浮世風呂

日本の垢を落としたい。浮き世の憂さを晴らしたい。そんな大袈裟なものじゃないけれど・・・

イラン核合意はオバマの敗北

2015-11-07 08:19:26 | 資料

中東の核拡散を助長しかねないイラン核協議最終合意
米国の歴史的誤算か?

2015.7.16 宮家 邦彦 JB PRESS

 イラン核協議をめぐり長らく懸念されていたことが現実となった。7月14日、イランと国連安保理常任理事国など6カ国が最終合意に達したからだ。

 早速、日本の一部メディアは「原油安定調達拡大」「エネルギー価格下落」や「日本企業進出」に期待が高まるなどと浮かれている。

 一体どこからそのような楽観論が生まれるのだろう。というわけで、久し振りの「一神教世界の研究」はイラン核開発問題を取り上げる。

「合意されたこと」と「されなかったこと」

 最終合意が発表された直後、米国のバラク・オバマ大統領は「核兵器へのすべての道は絶たれた(Every pathway to a nuclear weapon is cut off.)」と述べた。相変わらずのナイーブ発言だ。

 これに対し、イランのハサン・ロウハニ大統領も「イランが核兵器を作ることは決してない」と述べたそうだ。

 しかし、待てよ。もしかしたら、両大統領の発言は厳密には正確なのかもしれない。筆者の見立ては以下の通りだ。

 誤解のないよう申し上げる。外交で最も重要なことは最終合意文書に「書いてあること」では必ずしもない。むしろ「書かれていないこと」、すなわち「合意されなかったこと」こそが本質であることも少なくないのだ。

 ここからは内外メディアが報じる合意内容の概要とそれに対する筆者の独断と偏見をまとめてみた。これをお読みいただければ、筆者が悲観する理由をご理解いただけるだろう。

合意(1)イランの核開発は今後8~15年間、大幅に制限される

 イランは既存の遠心分離機を今後10年間、現在の約1万9000基を約6100基に減らす。新型遠心分離機の研究・開発は一定の制限下において継続が認められる。

 今後15年間、イランは濃縮度3.67%を超えるウランを製造しない。現在保有する10トンの低濃縮ウランは300キロにまで減らす。今後15年間、ウラン濃縮活動はナタンズ核施設に限定される。

 中部フォルドゥの地下核施設での濃縮ウラン製造は停止され、同施設は研究関連用に転換される。アラクの重水炉は兵器級プルトニウムが生産できないよう設計を変更し、同重水炉の使用済み核燃料は国外に搬出される。

筆者の見立て(1)

 ケリー米国務長官は、これまで「2~3カ月以内」に可能だったイランの核兵器レベルウラン濃縮が、最終合意により「1年以上」に伸びたと胸を張った。しかし、最終合意文書をいくら読んでも、イランは核兵器製造「能力」と「施設」までは放棄していない。

 言い換えれば、最終合意でも、イランは核兵器製造「能力獲得」を断念せず、米国は真実の時(moment of truth)を8~15年先延ばしただけなのだ。

 米国・イラン両大統領の言う通り、イランが「核兵器」そのものを獲得することは当面ないだろう。今イランが望んでいるのは核兵器の「製造」ではなく、いつでも、恐らくは(イスラエルのように)ごく短期間で、核兵器を製造・配備できる技術的・物理的能力を獲得・維持することだ。

 その意味で両大統領の発言に嘘はない。真の問題は米国がそのようなイランの「能力獲得」をもは阻止できないと事実上認めたことだろう。

合意(2)イランはNPT(核不拡散防止条約)に残り、かつIAEA(国際原子力機関)の厳しい査察を受け入れた

 確かに、IAEAの権限は拡大された。イランはIAEAの「追加議定書」を批准し、未申告核関連施設の調査や抜き打ちの査察を受け入れる。

 具体的には、IAEAは未申告核物質の存在など疑惑のある施設に検証のため立ち入りを求めることができる。さらに、査察につき意見が対立する場合、関係当事国からなる仲裁委員会が助言のうえ、イランは3日以内に必要な手段を取るという。

