出戻り

仕事が一段落した。数日、いや一週間ほどなら時間はつくれる。
CB-Fに例のグリップヒーターを装着して（けっこう時間がかかった）、
夕方、東名高速道路に乗り入れ、西へ向かう。
今日中に、どこまで行けるのか……。

メーターバイザーの恩恵で、体感的な寒さはそれほどではない。
しかし、グリップが一向に暖まらない。配線を間違えたか。

厚木あたりで点検である。
メーターバイザーの取り付け時に、光軸を狂わせたことも判明する。
向こうのカラスを照らすほど上向きになっている。

まあ、それはいい。力業でなんとかなるだろう。
問題は、配線を確認する工具がないことか。
と思って、ふと、エンジンまわりを眺めると、なんと。
ガソリンコックから、ガソリンがジバジバと漏れているではないか。

こりゃ、まずいな。いや、燃えなかっただけ幸運か。

日が暮れていく。とりあえず、家に戻ろう。

横浜に戻り、手持ちの工具であれこれする。
グリップヒーターは、どうやらアースがうまく取れていなかったようだ。
配線をし直すと、直前まで誰かがしゃがんでいた便座のように、
ほんのりと暖かい。これでいい。

しかし、ガソリンの件は、どうにも出来ない。
そのアシで、部品の注文と相成った。

西は、まだ遠い。