いやあ、良かった。こういう映画に出会うと、この歳でも人生が
ちょっと違って見える。
脚本・監督 石井裕也。主演 満島ひかり。
満島ひかりという女優さんは「クヒオ大佐」で、およそ可愛げのない
女を演じていた。いま思うと、その演技がうまかったせいだろう、満島
ひかりという女優さんのことを、いやな女だと思ってしまった。
しかし「川の底から……」では、近くにいたらうっとうしいだろうなあ、
から始まり、最後は、ぜひ近くにいてほしいというキャラクターに
変わるまでを、まあじつに自然に、なんともうまく演じている。
演技の天才と言われる大竹しのぶにはさほど感動しない私だが
満島ひかりは素直に「凄い!」と思った。
それにしても、「どうせ、あたしなんか中の下なんだから」という
台詞、気に入ったなあ。
そのあと、普通は「だからなにやったって駄目なのよ」とヤケになるのだが、
このヒロインの場合は「だから頑張るしかないのよ!」となる。
考えてみれば、私もそうだったのかなあ。
ものごころついた時、私の環境は「中の下」どころか「下の下」だった。
三歳になるかならないかで両親に捨てられたわけだから。
唯一の保護者だった祖母も自殺した。
同じ町に母方の実家があったのに、みなしごになった私を引き取っては
くれなかった。
だから私、頑張るしかなかったんだなあと、いまになって思う。
根性ないし体力もないから、頑張るったって限度があったわけだけど。
頑張るという言葉もたいして好きじゃないし、このあとはもう
そんなに頑張りたくないし、頑張れないだろうけど、おそらく私は
頑張ったのだ。できる限り……。
そう思うとちょっと涙が出て、自分で自分の頭をナデナデしてやりたくなった。
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