On楽工房奮戦記byよっさん@アコギ

わたしの音楽活動、楽器、PA、読書についての勉強を綴ります。

マイクロホンから発生する電圧

2005年06月06日 | PA機材解説
PAの勉強会を計画している。私自身PAの基礎的なことをまだ勉強中なのにである。しかし教えることは理解をすること。また皆に操作を知って貰ったら自主的にライブの企画をするような元気な人たちも出て来るかも知れない。

PAの基礎を勉強する上で、そろそろ本質的なことをなぞらねばならなくなってきた。電気のことである。難しいと決めつけてなかなかきっちりなぞれなかったので、少しずつ調べてみることにした。
ではまず、マイクロホンからの電圧の発生についてである。最もよく使うシュアーSM57を例に取り調べることにした。仕様的には
1.周波数特性:Frequency response: 40 to 15,000 Hz
2.感度:-54.5dBV/Pa(1.9mV)
  (1Pa=94.5dBSPL)
となっている。(シュアーのサイトより仕様抜粋)

ここでいくつか基礎事項を書いておく。「定義」を3つ。
1.前にdBの項で書いたが、dB値は基準値がないと決まらない。比の常用対数だからである。基準値との比率が10の何乗か?というのがdBの定義の基本部分である。 ここで出てきたdBVという単位では1Vの電圧が基準になる単位であることをまず理解する。
2.dB値は物理的な量のなかで、エネルギー(仕事)換算で定義される。音の場合は音の強さ、電気の場合は電力。ところがエネルギー量は直接測定器で計るのが困難なので、音の場合は音圧(音の圧力)、電気の場合は電圧とか電流で計ることになるため、その値とエネルギー値とがきちんと同じdB計算できるよう整合を取らねばならない。 エネルギー換算で比の常用対数の10倍がdBだと定義されているとすれば、音圧や電圧では「エネルギーは圧力の2乗に比例する」という関係があるため、dB計算は比の2乗の常用対数の10倍となり、言い換えれば比の常用対数の20倍という定義になる。ややこしいところだがじっくり読めば分かると思う。
例:電力=電圧×電流=電圧の2乗/抵抗値・・・電圧の2乗に比例
  音の強さ=音圧×速度=音圧の2乗/(音速c×密度)・・・音圧の2乗に比例
  10log(E/E0)^2=20log(E/E0)・・・比の2乗の常用対数=比の常用対数の×2
3.音圧の基準値は2×10^-5Paとされている。Paというのは圧力の単位で、1㎡あたりの力(N:ニュートン)つまりN/㎡と同じである。ついでに言えばニュートンとは1kgのものに1m/s^2の加速度を与えることのできる力と定義されている。圧力って言うのは単位面積当たりの力のことなんで、思い出してください。この基準値は音圧をdB表示するときの基準値つまり0dBです。

以上の定義は計算上必要な「決めごと」なので、使えばいいだけのこと。難しく考える必要はない。
それではマイクの性能のところに戻ろう。
ここで電圧発生の元になるのが感度。1パスカル(94.5デシベルの音に相当する音圧)の圧力がマイクに入力されると-54.5dBVの電圧が発生するという意味であることは間違いないだろう。
これらによると-54.5dBVとは1Vの10^5.45/2乗分の1。つまり10の2.725乗分の1となる。関数電卓で計算してみたら1.8836×10のマイナス3乗になった。約1.88mVとなる(mVは1/1000Vの単位)
ということで確かに-54.5dBVは約1.9mVである。

次に1Paは94.5dBであることを確認しよう。
SPLというのはサウンドプレッシャーレベルで音圧のこと。音圧の基準値の定義が上に書いたように2×10^-5Paなのだから94.5dBとは基準値の10の(94.5/20)乗である。つまり0.00002Pa×10の4.725乗となるわけで、これも電卓で計算したら1.06176Paになった。
これで一応つじつまがあったわけで、SM57というマイクは1Pa(=94.5dB)の音圧が入力されると1kHzの周波数のところでは1.88mV(-54.5dBボルト)の電圧を生じると言うことになるのだ。

実際にマイクロホンが使われるのは音の大きさがもっと大きな値になる場所の方が多い。思い切りロックギンギンで(死語か?)鳴らしたギターアンプとか、声とか。 マイクロホンに向かって大きな声を出した場合、125~130dBの音圧が出ていると見て良いだろう(騒音計に向かって大声を出すとわかる)
では130dBの爆音では何ボルトの電圧が生じるのだろうか。
ここで94.5dBで1.88mV(-54.5dBV)という関係から導き出してみたい。
音圧と電圧の関係は比例であるはずだ。だとすれば10倍になれば電圧も10倍、比を表すdBでもいいわけだから10dB増えれば10dBふえる。130dBの音になるためには130-94.5=35.5dB増えているのだから電圧も-54.5+35.5=-19dBVの電圧が発生する。-19dBVってのは1Vの0.95乗分の1つまり0.11V程度の電圧になることがわかる。いくつか計算してみよう
(音圧)      (発生電圧)(そのdB値)
94.5dB・・  1.88mV(-54.5dBV)
100dB・・・  3.55mV(-49dBV)
110dB・・・ 11mV(-39dBV)
120dB・・・ 35mV(-29dBV)
130dB・・・110mV(-19dBV)

このあたりがシュアーのマイクロホンSM57の発生電圧と言うことになる。たぶんSM58も同じような感じだろうね。これらの電気がミキシングコンソールのインプットコネクターから入ってくるわけだ。

ミキシングコンソールのなかではプリアンプでさらに調整されて基準化されるのだがこれはまた後ほど書いてみようと思う(コンソールの仕様書を見ねばならん)


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3 コメント

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ん~~。。 (おびわんくん@携帯)
2005-06-07 11:11:18
やっぱ、じゅ~ぶんな「ヲタク」でわなかろ~か。。

個別のマイクの出力を比較した時にカタログの数値を確認した以外に気にした事がないぞ。。

今では58を実際に鳴らして、それよりも大きいか小さいか、音色はどうかの「タッチ」を比較するための基準にしてまふ。。

だって、カタログ表\示も周波数が書いてないメーカーも多いからね。。
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探求心 (よっさん@アコギ)
2005-06-07 13:08:17
人類の進歩は、あくなき探求心からです。

ヲタクではありませぬ、決して、決して。

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勉強します (久保田@相生On楽工房)
2005-06-07 23:17:51
専門過ぎて何がなにやら・・・・・

勉強します(汗;;)
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