筆者の見立て(2)

 最終合意にはIAEAによる査察につきあれこれ書いてあるが、どうやら核開発疑惑のあるパルチン軍事施設など特定施設の査察にはイラン側の事前承認が必要らしい。されば、イランが軍関係施設へのIAEAの無条件査察を事実上認めない可能性もあるということだ。

 この点で我々には似たような経験がある。イランがイラクや北朝鮮と同じインチキ行為を繰り返さないという保証はない。 

合意(3)イランに対する経済制裁を段階的に解除する

 イランに対する経済制裁はIAEAがイラン側の核開発制限を確認した段階で一括して解除される。万一、イランが合意内容に違反すれば、65日以内に制裁を元に戻す。対イラン武器禁輸は、防衛目的武器の輸出入制裁措置が緩和され、5年後に完全に解除される。

筆者の見立て(3)

 これ自体曖昧な内容だが、より重大なことは、最終合意が現在中東各地でイランが行っている諸紛争への政治・軍事的介入につき何も触れていないことだ。当然だろう、今回の合意はイランの「核開発」を「阻止」すべく結ばれたものだからだ。

 逆に言えば、このまま経済制裁が解除されれば、イランの財政は大幅に改善し、米国が「国際テロ支援」と呼ぶイランの対外干渉は止むどころか、むしろ一層拡大するということ。

 イスラエルやサウジアラビアなど湾岸・アラブ諸国が最も懸念するのがこの点である。

的外れの各社社説

 以上を踏まえ、7月15~16日の主要日刊紙各社の社説をもう一度お読みいただきたい。紙面の都合もあり筆者の責任で要約させてもらった。詳細は全文を参照願いたい。

【朝日】イラン核合意―流れを確かなものに

○(イランの)核武装の悪夢は遠のいた。国際的な結束が欠かせない。
○隔たりを克服して合意にこぎ着けたのは、双方の理性の勝利と言えるだろう。
○エネルギー市場でのイランへの期待はかねて大きい。
○安倍首相はこの湾岸での機雷掃海を挙げるが、もはやそんな想定は難しい。
○発想の転換は、日本にも求められる。

【毎日】イラン核合意 中東安定への転機に

○難産の末に生まれた歴史的合意を大事にしたい。イランの誠実かつ厳密な履行が不可欠である。
○キューバとの関係正常化に続く外交得点。イランと米国の歩み寄りは確かに画期的である。
○核協議を足場に米・イランが協力関係を築ければ中東安定にはプラスになろう。
○イランと欧米が関係正常化へ向かうなら、日本は経済も含めてイランとの緊密化に努めたい。
○中東情勢を好ましい方向へ導く日本の役割を考えることも大切だ。

【日経】イラン核合意を中東地域の安定にいかせ

○イランに核兵器を持たせないようにする歴史的な合意である。
○合意を確実に履行し、中東地域の安定実現にいかすことを望みたい。
○粘り強く交渉を続けた双方の努力を評価したい。
○核合意を中東が混迷から脱する足がかりにしていきたい。
○イランの国際社会復帰を後押しすることは日本のエネルギーの安定調達にも寄与する。

【産経】イラン核合意 着実な履行で不信克服を

○イランの核武装阻止に道筋を付け、同時に国際社会への復帰を促す歴史的合意。
○軍事施設を例外としなかったのは評価できる。
○イランの歩み寄りは経済制裁の効果である。
○もろさを抱えた合意であることを認識すべきだ。
○イランが国際社会に復帰し、責任ある地域大国として中東の安定に役割を果たすことを期待したい。

 以上の通り、7月15日の各社社説は似たり寄ったりだ。各社とも申し合わせたかのように、「歴史的合意を評価」し、「イランの合意履行が必要」としつつ、「中東地域安定」と「エネルギー安定調達」への期待をにじませている。

