冬桃ブログ

依存症

 「市民の会 アルク」という、アルコール依存症からの
回復をサポートするNPOがある。
 先日、そこの指導員、K氏の話を伺わせていただいた。
 じつはこの方も、かつてはアルコール依存症だった。
 家庭が複雑だったこともあり、中学生の頃から、酒や
ギャンブルに馴染んだ。高校へ進学したものの中途退学。
 生まれ育った環境ではそれが珍しいことではなかったので
罪悪感も焦りもなかったという。
 結婚もしたが当然のように破綻。
 どこで働いてもうまくいかなかったが、とにかく少しでも
お金があれば酒に走る。なければどこかで強引に借りる。
 家賃、水道光熱費、食費といったあたりまえの生活費の
ことなど考える余地もなかった。
 
 いまはじつにきちんとした言葉遣いで話も上手。
一流会社の営業マンでも通りそうな感じのK氏なのだが、
依存症時代、周りにどんな悪態を吐き散らしていたか、
というくだりになると、その「悪態」がなんとも
流暢な巻き舌になる。
 なるほど、こりゃ、周囲はびびったに違いない。

 過去に依存症の当事者であり、いまは何人もの
依存症患者をサポートしている彼の話は、じつに
リアリティーがあって興味深かった。
 アルコールでもギャンブルでも薬物でも、
ある境界をまたいでしまうと自分ではどうにもならない。
 「症」という字でわかるように「病気」なのだ。
 それを脱するには病院なり施設なり、「専門家」の
助けを借りなければならない。
 しかも手術をすればなんとかなる、という病気ではない。
 彼が「アルク」の門をくぐったのは37歳の時。
 もちろん何年もの月日、何度もの失敗を経て今日がある。
 「残念ながら回復例はそう多くない」とおっしゃっていたが、
彼の体験談を聴いたあとだっただけに素直に頷けた。

 と、感心している場合ではない。
 私自身、睡眠薬に依存している。他所へ泊る時、これを
忘れて行ったら一睡もできないどころか、うとうとして
悪夢の中に放り込まれ、恐ろしい時間を過ごすことになる。
 だから持ち物チェックでもっとも忘れてはならないのが睡眠薬。

「三夜、その恐ろしい体験を我慢したら、クスリ止められるよ。
僕が体験者だから」
 と、私の主治医は何年か前に言った。
 クスリの切れた麻薬中毒者が、体中を虫が這いずる幻覚など見て
高い階の窓から飛び降りたりするシーンを映画やドラマで観てるから
私は主治医の提案を受け入れなかった。
 まあ、この歳なんだからいいか、「将来」どころか「明日」が
あるかどうかのほうが問題だよね、と彼は納得したらしく、
その後、何も言わずに眠剤を出してくれている。

 そしてもうひとつ、わたしにはやっかいな依存症がある。
 ストレスが溜まると過食症になる。
 おなかがいっぱいどころか、苦しいくらいなのに、
うちにあるものをどんどんおなかに入れる。
 コンビニもスーパーもすぐそばにあるので、なければ買ってくる。
 食べる時には飲むから、アルコール量も増える。
 もともと肝臓が弱く、40代の後半で脱水症状になり、
2週間の入院を命じられた。ただしアルコールによる肝臓障害ではない。
 生まれつきのものらしく、おかげでアルコール中毒になるほど
お酒が飲めない。
 
 ただ、過食によって胃腸の調子が悪くなり、苦しむ。
 この依存症の相談員もいてくれるのだろうか。
 機会があればK氏に相談してみようかと思う。
 
 依存症の闇は深い。

 
 
 

 

コメント一覧

yokohamaneko
酔華さん

 亡き夫もそうでした。彼の部屋の白いカーテンは
茶色に変色していたものです。
 でも自分の部屋で吸うだけではなかったから、
彼が生きてた頃は、私もあの煙を吸わされてたのですねえ。
 あ、そう思うと肺が痛くなってきたような……。

 写真は黒い部分のほうを見てください。
 ガス灯のフィギアです。
酔華
私もニコチン依存症で、毎日、60本も吸っていました。
煙草がなくなると、路上に落ちているシケモクを拾うなんてことも。
風邪をひいた時でさえ、マスクの真ん中に穴をあけて煙草を吸っていたほどです。
そこから脱却して30年。

最期の写真はなんですか。
不気味…
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「雑記」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事