On楽工房奮戦記byよっさん@アコギ

わたしの音楽活動、楽器、PA、読書についての勉強を綴ります。

レッツ オペレート!(ミキサーの仕組み4,マスターセクション)

2009年07月20日 | PA勉強会
それでは、ミキサーの最終出力を司るマスターセクションを解説します。

これまでインプットセクションを考えてきて全体的な信号の流れという物が、縦の流れ(入力)と横の流れ(出力)の交差点を操作する、ということが理解できたかと思います。

ミキサーの右端にはマスターセクションがありますが、ここには通常最終ボリュームと、コントロールルームが配置されています。
最終ボリュームはマスターフェーダー、マスターボリュームというもので、横の流れの最終的な出口を1つの出力につき1つのボリューム操作で行います。chセクションにあるフェーダーあるいはボリュームはバランスを決めるのに使い、マスターは音量を実際に決める手段であると理解しましょう。

ここでPAの音量を決める部分を取り出してみましょう。

まずゲインですが、これは音量を決めるのではなく、機械に適正な電圧で信号が入ってくるように作られたものですから、音量操作という意識で使用するものではありません。

chボリューム(あるはフェーダー)は、0dB近傍でchバランスを整えるのに使用します。全体的な音量が決まった後に、ギターだけ大きくしたいとかサックスが大きすぎるとか、そういうときに単独で操作するのに使用します。

マスターボリューム(フェーダー)は、PA全体の音量を決めるのに使います。

そのほかにPAの音量を決定づける部分はいくつもあります。
1.グラフィックイコライザにInputボリューム
2.パワーアンプのアウトプットボリューム
3.イコライザの設定を変えることでも変わります。

PAオペレーターはパワーアンプのボリュームを本番途中で変えることはまずありません。サウンドチューニングの際に決めたらもう触らないのが普通です。通常はパワーアンプのボリュームは使用する会場により本来は変えねばなりませんがMAXで使用することは多いです。下げることはPAオペにとってミキサー操作をすれば簡単に出来ますが、上げる方はパワーアンプのボリュームが上がっていなかった場合難しくなるからです。ただあまりにマスターフェーダーが下の方で充分音が出ている場合には、パワーアンプ側で過剰な増幅がかかっているわけですから機械のノイズが載ることも考えて、パワーアンプ側のボリュームを絞ることも必要になってきますね。

さて、出力系統の最終段階には下記のように信号の流れを制御できます。



上から2つはAUX1~2の流れ。これはステージモニターへ出す信号です。
その次はPOSTフェーダーで流れてきたエフェクト信号向けの流れです。このミキサーでは、一般的なミキサーと同じくそのままエフェクトアウトで外部にも信号が出て行きますが、途中で内蔵エフェクト装置に枝分かれをしています。このエフェクト装置では、選ばれたエフェクト成分をST,AUX1、AUX2に入れ込めます。入れ込む調整は他のchセクションと同じような配置でボリューム/フェーダーが置かれているので違和感なく操作できるでしょう。

一番下はFOH向け、メインミックス信号の流れですが、サブグループが2系統、隠れて別のルートを持っています。サブグループへの流れ込みは各chセクションのフェーダーの横にあるスイッチで決定。サブグループの最終マスターで音量を決めて外部に出せますし、STへも混ぜることができます(スイッチを押した場合)。

サブグループの使い方はアイデア次第。いくつかのchをまとめて1つのフェーダーで操作したいばあいとか(当然STへ最終的に送る)、全く別の系統の出力を作って、メインスピーカーとは別の所で音を鳴らすとか(この場合はSTに送らない)。あるいは録音とか。考えてみてください。

次に内蔵のデジタルエフェクト装置を見てみます。
上記の流れを理解してからみてください。



操作部分は一番上がエフェクトの種別。ここで必要なエフェクトを選びます。
次がパラメーター。エフェクトの残響の長さとかディレイの遅れを調整するところです。

次の2つの回転ボリュームは、生成されたエフェクト成分をAUX1~2に流す量です。ステージ上のモニターにリバーブが必要である場合にはこれを上げていきます。

ONはエフェクト装置の切り離しの出来るボタン。PFLは生成されたエフェクト成分をコントロールルームに送るボタンでフェーダ操作に影響されないPFLです。

そして一番下がエフェクト成分をST出力ライン(FOH用)へ入れ込むためのフェーダー、あるいはサブグループへ入れるかどうかの選択スイッチ。

これまで見てきたことをまとめると実際に内蔵エフェクトを使用する際には下記の手順が必要になりますね。

1.各chセクションのEFFECTつまみを廻してエフェクト出力ラインに信号を載せる。
2.エフェクト装置をonにする。必要なエフェクト種別も選択。
3.エフェクト成分を入れる相手先にフェーダ/ボリュームを上げる。

これで内蔵エフェクト装置の効果が出力ラインに載せられます。なお、内蔵装置を使わずに外部エフェクトを使用する場合には、最終エフェクト出力ラインのマスターボリュームを上げないと外に出て行きませんよ。

マスター部全体を見てみましょう。



順に説明します。

まずこの機械にはグラフィックイコライザが内蔵されています。仕様をみてみると、ST出力のみに適用されるようです。FOH信号のみに音質調整機構がついています。音の高さごと(周波数ごと)に調整可能です。このグラフィックイコライザの切り離しも出来るようになってます。

ファンタム電源のON/OFFは、マイクコネクタに電圧を掛けてその先にあるマイクなどに電源を送る機能を言います。マイクには電源が必要なものがあって(コンデンサマイクなど)このスイッチを押すことで電気を送ってやります。ファンタムを使用するのはDIなんかにも使いますね。スイッチを入れると普通の電源無しマイクでもこの電源がかかってしまいますが、問題はないそうです。
このスイッチはマイクに電源を送る意味もあるので、かならずスピーカー出力を停めてからスイッチの入り切りをします。大きなノイズがでるようです。

RETURNと書いているところは補助入力(AUX-IN)。ライブではあまりつかいません。行き先は見ての通りAUX1~2、STへ入れ込めます。
SENDと書いている所はAUXセンド。AUX1~2とEFFECTの最終マスターボリュームです。EFFECTとAUX1~2は同じ補助出力(送り)ですが、プリポストの種別があります。これは前節で説明しました。

2TR-inは、このミキサーについているRCAピンの、ラジカセとかカセットテープとかをつなげる事の出来るジャックの信号をどうするか、です、BGMなどに使いますが、これはchがふさがってしまってやむを得ないとき用ですね。STラインにのみ入れることができます。私は使ったこと無いです。

コントロールルームというのはオペレーターが信号をチェックするという意味の操作部分です。PFL信号や、ST信号、サブグループ信号など、メーターに表示されている信号がコントロールルーム信号です。ヘッドホンジャックで聞けると同時に別途背面にCRアウトがあって、スピーカーに出したりできます。スタジオのオペレートルームで小さいアンプを使ってオペレーターの前に小さなスピーカーを置くなり天井から下げるなりしているのがこの信号を鳴らしているスピーカーです。

このコントロールルームには、通常PFLがどこかで押されると最優先で信号が送られてきますがそれ以外はスイッチにより切り替え可能です。STマスター
フェーダーの上にあるのがそのスイッチ切り替えです。通常はST(メインミックス信号)を表示させておきます。

ミキサーによってはこのコントロールルームアウトを「MONITOR-OUT」と書いている物があって、ステージモニターと混同しやすいので注意してください。(新しいヤマハのMGミキサーなど)


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