アセンションへの道 PartII

2009年に書き始めた「アセンションへの道」の続編で、筆者のスピリチュアルな体験と読書の記録です。

BKYJ ③ アルパダイ

2017年10月29日 10時20分44秒 | クリヤーヨーガ・ジャーナル
BKYJ 2017 Fall
By M.G.サッチダナンダ

アルパダイ(他者に「道」を示す)

 あなたは他者の手助けをする必要性または責任を感じているだろうか? クリヤーヨーガの修行者として、如何にしてあなたはそれが可能なのか、或いは為すべきなのかを自問しているだろうか? あなたは、クリヤーヨーガにおけるあなたの知識と経験が、家族、友人、仕事の仲間或いは知人の悩みを軽減することができるか否かを自問しているだろうか?

 タミールヨーガのシッダの著作を通じて、彼らが事例、心情、性別、宗教或は国籍を問わず、一人ひとり全員に「道」を示すというアルパダイの考え方に言及していることを見出すことができる。それが強調しているのは、自分自身の悟りによって あるいは自分が人類を救済するという誓いである。それに非常に似通ったシッダの格言がある。それは、「私が享受する至福が、すべての者に与えられますように」というものだ。苦悩からの真の解放は孤独の内にはないということを彼ら(シッダ達)は真摯に感じていた。完成若しくはシッディ(悉地)への道を示すことは、最も優れた利他行である。彼らは、世界の終りの無い悲しみから解放される道をすべての人に示すことを求めた。彼らの願いは、多くの者が一つの永遠の、すべてに関連し、全てを統合する「自己」の知識を獲得することだ。

 「クリヤーヨーガの誓い」はこのアルパダイの考え方を表現したものだ。その中で我々は、自身の利益の為のみならず、すべての人の利益の為にクリヤーヨーガを実践することを誓う。「地上の全ての者が自らの目的を達成できるように、わたしは自らの存在と歓びを完全にクリヤー・ババジに永遠に明け渡します。」「静けさは、すべてのものを明け渡すことにあり、霊は静けさを求めます。私が全てのものを明け渡さなければならないのなら、同朋のためにすべてを明け渡すことが最も良いことです。」 私が新たな秘義参入者(イニシエーション受講者)にしばしば言う通り、この「誓い」を伝える時、たとえクリヤーヨーガの修練をやる気にならない日があったとしても、とにかく修練を続けなさい。なぜならあなたが修練を行えば、周りの人々は修練を行うことがはるかに容易に感じるから。

 誓いは続ける。「私は、病める者の慰めであり、癒し手、僕です。私は、食べ物と飲み物の雨で飢餓と渇きの苦しみを癒します。終末の飢饉には、私が飲み物、食べ物になります。」 肉体的、情緒的、精神的或は霊的に病んだ人々とヨーガの教えを分かち合うことによって、あなたはこの「誓い」を同様に充たす。如何にヨーガがあなたの助けとなったかということに関するあなたの愛と感謝を分かち合う為に、教師として訓練されなければならない訳ではない。この記事の最後に、あなたが眼にするように、あなたがそれを実行に移す多くの方法がある。それを表現することは、あなたのヨーガに対する理解を深めることだろう。また以下に述べる通り、それを実行することはあなたのヨーガの修練の形となり、あなたの内にある不快感の多くの原因を克服し、「神」またはあなたのハイアーセルフの道具として自身を明け渡すことを可能にする。

 ヨーガのシッダ(達人、成就者)たちは、すべての存在の福祉、幸福そして連帯意識を確立しようという愛の願望を持つ。愛は人生の目的であり、手段であり、到達点だ。シッダ達は言った。「anbu Sivam」、即ち、「神は愛である」と。神性を悟る為に、生まれもったエゴとそこから顕現する執着または欲望と反感または恐れなど、人間の不完全さから解放されなければならないと心底から信じていた。霊的向上の道は一つであり、内面に向かう為には一人でいる時間を必要とするが、人間の性質を変容させるには、自身の不完全性に気づく必要があり、それは人の影のように、自身で見ることはできない。もしあなたが一人で生きていたら、あなたは他者より優れている、或いは完全であるとさえ思うかもしれないが、他者と接するにつけ、あなたの欠点や角(かど)が明らかになり、それらが丸くなることすらある。

