この二泊三日の間、猫はどうなってたかというと、ストーカー・ノアは
動物病院の猫ホテルに預け、追い詰められ・フータは家に残しておいた。
ノアには気の毒だが、いつも狭いところに隠れているフータを、少し
のびのびさせてやりたかったのだ。
のびのびはしたが淋しかったらしく、ひたすら私に体を押しつけ、
膝に乗り、もっと撫でてもっと、と甘える。
たちまち私は喉のイガイガ感が増し、目が痒くなり、顔も痒くなる。
猫の毛と猫砂のアレルギーがあるなんて、猫を飼うまでわからなかった。
目をこすり、顔をかきむしりながらフータをいっぱい撫でたあと、
家をきれいに掃除して、動物病院にノアを迎えに行く。
ノアは預けられたことが気に入らなかったらしくハンガーストライキを
続けていたようだ。
再度、膀胱のレントゲンも撮ってもらった。溜まった砂が石になっている。
手術を勧められた。
家に帰れば食事も摂るので、いったん連れ帰り、栄養をつけ、月曜日に
また入院させて手術ということに。
帰宅の道すがら、ノアはキャリーの中から文句を言いっぱなしだった。
「どこ行ってたんだよ、おまえ。のんきに旅行かよ。いいご身分だねえ。
ひょっとして夜遊びなんかもしたのか? ケーキにシャンペンなんて、
似合わないこともしたんじゃねえだろうな。みっともなくはしゃぐんじゃねえよ、
いい歳してよお!」
玄関に入ってキャリーを開けるやいなや、二匹のバトルが始まった。
「お、また来たか、このやろう!」
「来たかとはなんだ、ここはおれの家だ! てめえこそ大きな顔してなんだ。
箪笥の裏にでもすっこんでろ!」
「言ってくれるじゃねえか、このボケ猫が、ギャオ!」
「なんだと、腹たぽたぽさせやがって、ブタ猫やろうが、ギャギャギャ~!」
あのねえ、あんたたち。
かあちゃんは今日、誕生日なんだよ。そうでなくても広島の原爆記念日で
みんなが平和を祈念する日なの。
今日くらい、ささやかな家庭の平和を保てないのかねえ。
こんな頃もあったっけなあ……。
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