 「コップは半分満たされている」と見るこれらの社説がいかに当たり障りのない、付け焼刃の論説に過ぎないかは繰り返すまでもないだろう。これに対し、7月16日の以下の社説は実に的を射ており、他社との違いは歴然だ。

【読売】イラン核合意 中東安定への転換点になるか

○イランは本当に合意を守るのか。楽観はできない。
○合意文書では、イランの核開発の能力や核施設は温存される。
○合意期限が切れる15年後以降は、何の制約も設けていない。
○イランへの経済制裁が解除されれば、原油の増産と輸出増が期待できる。
○日本も調達先の多角化を図るため、情報収集を強化したい。

合意は中東湾岸核拡散の始まり

 読売の社説は「コップは半分空だ」と指摘している。その通りだ。今回の最終合意の本質は、

(1)イランが核兵器開発能力獲得の意図を放棄せず
(2)イランが合意を完全に履行するかにつき懸念が残るにもかかわらず
(3)米国はそのようなイランを受け入れた

 すなわち、武力などによってイランのイスラム共和制の体制変更は行わないと事実上認めた、ということに尽きる。これは米国の歴史的誤算かもしれない。

 残念ながら、始まったのはイランの「非核化」ではなく、中東湾岸地域での「核兵器拡散」だ。これのどこが「米国とイランが歩み寄った結果」なのか。

 一部分析は、米国が中東安定化のためにイランを必要としており、米国とイランはIS(イスラム国)との戦いで「共闘」する可能性があるとまで書いている。これらが中東における戦略的問題と戦術的問題を混同した俗論であることは言うまでもないだろう。

 今回イランは最も守りたかったこと(核兵器開発技術獲得)を皮「一枚」どころか「何枚」も残して守る一方、最も取りたかったもの(政治体制維持と経済制裁解除)をほぼ手に入れた。

 今回はイランの粘り勝ちであり、オバマ政権は米国が「実力以下の外交」しかできないことを再び天下に晒したのだ。これ以外の解決方法はなかったとの反論は理解するが、それを言っても現実は何一つ変らない。

 頼みはイラン一般国民だが、今のところ彼らは沈黙を守ったままだ。テヘランとコムにいるイラン保守強硬派の高笑いが聞こえてくる。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44319?utm_source=rss&utm_medium=feed&utm_campaign=link&utm_content=link

◆イラン核合意、共和党が国務長官を痛烈批判 米上院公聴会

2015年07月24日  AFP

【7月24日 AFP】ジョン・ケリー(John Kerry)米国務長官は23日、上院外交委員会の公聴会に出席し、困難な協議を経てまとまったイラン核協議の最終合意を擁護した。ケリー氏がこの合意について議会で公式に発言したのはこれが初めてで、議員らからは同氏がイランに「言いくるめられた」「けむに巻かれた」と痛烈な批判が相次いだ。

 ケリー氏は懐疑的な姿勢を示す議員らを前に、「世界にとって良い合意」だと訴え、承認を要請した。

 前週オーストリアの首都ウィーン(Vienna)で結ばれたこの合意についてケリー氏は、「実際のところこのウィーン合意はイランの核計画を制限していく上で、これまで俎上(そじょう)に載せられた他のどんな選択肢よりも強力で包括的、持続的な措置となる」と述べた。

 さらに、履行されればイランを「永遠に厳しい監視」下に置くことができ、同国の核活動が「全面的に平和的なものであり続ける」よう国際社会も結束していけると付け足し、「これは世界にとって良い合意、米国にとって良い合意、地域における米国の同盟国と友好国にとって良い合意だとわれわれは信じており、議会からの支持に値するものだと考えている」と話した。

