冬桃ブログ

隔離


 もしやと思ってはいたのだが、夜になってはっきりした。
 ノアに怯えるあまり、フータは水も飲まなければ餌も食べていない。
 トイレにも行ってない。このままでは体調を崩すだろう。
 なにより、神経がまいってしまうに違いない。

 考えた末、二匹を隔離することにした。
 だましだまし誘い、追い詰め、ノアを居間に、フータを私の寝室に。
 餌もトイレも水も、各自、用意した。
 フータはそれでも長いことドアの方を警戒し、構えを崩さなかったが
私がそばについていたせいかようやく水を飲んだ。がつがつと飲んだ。
 餌を少し食べ、トイレも使った。

 が、ほどなく居間の方から、ガリガリ、ドンドンというまがまがしい音が……。
 ここを開けろと、ノアがドアの前で暴れているのだ。
 
 一昨日の夜は阿鼻叫喚で眠れなかったが、昨夜は荒れ狂うこのポルターガイスト
のせいでまた睡眠不足。
 眠れないまま朝を迎え、早々に起きだして境目のドアを開けた。
 少しは大丈夫になったかと二匹の顔合わせを試みる。
 が、激しい睨み合いと狂おしい叫びが繰り返されただけ。
 とにかくフータが怯えている。
 私がトイレに行く時も、ぴたりとくっついてくる。

 仕方なく、またドアを閉めて双方を隔離した。
 するとノアが私の周りをうろうろし、やかましく泣きわめき
ドアに頭突きする。
 
 「開けろよ! あのドア開けろよ! なんで俺は自分の家で
移動制限されなきゃいけねえんだよ。おまえな、この頃、あいつと
ベタベタしてるけどよ、勘違いすんじゃねえぞ。あいつは俺のもんだ。
 隔離なんかしやがって、どうなるか見てろよ!」

 今日はこんな状態の二匹を置いて信州へ行く。
 前から楽しみにしていた一泊旅行だ。
 明日、帰宅して、もっと恐ろしい状況になってたらどうしよう。


 よだれを垂らし、フータを追い詰めるノア


 サイドボードの下に隠れ、恐怖におののくフータ
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