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「タイフーン」劇場にて

2006年05月07日 | cinema-korea




4月22日に見た三本目は韓国映画『タイフーン』でした。

主演は『ブラザーフッド』『PROMISE』の「チャン・ドンゴン」、共演に『イルマーレ』『オーバー・ザ・レインボー』の「イ・ジョンジェ」、『純愛中毒』『我が心のオルガン』の「イ・ミヨン」など。


アメリカ船籍の貨物船が海原を漂う難民ボートを発見する。乗組員は難民を助けようとするが一緒に乗り込んでいたエージェントにとめられてしまう。しかし停止した貨物船に何本ものロープがかけられたことに気付くものはいなかった。
海賊のリーダー『シン(チャン・ドンゴン)』はこの船で秘密裏に運ばれている貨物を狙い、襲撃をかけてきたのだ。乗組員を皆殺しにした海賊たちは悠々と核物質を我が物とした。
軍特殊部隊の『カン・セジョン(イ・ジョンジェ)』は特命を受け、『シン』について調査する。そして『シン』には姉がいること、そしてかつて二人を襲った悲劇を知るが・・・


『JSA』『シュリ』などと同じく、韓国でしか描くことの出来ない南北分断をテーマに取り扱った大作ですね。予告編からはアクションモノを想像していましたが、人間ドラマをメインにした作品でした。南北それぞれの思惑に翻弄される小市民の悲劇を描くにはどうしても人間ドラマにならざるを得ないのでしょうね。
主人公『シン』の身に起きたことは実際に起きていたとしても不思議ではないですね。おりしも韓国人拉致被害者も話題になっていますが、太陽政策をとる今の韓国政府の対応をみると、リアルタイムでこういった悲劇が起きていそうです。
幼い頃、小さな胸に新天地を夢見て超えた38度線が、素直な少年を一人のテロリストにしてしまう。平和ボケした日本に住む私には想像すら出来ない現実がそこにあるのでしょう。
北からの脱出に失敗しかろうじて生き延び海賊のリーダーにまで登りつめた『シン』を演じたのは「チャン・ドンゴン」。彼は本作のような荒々しい役柄がはまっていますね。野性味の中に洩れ見えてくるたった一人の家族への愛が、哀しさを演出していました。
『シン』の姉『チェ・ミンジュ』を演じたのは「イ・ミヨン」。北からの脱出者の若い女性が春を売る商売に身を落すことが多いのはニュースなどで見たことがあります。劣悪な環境をただひとつの希望を胸に生きた女性をリアルに演じていました。
「イ・ジョンジェ」が演じたのは韓国政府のエージェントとして『シン』を追うエージェント『カン・セジョン』。政府の立場に立ちながらも二人の境遇に胸を痛めるそんな難しい立場の役をうまくこなしていたと思います。

この作品の姉弟のような悲劇の起きない時代が来ることを切に願う作品でした。



評価 星 さんてん ご


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