 しかし共和党議員らからは懐疑的な意見が相次ぎ、公聴会は4時間半に及んだ。ケリー氏は細い銀縁眼鏡の後ろに疲れたような目を見せていた。

 議会はこの合意を承認するかどうか、60日間の審査期間に入っているが、上下両院で特に共和党議員らから強い抵抗を受けている。

 議会は不承認の動議を可決することができるが、これに対しバラク・オバマ(Barack Obama)大統領は拒否権を発動することができる。この拒否権を覆すには、上下両院のそれぞれで3分の2の票が必要となる。(c)AFP/Robert MACPHERSON

http://www.afpbb.com/articles/-/3055365?ctm_campaign=pcpopin

◆力の均衡が決定的に変化した

2015年10月20日 マスコミに載らない海外記事

Paul Craig Roberts
2015年10月10日

9月28日、ロシアのプーチン大統領が国連演説で、ロシアはもはや耐えることができないと述べて世界情勢の大転換が起きたことを世界は認識し始めている ワシントンの卑劣で愚劣で破綻した政策が解き放った混乱は、中東、そして今やヨーロッパを席巻している。二日後、ロシアはシリアの軍事情勢を支配して「イスラム国」勢力の破壊を開始した。

おそらくオバマ顧問の中にも、傲慢さに溺れておらず、この大転換を理解できるごく少数の人々はいる。スプートニック・ニュースは、オバマの安全保障担当幹部顧問の何人かが、アメリカ軍勢力をシリアから撤退させ、アサド打倒計画をあきらめるよう助言したと報道した。彼らは、ワシントン傀儡のヨーロッパ諸国を圧倒している難民の波を止めるため、ロシアと協力するようオバマに助言した。望んではいなかった人々の殺到で、アメリカの外交政策を可能にしておくことによる大きな犠牲に、ヨーロッパ人は気がつきつつある。顧問たちは、ネオコンの愚かな政策がワシントンのヨーロッパの帝国を脅かしているとオバマに言ったのだ。

マイク・ホィットニーや、スティーヴン・レンドマンなど、何人かの評論家たちが、「イスラム国」に対するロシアの行動について、ワシントンができることは何もないと正しく結論している。ロシアを追い出すための、ネオコンによるシリア上空の国連飛行禁止空域計画は夢物語だ。そのような決議が国連で行われるはずがない。実際、ロシアが既に事実上の飛行禁止空域を設定してしまったのだ。

プーチンは、言葉で脅したり、中傷したり一切することなく、力の均衡を決定的に変え、世界はそれを理解している。

ワシントンの対応は、罵倒、大言壮語や、更なるウソしかなく、しかもその一部を、更にいかがわしいワシントン傀儡がおうむ返しする。唯一の効果は、ワシントンの無能さの実証だ。

もしオバマに、多少の思慮分別があれば、政権からワシントンの力を浪費したネオコンの能なし連中を追放し、ヨーロッパやロシアと協力して、ヨーロッパを難民で困らせている、中東におけるテロの支援ではなく、破壊に注力するはずだ。

もしオバマが過ちを認めることができなければ、アメリカ合州国は、世界中で信頼性と威信を失い続けるだろう。

Paul Craig Robertsは、元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えていた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでい る。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOSTが購入可能。

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2015/10/10/decisive-shift-power-balance-occurred-paul-craig-roberts/

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2015/10/post-9154.html

◆<イラン>核合意が発効 制裁解除は年末から16年1月か

毎日新聞 2015年10月18日

 【テヘラン田中龍士】イラン核問題を巡り、同国と国連安全保障理事会常任理事国(米英仏中露)にドイツを加えた6カ国が7月にウィーンで最終合意した「包括的共同行動計画」が18日、発効日を迎えた。米国と欧州連合(EU)は核関連制裁の解除に向けた準備に着手し、イランは核活動の抑制措置を始める。制裁解除は年末から来年1月とみられている。

