年を越した昨日、その打ち上げがあった。
編集者のＮ氏は当初、普通の打ち上げとして、どこかのレストランでやろうと
考えていたようだ。
が、聞いたとたん、デザイナーの矢萩多聞さんが、「あ、じゃあ、ぼくが南インド
料理を作る！」と宣言したらしい。（彼は南インドに家を持っている）
で、またその発言を聞いたとたん、洋食屋の息子で料理好きのＮ氏もむらむらと
対抗心が湧いたらしく、なんと打ち上げ会場はＮ氏の自宅ということになった。
Ｎ氏宅には一度お邪魔したことがある。
イラストレーターの奥様と一戸建てで二人暮らし。
素晴らしくセンスの良いお住まいで、居間には音楽好きのＮ氏らしく、オーディオ、
レコード、ＣＤ，巨大テレビなどが並んでいる。
でもごちゃごちゃした感じはなく、部屋の隅々にまであたたかいセンスが溢れていて
とても居心地がいい。
そこにカメラマンの大森裕之さん一家（夫婦と子供二人）、矢萩多聞さん一家
（夫婦と赤ちゃん一人）、ホテルニューグランドのＷさん、そして私がお邪魔して、
アットホームな打ち上げ。
大人８人、子供３人、猫二匹。
Ｎ氏夫妻と多聞さんの手作り料理が次々と登場。
ラザニア、ミートパイ、コロッケ、サラダ、味噌まぶしチーズ、鶏手羽の香味揚げ、
ジャガイモのとニンニクの炒め煮など、どれも普通とは一味、いや二味くらい違う美味。
夢中になっていただいたが、圧巻は多聞さんの南インド料理「ビリヤニ」。
炊き込み御飯なのだが、非常に手間のかかるものだという。
細長いインディカ米をチキンや香辛料などと共に炊き込むのだが、ごっちゃにして
炊くのではなく、米、チキン、米……といった感じで層にする。
南インドでは素焼きの容器で１２時間くらいかけてそれを炊きあげる。
でもここではそれができないので、多聞さんは複数のフライパンや鍋を使って
工夫し、三時間余りかけて作ってくださった。
各自、皿に取り、これもまた多聞さん特製のヨーグルトをかけて食べる。
唐辛子が効いてて、あとを引くおいしさ！ しかもヨーグルトのおかげか
たくさん食べたにも関わらず、おなかがすっきりしている。
デザートはＷさんが持ってきてくださったホテルニューグランドの「ガレット・デ・ロワ」。
「王様のお菓子」という意味があり、フランスでは公現節（１月６日）
に切り分けて食べるそうだ。
じつはどこかに陶器の小さな人形が仕込まれている。
自分のところからそれが出てきた人は今年一年の「幸運」を引き当てたことになる。
日本では衛生上、この人形（フェーブ）を中に仕込むことができないので、
金色の王冠と一緒に別添されている。
アーモンドクリームの入ったパイで、とても品の良いおいしさ。
期間限定なので販売は今月の１７日まで。お早めに！
こんなふうに切り分けて……。
王冠をかぶり、フェーブを手にした私の名付け子姉妹（大森家の娘たち）。
二人はよく我が家にも遊びに来てくれるが、人間が苦手な我が家の猫は
一切、姿を現さない。
でもＮ家の猫はちゃんと抱っこさせてくれる。
この日の一番のアイドルは、八ヶ月になる多聞さんの娘、蔦ちゃん。
ふくふくとして愛らしい彼女に、大人も子供もすっかり魅せられた。
（向かって左端は多聞さんの奥様）
で、このパーティーのもとになった「横浜の時を旅する ホテルニューグランドの魔法」だが、
有隣堂で売り上げ二位になったという嬉しいニュースがあった。
暮れに伊勢佐木町の有隣堂を覗いた時は四位だったが、その後また健闘しているようだ。
オリオンのまたたく夜空を眺めながら、たくさんの感謝を胸に家路へと向かった。
