冬桃ブログ

薪能のチケット

 今年のゴールデンウィークは10連休だと
世間が騒いでいる。
 何連休だろうと、私には関係ない。
 毎年、何の予定もなく淡々と過ごしている。

 でも金沢区に越してきた今年は
称名寺の薪能を観に行こうと思い立った。
 5月3日。
 ゴールデンウィークの真っ最中。

 本日、区役所でチケットが販売されるというので
朝から出かけた。
 午前8時45分スタートだったが、
私は少し遅れて9時に到着。
 区役所一階の会議室が臨時の販売所になっていた。
 すでに70人くらいの人が並んでいる。
 ほとんどが中高年。

 でもまあ、人気ラーメン店の行列とは違う。
 チケットを買うだけなんだから、すぐに
順番が来るはずと、私も列に並んだ。
 舞台、桟敷席、椅子席、自由席などが
図で示された紙も配られた。
 雨天の場合は公会堂で二部制にして開催される。

 で、その紙を眺めながら順番を待っていたのだが
もう販売は始まっているというのに、
列はいっこうに進まない。
 列の誘導と説明、チケット受け取りなどで、
10人余りもの職員が出ている。
 なのにどうして進まないのかと首を巡らせ
原因を突き止めた。

 チケットの置いてある机の手前に、大きな板を
首からぶら下げた女性職員が一人、立っている。
 渋滞のもとはそこだ。
 彼女が下げている板には、もっと細かく
席が記されている。
 チケット購入者は、自分の希望する席を、
彼女と相談しながら決める。
 これが長い。一人5分くらいはざら。

「そうねえ、ここよりこっちの方が見えやすいかしらねえ」
「雨が降ったら二部制? 遅い方の時間だと
○○さんの都合がどうかねえ」
「ここはどう? あ、そっちもあるのか」

 一人で数枚買う人もいれば、友達や夫婦連れもいる。
 席を巡って、ここであれこれ思案や会話が始まる。

 なんとまあ、効率の悪いこと。
 こんなに並んでるし、まだあとからも来るし。

 私と同じように思った人もいて、
そこに詰めている職員に文句を言っている。

「毎年のことなのに、なんとかならないのかね。
先に紙をもらってるんだから、S席とか自由席、
桟敷か椅子か、事前に決めておいてくださいと
言えばいいのに」

 職員はあいまいな笑みで応じる。
「でも、じっくりと席をお選びいただきたいので」
 
 これは親切なのか不親切なのか。

 別のささやき声が後方から聞こえる。
「チケット売ってるところはあんなに暇なんだよ」

 そりゃそうだ。
 チケットの机には4~6人もの職員が待機しているが
長い行列にも関わらず、ようやく席の決まった人が
5分おきくらいに一人、あるいは一組ずつ
やってくるだけなのだから。

 一番たいへんなのは、詳しい席が記された板を
首からぶら下げ、一人ですべての人の相手をする女性職員。
 立ちっぱなしで、しかもシニア。

 思わず私も、横を通りかかった若い職員に
言ってしまった。
「あの方の仕事を二人か三人で分担すれば
もっと効率よく列が進むんじゃないですか?」

「でも、一人でやらないと、どの席が
あいてるか埋まってるかわかりませんから」

 そうだけど、いまはパソコンだってあるでしょ。
 ここに二台ほど置いて、席の空きが一目瞭然に
わかるようにしておけば、スムーズに進むのでは?

 と、までは言わなかったが、結局、そう広くもない
会議室で、一時間以上も並んで待つことになった。
 
 もちろん私は後ろの人を待たせなかった。
 「S席、椅子、一枚、どこでもいいです」
としか言わなかったから。

 能、狂言に関する教養がないから、
別の日に開催される事前の講演も
一緒に申し込むつもりだった。
 が、順番を待っているうちにそれは満席に。
 とても残念。

 まあしかし、無事にチケットを入手。
 薪能を観るのは初めてだから楽しみだ。
 人並みに、ゴールデンウィークの予定もできたし。

 土曜日なのに出勤してきた職員さんに
文句など言って申し訳なかった。
 悲しいかな、年をとるにつけ短気になっていくのだ。



 昨日買ったケシの花が、今朝はきれいに開いた。

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