 最終合意は7月14日に発表され、同20日に国連安保理で承認決議が採択された。採択から90日後の18日が「合意採択の日」として発効日となっていた。

 イランは18日、国際原子力機関(IAEA)に査察頻度の増加や抜き打ち的な査察が可能になる「追加議定書」の暫定適用を通告した。

 イランメディアによると、イランは合意前に保有していた遠心分離機約1万9000基を5060基の稼働に限定し、西部アラクの重水炉では兵器級プルトニウムが抽出できないよう改修に着手する。

 その後、IAEAがイランの措置の進捗(しんちょく)を確認した上で「合意履行の日」が設定され、制裁が解除される。また、IAEAはイランに関する過去の核兵器開発の可能性に関する調査を進め、天野之弥事務局長が12月15日までに最終報告する。

 イラン学生通信によると、イランのサレヒ原子力庁長官は18日、「履行の日は、おそらく2カ月ほど後になるだろう」と述べた。一方、ロイター通信によると、ドイツのシュタインマイヤー外相は同日、制裁は少なくとも来年1月まで続くとした上で「イランが合意事項を履行できることを示せるかが重要だ」と語った。

 イランの国会(定数290)は今月13日、最終合意を賛成161、反対59、棄権13で承認。米議会では野党共和党が最終合意に反対したが、オバマ政権は議会が不承認とする事態を9月に回避した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151018-00000058-mai-m_est

◆日本政府、イランへの経済制裁を解除へ

2015-08-11  企業法務ナビ

1 日本による経済制裁の概要
 イランは核開発を進めたことが原因で、2006年12月に国連安保理決議がなされて以降、国際社会による経済制裁が課されてきた。日本も、国連安保理決議を受けて、『外国為替及び外国貿易法(外為法)』に基づき、イランに対して経済制裁を課してきた。具体的には、日本企業によるイランのエネルギー分野への投資を禁止したり、核開発計画に関係する個人や会社の資産を凍結したりした。
 なお、外為法は、①国際約束を誠実に履行するため必要があると認めるとき、②国際平和のための国際的努力に日本として寄与する必要があると認めるとき等に、経済制裁を課すことができると規定する。国連安保理決議がなされた場合、上記①と②に該当する。
2 なぜ日本は経済制裁を解除するのか
今年の7月14日に、イラン核開発問題について協議をしていたアメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・ロシア・中国の6か国とイランが、最終合意に達した。その内容は、イランが核開発能力の制限と国際原子力機関(IAEA)による査察を受け入れる代わりに、国際社会が経済制裁を解除するというものである。これによって、外為法における①国際約束を誠実に履行するため必要があると認めるとき、②国際平和のための国際的努力に日本として寄与する必要があると認めるとき、という要件には該当しなくなったため、日本も経済制裁を解除することとしたのである。

3 イランの大きな可能性
 イランは、世界第4位の原油埋蔵量及び世界第1位の天然ガス埋蔵量を有する有数の産油国であり、経済制裁前には日本の主要原油輸入先であった。経済制裁の解除によって、日本はイランからの原油輸入を拡大することができ、原油調達先の多様化を実現することができる。これは日本のエネルギー安全保障上、非常に有益である。
 また、イランは人口が7740万人と多く、今後も増加が予測されている上に、経済制裁の解除によって経済が成長すれば、購買力も増す。そのため、イランは、市場としても魅力的なのである。

4 コメント
欧州諸国は、官民一体の訪問団を派遣し、イランとの関係強化の動きを強めている。これに対して、日本は出遅れ感が否めないという。
本件からいえることは、日本企業としては、経済制裁のようなある種の「法規制」の解除に対して、それを見据えた動きが鈍かったために、ビジネスチャンスを逃してしまうリスクに見舞われていることは否定できない。日本国内においても、規制緩和など「法規制」の解除が多方面で検討されているのであるから、情報感度を上げ、それを見据えた動きの迅速化が求められているといえる。

http://www.corporate-legal.jp/houmu_news1903/

◆日本企業の市場復帰歓迎 イラン石油相、経産副大臣と会談 

2015/8/9   日本経済新聞

 【テヘラン=共同】イラン訪問中の経済産業省の山際大志郎副大臣が9日、首都テヘランでザンギャネ石油相と会談した。石油省によると、ザンギャネ氏はイラン産原油や天然ガスの対日輸出に関し「日本がイランのエネルギー市場で制裁強化前のシェアを回復することは可能だ」と述べ、日本企業のイラン市場への復帰を歓迎する考えを表明した。

