川を弱い光で明るくさせながら
薄らと白く煙る空に陽が昇り始めると
全身を白く塗りたくって祈る人、
一斉に川から運んだ水を浴びる人、
川の中へゆっくりと入って行く人たち、
太鼓や鈴を鳴らしながら祈りを捧げる人、
・・そんな生きた時間が
この街でまた新しく始まりました・
・・・
川の向こうに昇る朝陽を
見に行かない?・・
ここに来ていく日も経った
雨が少し降った午後、路地の奥にある
コーヒーが美味しいと評判のカフェで、
いつものように、唐突に
少し遠くを見返した後の潤んだような
目をこちらに向けたアミに誘われ、
翌夜明け前、僕たちは、
真正面から昇る陽が見えるよう
河岸からかなり登った階段に
並んで腰を下ろした・・
・・
ゆっくりと光が雲から現れ
アミにも薄い夜明けの太陽があたり
少し子供のような面影残る横顔にも、
薄い影と輝きが混じりました・・
強い意思と折れそうな意思、、。
・・・
思ったより綺麗じゃないよね・・?
やっぱりスモッグのせいかな?
少しがっかりしたような呟きが
アミからもれ、今日の大事な僕たちの
行事が終了し、これから陽が沈み
眠るまでの間にしなければならない
事は何も無くなりました、、
迷路のようなこの街の路地を
ブラブラ歩き、メインストリートに出て、
チャイとプリーの朝ごはんを食べ
川の見える少し開けた場所に出て
暑い風をもう一度確認してから、
小さな部屋に戻って来た、
・・・
川を渡る列車が遠くに見える・・・・
・・・
大事な時間をありがとう・・アミ
最近は時間がダブつき気味ですから・僕
時は限りあるもんだからね!
大事にしなさい!・・アミ
そうだね・・僕、?
数年前、同じ言葉を僕にかけてくれた
人は、今頃どうしているだろう?
・・
君にとってはとても大事な時間だから
・・その人
少し進んで、振り返った時に・・きっと
君だったら理解できると思うよ・・その人
・・
ミシェルの洗濯物が、ここ数日、
屋上で見かけなくなっている・・。
昨日、見慣れない顔の男が
中庭に座っていて、それが髭を綺麗に
剃り落としたミシェルだとアミに
教えてもらうまで、僕は解らずにいた。
そう言えば?、最近は
夜、泣いていないようだ・・。
一回分の洗濯洗剤の量を正確に計り、
その量に合わせた正確な線の入れてあるフィルムケースを持ち歩き、
片面を五十回、洗濯板にこすりつけ
毎朝、洗濯していた、ミシェル・・
玉ねぎにいちいち定規をあてながら
切断する、ミシェル・・
ドイツ、ケルン生まれ、24歳
唯一知ってる日本人は
ヤスヒコ オクデラ・・
ゲーテの詩集を持ち歩いているけど
開けた様子の無い、ミシェル
・・
とにかく、とりかかれば心が燃え上がるし、続けていれば仕事は完成する。ゲーテ
・・
数日前、別の部屋に来たらしい
ドイツ系スイス人の女の子
グートと朝ごはんを共にし始め、
午後にはよくガートを笑いながら散歩
する二人、母国の言葉で楽しそうな会話が
夜、いつまでも続いてる事も・・・
ミシェル、変わったよね?・・僕
恋、打ち破るよね?・・アミ
私も少し変わった?・・アミ、?・・僕
・・・
幸せな空気が
この小さな部屋にも入ってきた
いや?僕が知らないだけで
もっと多くの簡単な幸せが入って来て
いるのか、、。
ミシェルの顔は髭が無くなり
若返り、生き生きとした目、口、
ハズムような足取りに変わり、しかし
いままで毎日洗濯し取り替えていた
少しよれているけど清潔なシャツが
今は少し汚れている・・・
二十代の恋は幻想である。三十代の恋は浮気である。人は四十代に達して、初めて真のプラトニックな恋愛を知る。ゲーテ、恋についての名言
ゲーテの名言や場所の描写の一部を除き
それ以外の人物など
全てフィクションです。
🙇♂️