【問題提起】
契約違反があれば直ちに残債権額を請求できる旨の特約が付されている割賦払債権について、一回の不履行があったときは、その時から残債務全額の消滅時効が進行するか。166条の「権利を行使することができる時」の意義が問題となる。
【判例】
この点につき、通説は、債務不履行が生じた時点で残債務全額を請求できることから、即時に時効が進行すると解している(即時進行説)。
しかし、一回の不履行があっても、各割賦払金額につき約定弁済期の到来毎に順次消滅時効が進行し、債権者が特に残債務全額の弁済を求める旨の意思表示をした場合に限り、その時から全額について消滅時効が進行するものと解するべきである(債権者意思説)。なぜなら、債務不履行が生じたときでも、債権者が一時払いを求めずなお割賦払いを求めるにとどめる場合もあり、そのような場合に全額について即時に時効が進行するとなると、かえって債権者に酷な結果となるからである。
【備考】
要論p278
契約違反があれば直ちに残債権額を請求できる旨の特約が付されている割賦払債権について、一回の不履行があったときは、その時から残債務全額の消滅時効が進行するか。166条の「権利を行使することができる時」の意義が問題となる。
【判例】
この点につき、通説は、債務不履行が生じた時点で残債務全額を請求できることから、即時に時効が進行すると解している(即時進行説)。
しかし、一回の不履行があっても、各割賦払金額につき約定弁済期の到来毎に順次消滅時効が進行し、債権者が特に残債務全額の弁済を求める旨の意思表示をした場合に限り、その時から全額について消滅時効が進行するものと解するべきである(債権者意思説)。なぜなら、債務不履行が生じたときでも、債権者が一時払いを求めずなお割賦払いを求めるにとどめる場合もあり、そのような場合に全額について即時に時効が進行するとなると、かえって債権者に酷な結果となるからである。
【備考】
要論p278