 石油省高官は、欧米など6カ国とイランの核協議が最終合意した後の7月20日、米国の制裁強化による影響で日本が2010年に撤退した南西部アザデガン油田の開発について「日本が復帰することは可能だ」との考えを示している。

 ザンギャネ氏は具体的なプロジェクトには言及しなかったが、油田の開発、生産の分野で「日本企業と話す準備がある」と述べ、日本からの技術移転に期待を示した。

 日本はかつて原油輸入量の約3割をイランに依存。だが1979年のイラン革命後の米国との関係悪化や、核問題による欧米の制裁に伴って輸入量を次第に減らし、近年は約5%にまで低下している。核問題の最終合意を受け、制裁解除後を見据えた関係強化のため、山際氏が企業関係者らと共に8日からテヘランを訪問した。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM09H3W_Z00C15A8000000/

◆イランは莫大な軍事地下基地を明らかにした

2015-10-16  世界のメディア・ニュース

イギリスの新聞「ガーディアン(The Guardian)」は2015年10月15日に、イランの国テレビは、ミサイルおよびカタパルトユニット役員が言ったことについて、より一杯にされた地下のトンネルを2015年10月14日水曜日に、前例がない映像を放送した。

これが使われえたなら、「敵は誤りを犯す」ことになると言った。

イランが、新しい長期のミサイルtは、米国言われる国連安全保障理事会決議を破ったかもしれないテストをしたちょうど3日後に、写真はリリースされた。

イランの議会が6つの世界能力と、2015年07月14日の核取引を承認した1日後に、映像はまた来た。

イランの役員は、核の協定が特にその弾道ミサイルプログラムというその軍隊の力に影響しないと言った。

ミサイル発射および地下の映像は、軍隊が取引により弱められなかったことを証明するために、議員からのプレッシャーに続いていた。

トンネル、長さ数百mおよび高さ約10mのであることは、ミサイルとハードウェアによって満たされた。

イスラム共和国の革命家国防の航空宇宙部門の司令官アミール・アリ・ハジザデー准将(Brigadier General Amir Ali Hajizadeh, commander of the Islamic Republic’s Revolutionary Guards)が多く言ったそのようなトンネルは深さ500メートルで、全国いたるところで存在した。

それはまるで1970年代の映画に出てくる地下基地で、スタートレックの世界であった。

http://blog.goo.ne.jp/jiten4u/e/70fbbca2c3a58c5afd56669ca4181178

◆イランから戦闘部隊が大挙シリアへ向かっている~ロシアの制空権の保護の下、シリア政権を擁護する目的か

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成27年(2015)10月16日(金曜日)
       通算第4685号   <前日発行>

 トルコの『ヒュリエット・ディリー』(10月15日)が伝えた。
 ヒズボラなど既存の戦闘集団にくわえて、イランからシリア支援に向かう戦闘員およそ数百がロシアの制空権確保という新状況下に、シリアの空港に到着し始めた。大挙しての戦闘部隊の移動は初めてである。

 シリアの反政府軍スポークスマンによれば、ヒズボラなど地上軍の存在は珍しいことではないが、ロシアの参戦以降、イランからつぎつぎと戦闘員が空路シリア入りし、アレッポなどの戦闘現場へ移動していることはこれまでに無かったという。

 いま、なぜこのタイミングでロシアが本格介入したかについてはウクライナ問題を反らず為、中東で主導権を握るためとか、様々な解釈があるが、ワシントンタイムズは、[ITIS OIL,STUPID]と論じた。
 ロシアの石油戦略は、原油値上げによる景気回復である。だからプーチンの戦略は、石油に立脚しているとの指摘である。

