冬桃ブログ

丹後狛犬ツアー・その2原点回帰の海

 ツアーの一日前、独りで天橋立のホテルに前泊。
 いつもお世話になる星野和彦さんが丹後郷土資料館へ
案内してくださった。
 いまは海を臨む静かな場所だが、その昔、国分寺があったところ。
 賑わいの中心地だったのではないだろうか。


 こぶりの丹後石造狛犬(籠神社未指定像)。


 明治時代に描かれたアマビエ。


 レプリカだが、前から見たかった青いガラスのブレスレット。


 そうこうするうちに日は暮れ、天橋立に戻り、私の宿泊先からほど近い
ワインレストランへ。
 いや、知らなかった。立派なワイナリーのある素晴らしい店!
 



 じつはここ、宿泊と食事がセットになったオーベルジュ。
 宿泊は一日二組限定。食事は併設するレストランが提供する
地元素材を活かした料理とオーナー自慢のワイン。
 海際だから景色は最高だ。
 う~ん、一度、泊ってみたいけど、独りではねえ……。
 お値段ももちろんそれなりですが、誰かご一緒しません?
サイト
http://www.amanohashidate.org/chitose/

 テラスで、夜の海を眺めながら波音に身を委ねる。
 オーナーはワインを通じて国内外のセレブとお友達。
 数々のエピソードを聞かせていただいた。

 手前から星野さん、「千歳」のオーナー、山崎さん、
読売新聞記者の松田さん。


 翌朝は一人で天橋立を歩く。
 宮津市で生まれた私は、この海とともに育ってきた。
 物心つく前に両親は離婚して宮津を離れ、私は父方の
祖父母のもとに置いて行かれた。
 父母の記憶がほとんどないのだから、恋しがることもなかった。
 祖父は大酒飲みで鼻つまみ者だったようだが、時々、
「大江山酒呑童子」の話をして私を寝かしつけてくれた、
「ミナモトのライコウ(源頼光)さんが四天王を連れて
大江山の鬼を退治しに……」。
 いつもこればっかり。
 四天王の一人、坂田金時が足柄山の金太郎と同一人物
だということは後年知った。

 私は祖母一人に育てられたようなものだが、その記憶は
生涯でもっとも幸せなものになった。
 裏に田んぼが広がる二階建ての素朴な家。
 祖母が近くに借りていた小さな畑へ一緒に出掛ける。
 私の役目はキャベツにつく青虫をつまんで潰すこと。
 祖母が大八車を引いて薪の買い出しに行く時も一緒。
 行きは空っぽの荷台に座っていき、帰りは後ろから
押していく。手伝いの御駄賃に、祖母は決まって
マーブル飴という、中が何層もの色になった丸い飴を買ってくれた。

 でもその裏で、私の知らない大人の事情が
祖母を押しつぶしつつあった。
 彼女は私が八歳の時、暗い夜道を天橋立へと歩き続け、
内海と呼ばれる阿蘇海に身を投げた。
 私はそれから、いわゆる「みなしご」になった。
 どんな環境に身を置いても「終の棲家」にならないのは
この時から始まった放浪癖なのだろう。

 10月30日は祖母の命日。
  

 知恩寺(文殊堂)には地獄絵が掲げられている。
 子供の頃、よくこれに見入っていたものだ。
 

 海鵜の連なる風景。


 


 

 
 
 









 

 

コメント一覧

yokohamaneko
酔華さん

 故郷に来ると、どうしても原点に戻ります。
 どんな思い出であれ、こういう環境から自分と
いうものがかたちづくられたのですから、受け入れ
なければ、と思うのです。
酔華
『誰にでも、言えなかったことがある』を思い出しました。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「旅行」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事