなのか何なのかよくわからない
けれど、なんだか数ミリのテクニックが勝敗を左右する
ことは確からしい。

カーリングですよ、カーリング!
変な時間に目が覚めてTVをつけたら
すっかりハマってしまいました。

しかもなかなかどうして皆さんお美しい。
氷上の気温と緊張感。勝利を勝ち取った時の笑顔。

遅ればせながら隠れファンです。


♪Heavy Rotation♪
「外は寒いから」/東京60WATTS

「ニライカナイからの手紙」観ました。

2006-02-19 | 映画


去年沖縄の映画館で一回目、東京で二回目、
横浜で三回目...
そして今回DVDにて四回目の鑑賞です。

もう何度観たって同じ所で涙が出ます。
それからまた竹富島へ行きたくなります。
”沖縄病”患者にはたまらない作品です。

というわけで今回は感想は割愛させていただきます。


~バックナンバー~
■050612:::「ニライカナイからの手紙」観てきました。

「マイ・アーキテクト」観てきました。

2006-02-18 | 映画


建築家の巨匠「ルイス・カーン」を題材にした映画。
彼の実子であるナサニエル・カーンが父の作品を巡礼し、
父の建築家としての生き方、人間関係を紐解いていきます。

私はカーンの作品を訪れたこともないし、特別ファンでも
ないのですが、彼の素材に対する慎重さや、光を自在に操る
ディテールの巧さにはものすごいエネルギーを感じます。

映画として楽しめるかというと、他のドキュメンタリータッチの
作品に比べれば物足りなさを感じぜざるを得ません。
これは建築大好き人間のためのカーンの作品ガイドなのです。

しかし巨大なスクリーンに映し出されるカーンの作品は
さすがに迫力がある。これを体験するだけでもぜひ
映画館へ足を運んでいただきたいのです。

~バックナンバー~
■060102:::カーンの映画がいよいよ上陸

~公式サイト~
「マイ・アーキテクト/ルイス・カーンを探して」

池袋三丁目の朝日

2006-02-15 | 日常


バレンタインデーにもらったチョコのお返しに
ちょっと美味しいものを食べに行ったら、
大酒飲みの相手のペースに巻き込まれて
30代男女しゃべり場と化してしまった(笑)

会社の現状とか将来の不安とか
どうにもならない恋愛や一瞬の失恋を
お互い涙でずるずるになりながら語り合った。

どうやら色んな本音を相当我慢していたらしい。
どうにもならない想いを吐き出したかったらしい。
つっかえていた気持ちをはぐらかさず、おちゃらけずに
ぶつける場所を必要としていたらしい。

朝日が差し込み始めた明治通りを、早朝出勤の人々に
白い目で見られながら大逆走。

なんだかわからないけれど、
まだまだがんばってるなと思った。
捨てたもんじゃないなと思った。

ここ数ヶ月の悩みがゆっくりと溶けて流れ出した。
そこはまだ空っぽだけれど、新しいモノを受け入れる
ためのスペースはできた。

もうあと少しで1日が始まりますね。
もうあと少ししか一緒にいられないけれど、
精一杯働きましょ!

ずる休み

2006-02-10 | 日常


社会人になって初めてずる休みをしてしまった。

ずーっと悩んでいた転職の話を受け入れることを
お世話してくれていたMさんに告げる。
上司には夜に突然辞めることを伝える。

今日には皆に伝わるんだろう。
それを考えると申し訳ない気持ちでいっぱいになり、
山手線をどうしても降りることができなくて、
何個か通り過ぎた駅から電話。

一番出て欲しくなかった隣のデスクの人に風邪だと
ウソをついてしまった。
彼女はしきりに自分のせいではないかと気にしていた。
ごめんなさい。

カフェで遅めの朝食。たっぷりの読書。たっぷりの映画。
けれどもなんにも頭に入ってこなかった。

夜中にこっそりと開いた携帯には仲間からのたくさんの
お見舞いメッセージが届いていた。
暗闇に灯った明かりがたちまちぼやけてしまった。

週が明けたらやはり自分で伝えなければ。

横浜港大さん橋国際客船ターミナル

2006-02-04 | 建築


横浜で一番好きな場所を案内するとすれば、
間違いなくここをオススメするでしょうね。
いわずと知れた「横浜港大さん橋」です。

関内の中心地区からまっすぐに歩いて行くと、
なだらかな斜面に沿っていつのまにか屋上庭園へと導かれます。
ウッドデッキの足下の感触と、うねる大地。海からの強い風。
日除けだかなんだかわからない不思議な物体・・・。

もう何度も訪れている場所なのに、訪れるたびに新鮮な驚きを
与えてくれるし、初めて見た時の衝撃的な体験は色あせることなく
記憶に焼き付いているのです。



機能的な建築かと聞かれるとかなり問題は多いと思います。
斜面は勾配がきつすぎて車いす利用者は一人で行動できないし、
ウッドデッキのささくれも気になる。内部施設の未使用時間の
利用方法も公共施設して有効活用されているとは言いがたい。

しかしやはり屋上部分のパブリックスペースとしての素晴らしさが
多少の不便さを帳消しにしてくれます。ここを訪れている人たちの
思い思いの過ごし方を見ればよくわかります。



そしてここから眺めるみなとみらい地区は素晴らしいです。
ここを起点に赤レンガ倉庫、汽車道とたどってゆくと、
歴史と発展が共存した横浜の文化の醸成を感じることができます。


■横浜港大さん橋国際客船ターミナル
所在地:神奈川県横浜市中区海岸通
設計:foa
敷地面積:34,293.00m2
建築面積:27,270.35m2
延床面積:34,732.12m2

ため息のでる日々。

2006-02-02 | 日常
以前書いた引き抜きの続きの話。

昨日再びMさんから電話がある。
来週社長に会ってみて欲しいという。
そろそろ決断を迫られている。

穏やかな日々に身を任せるのはとても心地良いのだけれど、
ふと独りになって冷静に現実を見つめると果てしない孤独に
襲われたりする。

「何かを捨てなければ新しいものは得られない」
という言葉を言い当てた人間を恨みたい。

自分は果たして今の環境を捨ててまで新しいものを得たいのか
わからないんだ。大体一体何を得たいのかわからないんだ。
やりがいなのか安定なのかお金なのか恋人なのか...

気持ちを傾けてみるが、皆で笑い合ったり励まし合ったり
素敵なあの人とうまく話せたりした日はとてもつらい。

皆を置いて行かなければいけないのか?
今の環境から自分がいなくなるのが想像できない。