( この写真は、東京、豊島区南長崎の『トキワ荘』とその隣の『うさぎ荘』があった辺りである。
《'06年2月 撮影》 )
【 はじめての方は、 「漫画家アシスタント 第1章 その1」 へ、どうぞ。】
その38 ・・・・・・・・・・・・ 2006年04月21日 19時43分 (公開)
1978年、春。 Jプロで私がはじめて描いた背景は、1ページだいの川ぞい
の古い町並みでした・・・・。
この背景が漫画雑誌○ックコミック○リジナルの「H雲」に掲載されたのは
絵を完成させてから3,4ヶ月たってからでした。 ( この背景はコピーされて、
この後15年位の間に何回か使用されました )
漫画背景は漫画家先生やそのアシスタントの個性によって多種多様です。
私の場合はK・K先生( 『第2章その7』~『第2章その17』参照 )の影響を強く
受けていたので、かなり劇画調でした。 資料写真に忠実に丸ペンを使って
カリコリ細かく描いていくといった感じで・・・・・。
Jプロに入った当時( 1978年春 )、アシスタントの仕事をナメきっていた私は、
J先生の背景を描くこの仕事を自分の漫画背景のための実験の場として
考えていました。
M・M先生( 『第2章その18』~『第2章その23』参照 )の所で見聞きした斬新
な画法。迫力のある構図や大胆なタッチ。その芸術的な背景世界にあこが
れ、事もあろうにJ先生の背景にそれを試していたのです・・・・!
私に画力が備わっていればまだしも、まるで実力の伴わない「 芸術的背景 」
は、まさに「 奇妙な凡作 」と成り果て、それはJ先生をして『 あいつはクビ
だ! 』と思わせる事になる危険極まりない大チョンボでした・・・・。
背景技法で試したかった事は、ペンを使わずに筆とスクリーントーン処理だ
けで絵を完成させる事や奇抜で( 粗雑な )実験的な構図を考え出す事でし
た。 しかし・・・・ そんなお気楽な期間は1年足らずで終わります。
前回、書きました様にJ先生の「雷」で全て変わってしまいました・・・・・。
筆を使って、個性を出そうとか・・・・ 奇をてらった構図で目立とうなどと考え
たりした事・・・・・ それらの事が全て『 嘘の絵 』になっていたのです・・・・
自分の絵も人生そのものも『 嘘の絵 』を塗りたくっていたのです・・・・・
まるで、泥沼に頭から突き落とされて、そのドロドロの中でもがいているとい
った感じでした・・・・・
「 しかし・・・ 」と言うべきか「 だからこそ 」と言うべきかその内に手の中に何
か手ごたえのあるモノをつかんでいたのです・・・・・・ まったく人生とは不思
議なものです・・・・・・。
自分の絵の『 嘘 』に向かい合った時、私の中で新しい自分が生まれるので
すが・・・・・ 古い自我が崩壊し、頭が真っ白になっていく経験は「 とてもいい
経験でした 」などと言うものではなく、それは・・・ 単にゲロ吐きそうな苦痛で
しかありませんでした・・・・・・。
Jプロでの1年目がこうして終わろうとしていました・・・・・・・・。
「 漫画家アシスタント 第3章 その39 」へつづく・・・
・前に記事へ戻る時はこちら→「 第3章 その37 」
【 各章案内 】 「第1章 その1」 「第2章 その1」 「第3章 その1」
「第4章 その1」 「第5章 その1」 「第6章 その1」
「第7章 その1」 「第8章 その1」 「第9章 その1」
「諦めま章 その1」 「古い話で章 その1」
( 但し、第1~3章は『縮小版』になります )
《'06年2月 撮影》 )
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その38 ・・・・・・・・・・・・ 2006年04月21日 19時43分 (公開)
1978年、春。 Jプロで私がはじめて描いた背景は、1ページだいの川ぞい
の古い町並みでした・・・・。
この背景が漫画雑誌○ックコミック○リジナルの「H雲」に掲載されたのは
絵を完成させてから3,4ヶ月たってからでした。 ( この背景はコピーされて、
この後15年位の間に何回か使用されました )
漫画背景は漫画家先生やそのアシスタントの個性によって多種多様です。
私の場合はK・K先生( 『第2章その7』~『第2章その17』参照 )の影響を強く
受けていたので、かなり劇画調でした。 資料写真に忠実に丸ペンを使って
カリコリ細かく描いていくといった感じで・・・・・。
Jプロに入った当時( 1978年春 )、アシスタントの仕事をナメきっていた私は、
J先生の背景を描くこの仕事を自分の漫画背景のための実験の場として
考えていました。
M・M先生( 『第2章その18』~『第2章その23』参照 )の所で見聞きした斬新
な画法。迫力のある構図や大胆なタッチ。その芸術的な背景世界にあこが
れ、事もあろうにJ先生の背景にそれを試していたのです・・・・!
私に画力が備わっていればまだしも、まるで実力の伴わない「 芸術的背景 」
は、まさに「 奇妙な凡作 」と成り果て、それはJ先生をして『 あいつはクビ
だ! 』と思わせる事になる危険極まりない大チョンボでした・・・・。
背景技法で試したかった事は、ペンを使わずに筆とスクリーントーン処理だ
けで絵を完成させる事や奇抜で( 粗雑な )実験的な構図を考え出す事でし
た。 しかし・・・・ そんなお気楽な期間は1年足らずで終わります。
前回、書きました様にJ先生の「雷」で全て変わってしまいました・・・・・。
筆を使って、個性を出そうとか・・・・ 奇をてらった構図で目立とうなどと考え
たりした事・・・・・ それらの事が全て『 嘘の絵 』になっていたのです・・・・
自分の絵も人生そのものも『 嘘の絵 』を塗りたくっていたのです・・・・・
まるで、泥沼に頭から突き落とされて、そのドロドロの中でもがいているとい
った感じでした・・・・・
「 しかし・・・ 」と言うべきか「 だからこそ 」と言うべきかその内に手の中に何
か手ごたえのあるモノをつかんでいたのです・・・・・・ まったく人生とは不思
議なものです・・・・・・。
自分の絵の『 嘘 』に向かい合った時、私の中で新しい自分が生まれるので
すが・・・・・ 古い自我が崩壊し、頭が真っ白になっていく経験は「 とてもいい
経験でした 」などと言うものではなく、それは・・・ 単にゲロ吐きそうな苦痛で
しかありませんでした・・・・・・。
Jプロでの1年目がこうして終わろうとしていました・・・・・・・・。
「 漫画家アシスタント 第3章 その39 」へつづく・・・
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( 但し、第1~3章は『縮小版』になります )