上村悦子の暮らしのつづり

日々の生活のあれやこれやを思いつくままに。

8月 命を守る

2021-08-17 17:31:16 | エッセイ


コロナ感染拡大が止まらない。
国のリーダーから発信されるのは、緊急事態宣言の再延長やワクチンの早急の接種、
最近では酸素ステーションの設置など、
この感染急拡大には到底、追いつかない策ばかりである。

私たちが最も不安なのは、もし自分が感染しても、
今は保健所の指示待ちで治療がすぐに受けられないことだ。
熱が出ても、自分で近所のドラッグストアに解熱剤を買いに行き、未知の病と自宅で1人で闘うこととなる。

共著もあり、身近で信頼する長尾和宏医師は、
初期の段階で医師の治療、投薬が受けられれば重症化は防げると言う。

コロナ感染が広がり始めた当初からコロナ外来を続けてきた数少ない医師であり、
ここ1年半の間、数百人の患者をそうして治してきた経験からだ。
常に、患者の命と向き合う医師なのだ。
曖昧な「国民の安心・安全のため」ではなく、「目の前の命を守る」ため。

たとえば、
感染して酸素飽和度が異常となれば入院へという仕組みになっているが、
現実には酸性飽和度が正常でも、他の症状があるためCTを撮るとすでにコロナ肺になっている人や、
PCR検査では陰性でも、微熱と息苦しさが続くためCTを撮ると肺炎になっていた人などもいるそうで、
何よりも早期での治療の大切さが理解できる。

長尾医師は、
感染の苦しさに保健所に連絡をしても放置される形となり、
行き場をなくして来院する人を放っておけず、
他の外来患者に感染しないように、クリニックの駐車場にテントを張ってコロナ外来を続けてきた。
ボランティアで往診もオンライン診療も続けてきた。

その長尾医師が、先日テレビ出演。
感染症法で2類(結核など)に分類される新型コロナを、
5類(インフルエンザなど)に変更するよう提案された。

現在、医療が逼迫しているのは、重症患者が急増しているためで、
重症化を防ぐためにも、
多くの開業医が重い腰を上げて初期の段階から早期に治療するべきだと訴えた。
2類では指定医療機関しか治療や入院指定ができない決まりがあるからだ。

私もそれらのテレビ番組を観たが、結論は「なぜ5類か」ではなく、「2類か、5類か」のみの話になり、
現場で感染したばかりの不安なコロナ患者を診ることもなく、テレビに出ずっぱりの大学病院教授の、
「5類への変更は今の段階では早すぎますよね」で締めくくられてしまうのだ。
一番の論点は、
「医者でもない保健所任せにせずに、初期の段階で治療して重症患者を出さないようにしよう」ということなのに!

さらに、驚かされたのは、
テレビ出演の余波は大きく、長尾医師の元に各地の患者から多くのSOSが寄せられたと同時に、誹謗中傷の数々も。
今の日本の深刻な状況を打破するために、体を張ってコロナ患者と向き合っている医師へなぜ?
「日本ってそんな国やったの?」と悲しくなってしまった。

問いたい。
あなたは、コロナに感染して医者の治療も受けられないまま自宅放置されて大丈夫ですか?
現在、自宅療養者約7万人、9割が医師の診断を受けられていないそうだ。