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源義経黄金伝説■第22回★

2017年09月17日 | 源義経黄金伝説
源義経黄金伝説■第22回★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所源頼朝屋敷を出ようとすると、背後から声が掛かる。西行は後方を振り向く。「西行、ここで何をしておる」聞いたことのある声だが…、やはり、、頼朝の荒法師にして政治顧問、文覚もんがくが、後ろに立っている。傍らに弟子なのかすずやかな眼差しをした僧をはべらしている。「おお、これは文覚殿。先刻まで、大殿(頼朝)様と話をしておりまし . . . 本文を読む

「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第4回

2017年09月16日 | 「なみだ石を探して」
「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第4回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所第4回人々の悲しみの涙を集めた涙岩が、粉粉になる。その涙岩のかけら、「なみだ石」が、緑色、瑠璃色の光を放ちながら、漆黒の闇の中へ、消えていくはずなのだ。今日がその日だ。「君も芝居がうまいね、日待クン。いや本当の名前は何というのかな」ふっと滝は鼻で笑いながらいう。しみじみと、僕を馬鹿にしている。でも僕は理解でき . . . 本文を読む

源義経黄金伝説■第21回

2017年09月16日 | 源義経黄金伝説
源義経黄金伝説■第21回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 ◎「これは、これは有り難きご教示、有り難うございました。もう夜も白んで参りました」鎌倉の酉が鬨の声を告げていた。頼朝と西行二人は一晩中語り合ったのであった。 西行はわれにかえっている。まだ鎌倉にいて、頼朝の前なのだ。「西行殿、この鎌倉にお止まりいただけぬか」唐突な頼朝の提案であった。「いや、無論、平泉から帰られた後でよいのです」  . . . 本文を読む

源義経黄金伝説■第20回★

2017年09月15日 | 源義経黄金伝説
源義経黄金伝説■第20回★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所僧衣の男、十蔵じゅうぞうが重源ちょうげんの前に呼ばれる。十蔵は東大寺のために荒事を行う闇法師である。東大寺闇法師は僧兵の中から選ばれた戦人いくさびとである。十蔵は陰のように重源の前に、出現していた。「十蔵殿、わざわざ、かたじけない。今度の奥州藤原氏への西行殿の勧進、大仕事です。西行殿にしたがって奥州に行ってくださるか」「あの西行さ . . . 本文を読む

源義経黄金伝説■第19回

2017年09月14日 | 源義経黄金伝説
源義経黄金伝説■第19回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所 ★you tube「マンガ家になる塾ー漫画の描き方 ★「マンガ家になる塾」★ 西行は、奥州藤原氏のことをしゃべり終わると、急に無口になった。頼朝は、話題を変えた。歌曲音舞、そして弓道のことなどである。頼朝はこの伊豆に住みながら、いつも京都のあのきらびやかな文化を、生活を恋い焦がれていた。武士と . . . 本文を読む

源義経黄金伝説■第18回

2017年09月13日 | 源義経黄金伝説
源義経黄金伝説■第18回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所「西行殿、これから行かれようとしている平泉ですが……」 西行は、平泉のことを意を決してしゃべる。「よく聞いてくだされました。藤原秀衡殿は、平泉に将兵を集めて住まわせることなどはしておりません。よろしゅうございますか。藤原氏の居館は、お城ではございません。平泉の町には、軍事施設はないのでございます」「では兵 . . . 本文を読む

源義経黄金伝説■第17回

2017年09月12日 | 源義経黄金伝説
源義経黄金伝説■第17回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 驟雨が、鎌倉を覆っている。頼朝の屋敷の門前に僧衣の男が一人たっている。警備の騎馬が二騎、二人は、この僧を物乞いかと考え、追い払おうとしていた。「どけどけ、乞食僧。ここをどこと心得る。鎌倉公、頼朝公の御屋敷なるぞ。貴様がごとき乞食僧の訪れる場所ではない、早々に立ち去れい」語気荒々しく、馬で跳ねとばさんばかりの勢いだ。「拙僧、頼朝公に . . . 本文を読む

源義経黄金伝説■第16回

2017年09月11日 | 源義経黄金伝説
源義経黄金伝説■第16回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所奈良にある黒田荘くろだのしょう(現三重県)は、東大寺の荘園である。先月の東大寺があげての伊勢神宮参詣もこの地で、重源を始め多数の僧が宿をとっている。いわば東大寺の情報中継基地である。 あばら家の中、どぶろくを飲んで横たわっている二人がいる。太郎佐。そこに弟の次郎佐が訪れていた。「兄者、兄者はおられぬか」「おお、ここだ、次郎左」「何じ . . . 本文を読む

染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第3回

2017年09月08日 | 「なみだ石を探して」
染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第3回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 「ええ」僕は答える。 「そうですか.僕、この路線走るのは始めてですねん。ふだんでも,このバスは,ほとんど頭屋村までいかんのですわ。最近は、客が、よういってるようだけど。本当は、これより先はいかんのなあ。いやだなあ」「バス停には、頭屋村まで通じてますの地図と張り紙がったぜ」 滝がいいかえす。 「ここからは道が、 . . . 本文を読む

私の中の彼へー青き騎士ー第3回

2017年09月08日 | 私の中の彼へー青き騎士ー
私の中の彼へー青き騎士ー第3回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所●シーン5私、沙織の最初の記憶だ。 青い空がどこまでも拡がっている。大地はまっ白だった。その日は、雪景色だ。妙にかわいた雪景色だった。 私は何かの「全天候型ワゴン」に乗っていたのだろう。窓から外をながめていた。青と白の対比が美しかったのを憶えている。空から、何かごま塩のようなものが急に拡大していた。「いかん、やつらだ」男の声を . . . 本文を読む