2日目、7時起床。
朝食はスクランブルエッグにベーコン、ソーセージ等典型的なホテルの朝食。
なかなかいいホテルだったのに寝るために泊まっただけのようで残念。
今日の夜にはポルトへ移動してる。なかなか慌ただしい旅だ。
天気予報では雨だと報じられていたのに陽射しが強くいい天気だった。
ロッシオ広場から路面電車でジェロニモス修道院へ向かうことにする。
道幅の狭い商店街を路面電車がぐんぐんと進んで行く。街は交通量が多く、
メトロも発達していて便利な様だ。
建物はどれも古びているが趣がある。外壁にはアズレージョと呼ばれる
装飾タイルが張られ、どれもデザインが異なっていて面白い。
ジェロニモス修道院は装飾の美しさととヴォールト屋根の技巧が素晴らしかった。
そしてそれらが作り出す光の陰影がとても面白い。
陽射しの強さが生み出すマジックである。
聖堂内部は細部にわたるまで手抜きがなく圧巻だ。天井のフレスコ画もどうやって
描かれたのか不思議だ。あそこまで高く足場を組んで描いたのだろうか。
屋根の構造体はヤシの木を模したらしい。これと似た屋根を後ほど見ることに
なるのだがそれはまた後で...
ジェロニモス修道院から海へ向かう。いや、海ではなかった。
リスボンにはテージョ川という巨大な川が流れている。
「発見のモニュメント」はそこへ向かって張り出す様に立っている。
ポルトガル創始者のエンリケ王子を先頭に、偉人たちが旅立とうとする様を
表した巨大な記念碑である。
午後は徒歩で移動することにする。
ポルトガルの街はとにかく坂が多い。街のいたる所に階段があるし、ケーブルカーで
上ったりもする。中にはあまりにも高低差が激しいのでエレベータで移動する所もある。
高低差が激しい分、高い所から眺める景色は素晴らしい。ヒイヒイ言いながら
上った坂道を振り返ると隙間からテージョ川が見えたり、街並を一望できたりするのだ。
夕方、街の中心へ戻ってくるとすぐにメトロを乗り継いでオリエンテ駅へ急ぐ。
ここからポルトへ向かう特急列車が出発するのだ。
オリエンテ駅はリスボンで万博が開かれた時につくられた駅らしく、
とにかくアクロバティックな構造が特色である。地下は魚の骨の様に構造体がむき出しと
なり、それに対して地上はヤシの木をモチーフにしたかのような複雑な構造になっている。
そう。昼間見たジェロニモス修道院の屋根を現代風にアレンジしたものである。
あちらは石の重厚なデザインだったが、こちらは鉄骨とガラスで軽やかに見せている。
そして博覧会会場だった跡地に、ポルトガルの建築家アルヴァロ・シザの
建築を発見する。真っ白な外観と単調な開口部の表層。そしてまるでふわっと幕で
覆ったかのようなコンクリートの巨大な屋根。
コンクリート!?幕のように垂れ下がった屋根がコンクリートなのか?
まるで建築博覧会のような他の建築を横目に、シザは単純な造形でこの会場で最も
インパクトのある建築を作っている。抜群の存在感でそこに鎮座している。
駅舎で受けた構造の技巧も素晴らしかったが、ここではさらにそれを超える
存在感に圧倒されてしまった。
会場を後にした頃、突然スコールのような雨が降り始めた。
残念ながら天気予報が当たってしまった。日が沈む頃、特急列車がポルトへ向けて
出発した。アルファペンデュラー(通称AP)と呼ばれる。いわばこっちの新幹線である。
それに揺られて約3時間でポルトへ到着した。
明日以降はポルトガル第二の都市ポルトで、さらに建築づくしの旅となる。