 ロシアはイランのガスパイプラインがシリアを経由しているルートの安全を確保し、さらにトルコ経由のガスパイプラインの欧州向け拠点つくりを本格化させる。露西亜空軍が空爆している地域はガスパイプラインの通り道でもあるという。

http://melma.com/backnumber_45206_6273001/

◆「ロスオボロンエクスポルト」:ロシアとイランはS300の契約作業を順調に進めている

2015年11月03日 Sputnik 日本

ロシアの国営兵器輸出企業「ロスオボロンエクスポルト」のアナトリー・イサイキン社長は、テレビ局「ロシア24」の番組で、地対空ミサイルシステム「S300」の供給に関するイランとの契約締結に関する作業は順調に進んでいると発表した。

イサイキン社長は、「我々は、この契約に関する作業を順調に進めている。私は、締結に向けて障害は一切生じないと思っている」と述べた。リア・ノーヴォスチ通信が伝えた。

「イラン・プレス」紙のエマド・アブシェナス編集長は、通信社「スプートニク」のインタビューで、新契約の交渉状況について、次のように語った―

「イランによるロシア製の地対空ミサイルシステム『S300』の購入は、2007年に締結された契約条件に基づいて行われている。しかしロシアには今、さらに近代化された地対空ミサイルシステムがあり、イランはその所有を望んでいる。そのため、契約には供給の特質に関する変更が加えられた。

双方は、イランがS300の他に、ロシアの他の地対空ミサイルシステムも購入することで合意した。これらはイランのMD(ミサイル防衛)システムの基盤になるばずだ。契約の微妙なニュアンスについての交渉プロセスは事実上終了し、技術的な実行段階に入った。私は、1-2か月後にも納入が始まるのではないかと思っている」。

http://jp.sputniknews.com/politics/20151103/1116920.html#ixzz3qULj8YQM

かって2006年にオバマ政府により日本のイラン石油開発をつぶされた

 内外のエネルギー資源開発をすすめる国策企業である国際石油開発帝石(筆頭株主・経産相)は、イランのアザデガン油田開発から撤退することをきめた。これはオバマ政府による圧力によるものである。アメリカ帝国主義は、イラン経済制裁を口実に、日本の独自の石油開発の芽をつぶしたのである。日本のアメリカからの経済的自立はいっさいゆるさないということである。

イランのアザデガン油田 経済制裁の対象に
 国際石油開発帝石は、国際石油開発(インペックス)と帝国石油が統合してできた一部上場の民間企業であるが、政府が指揮権をもっている国策会社である。同社は、主として海外のエネルギー資源の確保を目的に活動してきた。

 日本資本主義は全エネルギーの47%を石油に依存している。50%をわったとはいえ、石油は依然として利用エネルギーのなかで最大のものである。その石油の大半は中東の石油であり、石油輸入の87%をしめている。日本は大量の石油を中東から輸入しているにもかかわらず、主な油田の権益は米欧の石油メジャーに独占されている。日本は2000年にサウジアラビアのカフジ油田の権益をなくしていらい、イランのアザデガン油田が将来に期待のもてる唯一の油田であった。アザデカン油田はイラン南西部にあり、原油埋蔵量260億バレルといわれる世界有数の油田である。

 2000年にイランのハタミ大統領が来日し、日本政府と共同でアザデガン油田の開発をすすめることで合意した。この油田開発は日本にとっては希望であったが、アメリカにとっては当初から容認できないものであった。

 イランと日本の国家関係にはなんの障害もなかったが、アメリカはそうではなかった。アメリカは戦後、石油を国有化するモサデク政府を転覆し、親米パーレビ王制をつかってイラン人民を抑圧してきた。そのため、1979年にパーレビ王制を打倒したイラン人民と政府は反米斗争を堅持している。そこでアメリカ政府は、反米姿勢をくずさないイランにたいし、「核開発」を理由に経済制裁政策をとるなど露骨な敵視政策をとってきた。日本にたいしてもこれに同調するようせまり、イランの石油開発を中止するよう再三要求していた。

