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やっぱり民法が好き!

騙取金による弁済と不当利得

2006年04月17日 | 事務管理・不当利得・不法行為
【問題提起】
 債務者が第三者から騙し取った金銭で債権者に対して弁済した場合、第三者は債権者に対して不当利得返還請求できるか。被詐欺者たる第三者の損失と債権者の受益との間に因果関係が認められるか、債権者の金銭の受領に法律上の原因がないかが問題となる。

【判例】
 社会通念上、第三者から騙し取った金銭で債権者の利益をはかったと認めるに足りる連結があるときは、第三者の損失と債権者との利得との間には不当利得の成立に必要な因果関係があると解すべきである。不当利得制度は公平の観点から利益調整をはかるものであるから、因果関係も公平の観点から判断されるべきだからである。
 また、債権者が金銭の受領につき悪意・重過失がある場合には、その利得は被害者との関係においては法律上の原因がないと解すべきである。
 よって、社会通念上、第三者から騙し取った金銭で債権者の利益をはかったと認めるに足りる連結があり、債権者が金銭の受領につき悪意・重過失がある場合には、第三者は債権者に対して不当利得返還請求できる。

【補足】
 通説は、「法律上の原因なくして」を、公平の理念からみて財産的価値の移動をその当事者間において正当なものとするだけの実質的・相対的な理由がないことをいうと解している。

【備考】
双書p44