 タミールヨーガシッダのマントラ、「シヴァヤナマ」は単なる哲学的な概念とか秘教的な道具ではなく、社会的な概念でもある。「ナマ」とは離欲或は献身を意味し、「シヴァ」は至福(アーナンダ)を意味する。「アヤ」は成果や結果を意味する。この「シヴァヤナマ」という語は、「献身の結果は至福である」との意味だ。シッダ達は献身の内に至福を感じ、彼らは献身を奉仕の機会と考えた。彼らにとって奉仕と仕事は自身の「真我実現」と共に開始する。つまりシッダ達の社会に対する関心が「真我実現」の別の方法を与えたのだ。シッダ達の神秘体験は、我々に社会奉仕の新しい概念を示している。

アルパダイの肯定的及び否定的側面

 他者に道を示すということは、何を為すべきか、何を避けるべきか、或いは何を為さざるべきかを含む。積極的な側面は、次のことがらを共有することを含む。それらは、ヨーガの手法、禁戒即ち社会的な制約事項または倫理原則(非暴力、真実、貞操、不盗、不貪)、ヨーガシッダの叡智の教え、彼らの食事療法そして健康的な生活の推奨事項などである。例えば、なぜそして如何にあなたの生活に肯定的な影響をもたらしたそうした手法、原理、教え、推奨事項を見出したかを他者と話し合うことで補足される。多くの科学の分野におけるそれらの貢献もまたそれらの社会的な使命の肯定的な側面を例示することにもなり、我々も同様に行動したいとの期待を抱かせるかもしれない。

 アルパダイの否定的な側面は、誤った信念を生じさせるところの何を避けるべきかを共有することが含まれる。彼らの文献の中で、カースト制度と同じく外部での儀式を行うこと、寺院での礼拝を重要視することを避けるよう推奨している。というのは、それらがエゴイズムから生じた癖や傾向を純化するために必要な努力を妨げると共に、瞑想とクンダリニーヨーガを通じて内なる神性を見ることをも妨げるとの理由からだ。組織化された宗教制度も心理的な錯覚を作り上げる。シッダ達は、現世を放棄しようとするより、人間的な不完全さから逃れる自由を楽しみながら、人類の向上の為に彼ら自身を捧げた。彼らの教えは、社会の通念というよりヨーガの知恵から生まれた世界規模のヒューマニズムに対する新たなパラダイムを提供している。

感謝、善意、感情移入、共感そして同情を養う

現在の物質主義的な消費文化において、人の最も深い価値観を分かち合ったり、苦しんでいる人たちに対する手助けを行ったりすることが出来ず、他者との精神的な隔絶感を味わうことはいともたやすい。結果的に、他者とアルパダイ即ち真理への道を分かち合うことについて、人は不適格だと感じるかもしれない。そのような孤立感と不適格性の感情を克服するため、感謝、善意、感情移入、共感そして同情の感情を漸次育んでいくことを私は推奨している。

感謝とは、あなたがゴールに到達することに成功し、より優れた人間になり、あなた自身の目的を理解する手助けとなった夫々の人と全てのものに対する認識に伴って生じる愛の感情である。究極的にそれは、それらの摂理の源が神と同一であると認識することだ。それを育むことは、憤り、欠乏感、自暴自棄、孤立感そしてあらゆる形態の欲望と恐れを駆逐する。あなたの感謝すべきことを数えること、或いはコップが半分「から」なのではなく、半分充たされていると考えることで、日々それを練習しなさい。そうすることで、あなたは他者に対してより愛情深くなり、快く与えようと感じるようになるだろう。

善意とは、必ずしも彼らがどう感じているのか判らなくとも、他人の幸福を願うことだ。批判したり裁いたりするよりは、彼らを祝福しなさい。それは個人に対して行うというより全世界に対して行うこともできる。