 こうしたなかイラン政府の対米姿勢がわずかにやわらいだところをねらって、2004年に国際石油開発を中心にした日本側の企業体はイランの国営企業とのあいだで油田開発の契約をかわし、75%の権益を得た。このときの計画では、日産26万の石油を生産することを目標にした。

 しかし、2005年に反米姿勢がより強固なアフマディネジャド大統領が就任すると、アメリカはふたたび開発中止を要請してきた。やむなく06年10月には、国際石油開発は権益を10%に縮小して開発を継続することにした。07年には同油田で生産が開始され、現在まで日産2万の石油を生産している。日本の投資額は100億円をこえている。

日本の重要な石油の供給国 イ ラ ン 

 日本とイランとの関係はアザデガン油田開発だけでなく、なによりもイランは原油の大口輸入先である。2009年の実績では、イランから日本への原油輸出量は日本の原油全輸入量の11.2%をしめ第四位(第三位のカタールとはわずかの差)である。また、イランにとっては日本が最大の輸出先である。イランからの原油輸入を維持するためにも、アザデガン油田開発はなんとかして継続したいというのが日本の政府・独占資本の願望であった。

 しかし、オバマ政府はそれをゆるさず、より強硬なイラン制裁法を成立させ、国際石油開発帝石を経済制裁対象の企業にリストアップすると最後通牒をつきつけてきた。こうして日本政府、国際石油開発帝石は、イラン油田開発からの撤退を余儀なくされたのである。

 オバマ政府の、イランの核開発(原発やウラン濃縮など)禁止要求は、まったくダブルスタンダードである。原発どころか核兵器開発をおこなったイスラエル、インド、パキスタンなどにたいしては「核開発」をもって経済制裁をするなどのことはしていない。ことの中心問題は、反米か親米かであって、アメリカのいうことを聞くなら核兵器開発だって目をつぶるというものである。同時に、日本の中東原油権益の拡張のように、アメリカ覇権に脅威をもたらすようなことについては同盟国であろうと絶対にみとめないということである。
 オバマが署名したイラン制裁法案は、2006年の「イラン・リビア制裁法」を改定したもので、①イランにガソリンや石油精製品を輸出する企業の米国での取引制限、②革命防衛隊などと取引する金融機関にたいする米銀行との取引制限、③通信監視技術をはじめイランの人権侵害に利用される技術などを供給した企業を米政府調達から排除――などが柱となっている。

 イラン制裁法はイランに投資する外国企業への制裁をおこなうもので、2006年改定法をいっそう強化するものであり、特徴は金融的な制裁もくわえる点にある。日本の国際石油開発帝石はほそぼそと権益だけは維持するかたちでアザデカン油田開発の事業をつづけてきたが、ここにきて新法を成立させたオバマ政府から制裁対象企業のリストにはいることを告げられ、ついに事業中止をしいられた。アメリカに頭のあがらぬ民主党政府は、抗議することもなくイランの油田開発からの撤退をきめたのである。

 イラン制裁法は、反米的姿勢をとっているイラン政府に経済的打撃をあたえるために、外国企業による石油などの取引を禁止した法律である。同法は、アメリカの国内法にすぎないが、したがわなければ金融的な報復制裁措置をとるというもので、事実上、イランに投資しているすべての外国企業を同法の制裁にしたがわせるものであり、ヒットラー以上のファッショ的な手口である。

 オバマ政府は、平和的な互恵貿易の発展を破壊し、世界各地で対立をあおり、戦争の危機をひきよせている。とりわけ日本にたいしては資源エネルギーや食料などで自立・自給はゆるさず永遠にアメリカの奴隷になるよう強制している。

                  



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