冬桃ブログ

過ぎゆく9月の思い出・ふたつのイベント

 「秋とはいえ、暑いねえ」と、毎年言い交す9月。
 今年も残暑+コロナ。イベント関係もまだまだ、
「ぱっと賑やかに!」というわけにはいかない。
 そんな中で、こじんまりと、でも意義深く行われた
イベント二件。私も参加させていただいた。

 9月10日、中区関内、泰生ポーチにて。
 「マリア・ルス号事件から150年」。
 鉄道が開通し、ガス灯が灯った明治5年、実際に起きた事件。
ペルー船籍の船、「マリア・ルス号」が修理のため、横浜港に入ってきた。
 その船底には、マカオからペルーへと売られていく
200人を超す清国人が、奴隷として閉じ込められていた。
 国際裁判を開いて、日本は彼らを救出しなければならない。
 外国人居留地の列強国は、冷たい目で成り行きを見守る。
 開国して国際社会の仲間入りをしたとはいえ、日本は
これから産業革命に追いつこうという弱小後進国。
 裁判の仕組みさえまだよくわかってない。ましてや国際裁判である。

 ペルー船に雇われたのは、海千山千、日本語もぺらぺらの
英国人弁護人、かたや日本側は25歳の、裁判経験などない
官吏、大江卓。この裁判のため、いきなり神奈川県権令(県副知事)
に抜擢され、裁判長、検事、弁護士まで務めるという重責を
担うことになった。
 さて、結果はどうなる……という顛末を、Y150の年、
この事件を舞台化してプロデュース、主演を務めた平村五郎成基さんと
横浜夢座第三回公演で、やはりこの事件を題材にした「kaihoro・会芳楼」
という芝居をプロデュース、主演した女優の五大路子さん、その舞台の
脚本を書いた私の三人でのトークショー(五大さんはオンライン出演)。

 大江卓の扮装で登場した平沼さんは抜群の知識とトーク力。
 私も思わず聴きほれた。
 会場は人数を制限せざるをえなかったが、オンラインで
視聴してくださった方も多かったようで、感触大!


 9月22日 新横浜ラントラクト2F
「奇跡の歌姫ー渡辺はま子ー2022」 ドラマリーディングVOL.1

 夢座第二回公演「奇跡の歌姫 渡辺はま子」は、初演が2001年だった。
 主演 五大路子 脚本 山崎洋子 演出 遠藤吉博

 横浜生まれのトップ歌手、渡辺はま子と、終戦後、BC級戦犯として
フィリッピンのモンテンルパ刑務所に収容され、死刑を待つばかり
だった日本人元兵士達の、実話をもとにした芝居。
 好評で何度か再演された。
 しかしコロナの時代では、大きな舞台が組めない。
 そこで今回、五大さんを中心に二人の男性俳優による
ドラマリーディングという試みが行われた。
 台本を持って立つのだから朗読劇ではあるのだが、
男性二人が一人何役もこなし、なかなかの充足感。
 五大さんも、元の舞台同様、渡辺はま子のヒット曲を
次々と歌う。「ああ、モンテンルパの夜はふけて」「蘇州夜曲」
「サンフランシスコのチャイナタウン」などなど。
 プロの役者さんはやはり凄い!
 私が書いた元の脚本を、このために、あべゆかりさん
という方が半分以下に縮めてくださったのだが、原作の
骨子を少しも損なわず、とても良い流れになっていたと思う。
 演出は、出演もしていた高橋和久さん。元の舞台の初演から出演して
くださってる役者さんだが、なんと21年前はまだ25歳!
 いまは堂々と演出もこなす。
 
 大きな舞台で上演されたものを、時間も人もごく
限られた状況で、実験的に行われたドラマリーディング。
 難しいこともいろいろあったと察するが、結果として
必ず今後に繋がるものになるだろうと、私は思う。




 それにしても、演じる側も観る側も、元のように
心置きなく楽しめる日々が、早く戻ってきますように!
 
 

 

 
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