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History, Strategy, Ideology, and Nations

12月14日

2009年12月14日 | NEWS & TOPICS
 天皇陛下と海外の要人との会見については、
 従来、少なくとも一か月前までに申請を行なうことが慣例となっている。
 だが、鳩山内閣はそれを破り、一か月未満であるにもかかわらず、
 中国副首相の要請に特例として応じることを決定した。

 早速、「天皇の政治利用」との批判が各方面で湧き上がり、
 昨日のテレビ番組では、自民党はもとより、社会党や共産党の議員まで疑問を投げかけると同時に、
 民主党議員でさえ、今回の決定には苦渋の表情を浮かべるといった有様であった。

 こうした特例を断行させた背後には、小沢幹事長からの強い意向があったと言われており、
 その意向を受けて、平野官房長官が抵抗する宮内庁に再三、働きかけて認めさせたとのことである。
 韓国から帰国した小沢幹事長は、記者会見の場で、
 「天皇の国事行為は内閣の助言と承認を得て行なわれる」
 「一か月ルールなんて誰が決めたのか」
 などと語り、あたかも従来の慣習こそが問題だったと言わんばかりに答弁したが、
 やはり、今回の件は、政治利用云々の前に、天皇の権威を汚したという点で、
 計り知れないダメージを与えたと言わなければならないであろう。

 万人に対して公平無私の存在である天皇は、
 当然、国の大小、身分の上下、性別や人種の違いにかかわらず、
 変わらぬ姿勢で相手と接することが望まれることは言うまでもない。
 それによって、天皇は政治的思惑から離れた存在としての権威を纏うことができるのである。
 一か月ルールも、慣例とはいえ、一度、決められた以上、遵守しなければならないのは、
 万一、それが破られると、天皇の会見自体に政治的思惑が込められるようになり、
 結果的に天皇の権威が大きく傷つけられることになるからである。

 当然、中国に特例を認めれば、他国に対しても特例を認めなければならなくなる。
 仮に断ったとしたら、「自国は中国より軽視されている」と思うことになるであろう。
 断られた相手は、天皇の権威に疑問を持つはずだし、
 そうした日本側の姿勢は、他国の対日感情を悪化させることにもつながるだろう。
 この状況が許されるならば、皇室外交もまた、成果を上げることが難しくなる。
 分け隔てする存在に、あまねく照らす権威の神々しさを感じることなどできないからである。

 最新の世論調査では、鳩山内閣の支持率が56%に下がったらしい。
 まだ56%も支持している人がいるというのも驚かされるが、
 さすがに今回の件は、日本人の琴線に触れた部分があるのではないだろうか。
 今後の民主党の出方に注目しておきたい。