長大鉱石列車牽引のため、ナローとしては比較的大型の蒸機を揃えていた七国山鉄道が、その主軸たる10t超クラス機の動力近代化を目論み、自社の松郷工場において試作したディーゼル機関車が二代目7号機である。
当時、松郷工場と技量的に拮抗し、いわゆる蒙古の戦車の開発で脚光を浴びていた静岡鉄道袋井工場を意識したものか、当初は余裕のある箱形車体に「蒙古の~」と同等のエンジン二基を搭載、左右の動輪をそれぞれ駆動する双発機、という非常に野心的な設計であったという。
しかし内部資料を見ると、試験段階で左右の走り装置が逆回転するなど、通常ありえないトラブルが頻発、さすがに出場時点では大型機関の単発という常識的なものになっていた。
また、モダンである、と沿線で評判になった自慢の箱型車体も、同時期津軽鉄道に入った新潟機、あるいは三重交通のGE製電機あたりの模倣であったことは今にして見れば明白である。
就役後は木曽林鉄の酒井製キャブフォワード機と同型の機関に換装し大量の死重を積み込んだことで、計画を上回る牽引力を発揮した7号であるが、現場の乗務員たちは、「パン焼き機」 「かんおけ」などと評して、このカマでの仕業担当をジャンケンで決めていたという。 たしかに大型エンジンとボンネット内で同居するごとき熱と騒音たるや察するに余りあり、譲り合う心情判らぬでもない。このあたりの実用性欠如は、「競争」のなかで起こりがちなスペック至上主義が生む弊害というべきか。
『あとだし』ながらも、こと動力性能に限れば袋井工場の「蒙古の戦車」をはるかに凌ぎ、七国山技術陣の溜飲をおおいに下げた7号ではあったが、さきの熱・騒音、また両運転台ゆえの不便などから量産化の機を逸し、会社は鉱石列車の動力近代化について自社開発を断念、その任は外注の17トンD型機がになうことになる。
「七国山鉄道松郷工場」そして「静岡鉄道袋井工場」 旧きよき日々、互いにしのぎを削ったこの2工場ともに今は無い。 が、ともすれば前時代的とされる軽便鉄道の世界においてさえも、エンジニア魂の熱き切磋琢磨が繰返されていた、という記憶は技術立国日本の国民として長く心に留め、また範とすべきであろう。
なをその後、静岡鉄道駿遠線において最期の輝きを放った超大型ディーゼル機 『DD501』 が、この時の袋井技術陣の屈辱をバネに生み出された『松郷工場への最期の回答』であったという真実は、七国山鉄道7号機の存在とともにいまだ多くの人々の知るところとはなっていない。
~ 宇園参八・著 「七国山DL艦隊」 より抜粋~ ・・・・・・・(ウソ)
参八先生の文庫本
早く店頭に並びますように
フィニッシュ&語りのセンス
素晴らしいです
いや~、ホラ話であればじぶんでもアキレるほど
スラスラできあがるんですよね~
なぜモケイとなるとこうはいかないのか・・・
参八先生の文庫本、ショウバイにならない、とかで・・・・・
>左右の動輪をそれぞれ駆動する~
それ…戦車すか?。しかも双発って。この発想に打ちのめされました。夢見そうです。
ウチも早くこういう文章が書ける世界を構築したいです。
油まみれのエンジニア魂!
生徒さんたちにぜひ熱く語ってあげてください、
たぶん「うざっ」と・・・
akinoriさん
うなされて下さい
右左逆回転・・・たしかに戦車ですね
あれってどうなっとるんでしょうね?
エンジン2個あるんですかね?
小倉工場さん
自分とこの機関車はどれも勝手な方向へ走ってますがなにか?
例のシュクダイ、しばらくお待ちを
ほら話はすぐできるんですが、手のほうが・・・
雀坊さん
>世界を構築・・・・
もうしっかりお持ちでは?とお見受けしますが・・・
自分のは有りあわせの写真andどこかで読んだ文章を
テキトウに継ぎあわせただけです
雀坊さん、ゼヒびしっと本挌的なやつを
当時の検修の方のお話も伺えました。
その後だけに、このお話、とてもリアルに感じました。
ナガウラさんのお話で、小生、どれだけ癒されてきた事か…
>当時の検修の方のお話も・・・
自分もお話聞きたかったです!
先日、偶然「明治・平山鉱」で軌道係
にいたというおじさん(自分もですが)とお話
する機会がありまして、感激しました。変なやつ
だと思われたでしょうねぇ・・・
ちなみに「珍犬ハックル」は、意味通じませんでした