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青春の嵐 第19話「孤独の12月」

2015年12月02日 21時13分03秒 | 青春の嵐
「とうとう、遂にオレひとりになってしまったか・・・・・・。」
夜の街の灯りを見るなり寛一は思わずそう呟かざるを得ない。
父を失い、母を失い、そして今は孤独な我が身が。
多くの店内のあちこちからクリスマスソングが流れてくる。
その明るい調子の曲が、今の寛一にとっては、かえって悲哀さを奏でるように
聞こえてくるのだから何となく複雑な心境である。

寛一は、昼間の事を思い返していた。
昼間、学校において寛一はクラスの男子らと久々にやり合い、彼らを
完全にぐうの音も出ない程までに叩きのめして、その事で担任の敬二に生徒指導室に呼ばれ
そこでも敬二と大口論となった。何故そうなったのか?
実は、母加奈子が相次いで死んだ後、日頃から寛一と仲があまりにも良くないクラスの男子数名が
寛一の父勘吉と母加奈子が
中国籍、在日韓国籍・朝鮮籍の犯罪によって相次いで殺され、とうとう残るは
寛一ただひとりを残すのみとなったのを知り
教室に持ち込んだお菓子とジュースで祝杯を挙げたのが原因だからである。
普通の一般社会の常識と節度を弁えている者であれば、どんなに日頃から不仲であろうとも
相手の家庭内に起こった不幸を祝うなどという非常識は、普通はやらぬし出来ないはずである。
けれど、幼いっていうのは時として無知であり無知であるが故に残酷な面もある。
彼らは、給食の終わった後の昼休み時に学校に密かに持ち込んだお菓子やらジュースやらを
テーブルの上に並べて、尾場・皆村衰亡を祝う祝杯を挙げるパーティーをやったのである。
学校にお菓子やジュースを持ち込むだけでも校則としても如何なモノかというのに
あろう事か、自分らの気に入らない相手の生徒の家庭の不幸を祝うパーティーをやるという
とんでも無いことをやらかしたのである。
それを目撃していた寛一は、当然彼らと口論となり、相手が吹っ掛けて来たのをきっかけに
大乱闘になり、わずか数分で叩きのめしたのである。
その事で敬二に呼ばれ、そこでも喧嘩の理由に相手が自分の家庭に起こった事で
祝杯を挙げた件を述べ、ただでさえ家庭も人生も最悪な状況下に陥っているのに
それを祝うという神経を逆撫でする行為をするヤツに対して、
殴って判らせる事をやって何が悪いのかと持論を述べ、
敬二は理由はともあれ暴力はよくないと寛一を責める。
両者の意見はどこまでも平行線を辿り続け一向に埒が明かない。

あまりの寛一の理屈っぽさに敬二はキレたのか、とうとう感情的になり
寛一に対し、三学期が始まるまでの停学処分を言い渡したのである。
それを聞いてカチンと来た、寛一は去り際に
「この無能教諭め!お前がそこまで田夫野人の暗愚な男だったとはガッカリだぞ!?」
と喚き散らして生徒指導室から飛び出し走り去って行った。
敬二の方も感情的だっただけに、この時点においても冷静的になれない。
そして、二日経った現在に至るのである。
(まあ、考えようによっちゃあ、他の者より冬休みが一週間多く取れたと思えばいいか。)
こうして寛一は、もうすぐクリスマスイブを控えた街を流離い歩くのであった。


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