「藤森建築と路上観察
第10回ヴェネチア・ビエンナーレ建築展帰国展」
at 東京オペラシティアートギャラリー
建築家と一言で言っても色んな仕事があります。
藤森照信氏はどちらかというと建築史研究家としての
イメージが強いようだけど、実は実作もたくさんあるんです。
その作風は誰にも似ていなくて、氏自身が”素人”と仰るように
技術的な下積みがないからこそできたであろう独創的な建築を
創られています。
外壁からたんぽぽが生えていたり、屋根の全面にニラが植わっていたりと
屋上緑化という言葉がまだ流行り出す前から、自然と共生するような
建築を生み出していました。
こういう発想って別に新しいわけではなく、はるか昔、
人々が竪穴式住居と呼ばれる所に住んでいた頃に屋根を植物で
覆うことによってすでに蓄熱断熱効果を発見していたのです。
技術や材料が進化していくなか、切り捨てられてきた自然素材や
その地域に残る伝統的な工法もたくさんあって、そこに学ぶべきものは
たくさんある。
そんな素材や工法をどのように現在の建築に生かしているかを
体感できる展覧会でした。
手で触れることはできないものの、実物大のスケールでの展示や
材料のモックアップは土や草の香りもして、妙な懐かしさと
現代には無い斬新さを同時に感じることができました。
藤森氏と行く建築ツアーがあったようですが、残念ながら
定員オーバーで参加できず。
まだ実作を体験したことがないのでぜひ行ってみたいなー。