YS_KOZY_BLOG

History, Strategy, Ideology, and Nations

11月21日

2009年11月21日 | NEWS & TOPICS
 久しぶりに東京へ行く機会があったので、
 空いた時間に、今話題になっている行政刷新会議の「事業仕分け」を見に行こうとしたら、
 ちょうど週末は休会で、再開は週明けになるとのことだった。
 わざわざ市ヶ谷まで出向いていったのに、とんだ無駄足になってしまった。

 世間的には、財務省主導だとか、蓮舫議員の無慈悲な発言などが取り上げられているが、
 個人的な印象としては、今回の「事業仕分け」はそんなに悪いものではないように思われる。
 また、確かに、この作業を終えたとしても、目標削減額の3兆円に届くことは非常に難しいであろうし、
 そもそも全事業の15%しか仕分けにかけられていないことにも問題はあるが、
 方向性としては、なかなか良い仕事をしているのではないか。
 
 たとえば、科学技術関連の予算が大幅削減となる見込みのため、
 ノーベル賞受賞者や宇宙事業関係者が軒並み猛反発しているが、
 はっきり言って、今のような予算の付け方を継続するくらいなら、
 いっそ止めてしまった方が良いと何年も前から思っていたので、
 むしろ行政刷新会議の決定には溜飲が下がる思いであった。
 
 現在の科学技術関連予算は、率直に言ってほとんど日本の科学技術向上に寄与しない。
 「○○科学館」など、毛利衛氏には悪いが、無駄以外の何物でもない。
 あのような展示物を見て科学者への道を決意した人物など、ついぞ聞いたことがない。
 多くの場合、家族や学校の先生など、周囲の人たちから有形無形の影響を受けながら、
 自然への関心やその神秘、そして、生きることや存在することの意味、
 死ぬことや失われることの摂理を学んでいくものであろう。
 暴論かもしれないが、日本に存在する科学技術関係の箱物は、
 それが科学技術の向上に資するかどうかという点に目的を絞るならば、
 全部叩き潰したとしても何の問題も生じない。
 そんな施設に毎年何十億円も何百億円も資金を出すくらいなら、
 もっと他に回すところがいくらでもあるだろう。

 宇宙関連事業も不要である。
 そもそも宇宙開発の意義は、それが軍事技術の発展を視野に入れるからこそ出てくるものである。
 平和利用の名目を本気で全うしようとしているのは日本だけである。
 ミサイル一発撃つのも、憲法問題に抵触しかねない国が、
 巨額を投じて宇宙開発にこだわる根拠をぜひ知りたいものである。
 それに日本で開発された宇宙技術が他国に流出し、軍事転用される可能性も否定できない。
 スパイ防止法も軍事機密管理法も整備されていない国は、危ない玩具で遊ばない方が良い。
 しかも将来、軍事技術への応用を明確に視野に入れるつもりもないなら、
 盗聴法で対応できる携帯電話の中継衛星と、
 偵察衛星にも転用できる気象衛星だけ打ち上げていれば良いのである。

 そうした分野に多くの資金を投入するよりも、
 本当に科学技術の向上を図りたいならば、
 大学院生も含めた若手研究者への助成金を大幅に増額して、その裾野を広げるべきである。
 この部分での予算削減は断じて行なってはならない。
 現在、彼らの多くが置かれている研究環境は、
 他の先進国と比較した時、もはやマゾヒスティックでさえある。
 ビッグ・サイエンスに力点を集中させることよりも、
 基礎研究の体力増強を全体的に高めなければ、日本の科学技術に将来はないだろう。
 政治家や官僚、そして一部の科学者たちは、
 キャッチ・アップ型の発展形式への期待からいい加減、目を覚ますべきである。