詰将棋劇場blog

平井康雄の詰将棋など、あれこれ

藤井7段本年度最終局

2019-03-29 23:10:26 | 将棋
 指し将棋の方は何十年も興味をなくしていたが、藤井7段の対局はついつい見てしまう。27日に行われた竜王戦ランキング戦4組「藤井7段VS中田宏樹8段」は藤井7段にとって今年度の最終戦。大変面白い試合でした。

 先手:中田8段 後手:藤井7段 94手目54飛成の局面
 

 相矢倉戦で中盤に角交換になり、藤井7段は敵陣に角を打ち込んで馬を作ったが、何か誤算があったようで、肝心の馬はほとんど働けず、中田8段から飛切りの猛攻を受け、自陣の金銀はバラバラにされて防戦一方になる。防戦の合間に必死の端攻めで何とか97歩成までは行けたが、79玉と逃げられて攻めが続けられなくなる。
 攻方54歩があるので「詰めろ」の局面になっていたので、やむを得ず、59飛で王手→69桂合に54飛成と歩を払って詰めろを解消した局面。

 この局面で手番は先手方なので、相変わらず先手が圧倒的に有利な局面です。

 ここから46桂。これに対して、普通なら59龍が有力。実は68龍以下難解ながら詰めろになっているので、それで良さそうだが、73龍と王手されるだけで詰めろは解消されてしまうし、何か合駒に使わされるだけでも詰めろが解消される。単純に54金、同龍、同桂くらいでも困るみたい。さてどうするか・・・

 ここで龍を逃げず、53銀が味のある1手でした。龍の取り合いになると、先手玉の形が悪すぎるので、さすがに龍を逃げざるを得ないようです。

 以下、73龍、72歩、同龍、59龍、54歩で次の局面。

 

 ここに至っては68龍を敢行して、後は詰むか逃れるかの賭けに出るしかないかと思われた局面、ここで何とも妖艶な1手が飛び出します。

 次の1手はまさかの「62銀」でした。先程動かした銀をタダ捨て!

 中田8段は予想外の1手に面食らったようで、秒読みにせかされて同龍とウッカリ取ってしまったのですが、これがとんだ毒饅頭でした。

 68龍、同玉、67香、57玉、56歩、同玉、45金(実際はここで投了)、57玉、39角、48歩、同角成、同銀、56歩、47玉、35桂、37玉、27馬まで。何と持駒も含めて正しくピッタリのトン死。7筋の龍利き筋が消えた途端に詰み形になっていたのでした。

 ほぼ負けていた試合を、最後の最後でうっちゃって大逆転勝利となりました。
 これで本年度の勝率1位が確定したそうです。

 62同龍では、34桂が有力だったそうで、以下35角、46歩の展開でやはり先手やや有利ということだったようです。

 さらに振り返れば、54歩では一旦24金が安全策だったようで、33歩と受けるしかないので、それから54歩なら、同じ展開になっても、1歩足りなくなって詰まなかったということでした。

 
 今年は終盤に2敗したために、中原名人の勝率にわずかに届かなかったそうです。
 特に順位戦の近藤戦で敗れたのが最大の痛手で、たった1敗のおかげで連続昇級を逃すことになってしまった。
 来年はリベンジして一気にA級まで駆け上がって欲しいところです。

 とりあえずは、明日のチャンピオン戦は当然優勝されるんだろうと思っていますが、果たしてどうなりますか・・・

 
 

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