冬桃ブログ

五年ぶりの「あんずの里」で箱膳

 千曲市は日本一の杏生産地。
 長野の友人T氏の案内で、久しぶりに訪れることができた。
 今年は例年より早く花が開いたそうだ。
 

 
 
 「かけはしの会」というのがあって、地元の女性たちが
郷土料理の「箱膳」を継承しておられる。
 リーダーの西村安子さんをはじめとするメンバーが
「5年ぶりですね」と、あたたかく迎えてくださった。
 そう、私は5年前にもここで「箱膳」をいただいたのだ。

2018年夏
https://blog.goo.ne.jp/yokohamaneko/e/6c7456fbb8156153eaa10853562a22ed

 「あの時と同じメンバーですよ!」と西村さん。
 まずは地元の農産物や旬を紹介していただく。
 小松菜、ほうれん草、コンニャク芋、米、麦などなど。
 もちろんあんずも!


 そして箱膳。
 箱の中に家族それぞれの食器が収められている。
 蓋をひっくり返せばお膳になる。
 
 食事には「ハレ」と「ケ」があり、「ハレ」はお祝い事や
大事な来客の際に出すご馳走。「ケ」は日常の食事。
 本日、いただくのは「ハレ」のお膳。

 
 コンニャク、竹輪、蓮根、人参、椎茸、昆布などの煮しめ。
 日常にも食べる料理だが、農作業などで時間のない「ケ」の場合は
材料を一緒に煮る。
 「ハレ」の場合は材料ひとつひとつを、それにあっただし汁で煮る。
 手間はかかるが、個々の味がいっそう引き立つ。

 茹でた鮭の切り身。ちょっと薬味を添える。
 鮭と言えば塩焼き、バター炒め、煮つけなどでいただくが
茹でただけというのは初めて。とても上品な味!
 さっそく真似してみないと。
 ちなみに信州サーモンは有名。
 そしてホウレン草や人参が入った白和え。
 茹でた野沢菜。具だくさんの汁とご飯。たくあん三切れ。
 このほか、大皿で回ってくるものを、少しずついただく。

 「ハレ」のご馳走というと普段の食卓には上がらないような
メニューかと思ってしまうが、いまあるもの、すなわち旬の獲れたてを、
いつもよりさらに手間と心を込めて出すものなのだろう。

 食事には作法がある。「いただきます」「ごちそうさま」は
まず家長が声を発し、そこにいるみんなが唱和する。
 三切れのたくあんは必ず一切れ残しておく。
 空になったご飯茶碗にお湯やお茶を注ぎ、たくあんで
茶碗の中をなぞりながらきれいにして飲み干す。

 5年ぶりの箱膳を美味しくいただいた後には、サプライズがあった。
 日本舞踊を長くなさっているというお二人が、踊りを
披露してくださったのだ。

 西村さん。80歳を超えておられるそうだが、
お話も踊りも素晴らしくシャープ!


 5年前も今回も「あんずの里」を案内してくださったのは
友人のT氏。その奥様であるK子さんは、西村さんのお弟子さん。


 女性たちが護り、語り継ぐ千曲の伝統文化。
 舌も目も心も「満足」をたっぷりといただいたことであった。


 
 

 

 

 
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