感情移入は他者が感じていることを理解することだ。あなたは悩みを見つける。或いはあなたは過去に同様の経験をしたかも知れない。悩みによって感情的に突き動かされ、同情を惹き起こすかも知れない。

共感は感情移入プラス善意だ。あなたは彼らがどのように感じているかを知り、そして彼らが幸福になることを望む。あなたは悩める人の幸福を望むと表現するような仕方で行動するよう突き動かされる。

幸いなことに、我々の進化に対する社会的な要請のため、人間には共感の感情が本来備わっている。他人に対する共感の能力を高めるため、彼らの過去とそれが彼らをどのように作り上げてきたかを想像しなさい。胸が張り裂けるような、どんな状況に彼らが直面したのか? 彼らの現在の気持ちの状態のなかで、今彼らの中にいることはどのようなことなのか想像しなさい。

あなたが心地よく感じる範囲を拡げる

 あなたは他人に道を示すことで不安を感じるかも知れない。心配、恥じらい、悲しみそして臆病、自尊心の欠如といった心の習性が、あなたが手を差し延べる妨げになるかも知れない。不快であることに心地よく感じるため(これは典型的なヨギの苦行のスタイルであるが)、ここにあなたが心地よいと感じる範囲を拡げるいくつかの手法を示しておく。これらを、例えば他者との夕食の会話など、あまりリスクのない場面で使うことから始めなさい。

 心地よいと感じる以上に長く、目を合わせていなさい。
 エレベーターの中で、普段以上に他者の近くに立ち、そこから動くことに抵抗しなさい。
 全く見知らぬ人と、決まった回答のない質問で会話を始めなさい。
 内面の不快なことは、我々の頭脳の生き残りのためのメカニズムから来る通常の副産物だと心に刻むことで、「不快」という烙印を剥がしなさい。
 否定的な考えに関しては、それらは精確ではないかも知れないし、壁の落書きのように否定的に見ることによって歪められていると気づくことで、中立化させなさい。
 あなたは多くの要素をみのがしていて、その内の幾つかは肯定的なものだと考えなさい。例えば、他人のボディランゲージは、その人が前の時間に生じたことに対する反応かもしれないと。「私の」心配事として見るのではなく、それらを「不安な感情が存在する」といった具合に、個人的要素を除きなさい。
 現実を書き換えなさい。例えば、あなたたちが共有していることについて他人が疑問か困惑を表明したら、自身に問いかけなさい。彼らの反応はもしかしたら良いものではないだろうか? 如何にあなたの創造的な心が肯定的な回答を創り出せるか見てみなさい。

責任の放擲

 この記事の冒頭に、私は次の質問をした。「あなたは他者の手助けをする必要性または責任を感じているだろうか?」 ヨーガの知識を分かち合う必要性は愛から生まれるかも知れないが、上記で述べた通り、他者と真理への道を分かち合う責任を感じることは、何度となくあなたの心を、そのための戦略を考え出したり、他者から来ると考えられる結果や反応について心配したりすることに費やすのであれば、精神的な不快感をもたらすかもしれない。人間として我々は不確実なことに対する許容度は低く、これが不安を生むことになる。不安は如何なる場合も、あなたがそこで完全に落ち着いていることの妨げとなる。それはまたあなたの自信を弱める。従ってあなたが他者と真理の道を分かち合う時、彼らの反応を精確に読み取って注意深く対応できるよう十分な用意をしておく必要がある。不安、落ち着きのなさ、そして自信の欠如は直接あなたのボディランゲージとして、そしてあなたの思いやりを伝える能力に現れてしまう。

 この自信のなさの問題は、結果や成果に対する責任を「放擲」することによって解決することができる。おそらくあなたは、如何にこの会話又は話し合いが、他者の人生に影響を与えるか決して知ることはない。それはその後生じることのどんな連鎖をスタートさせ、或いは付け加えていくのか、ただ神、グル、ババジ、宇宙にあなたの心配事を差し出しなさい。進むがまま神に任せなさい。これがカルマヨーガの説明である。即ち、技能を用いながらも、結果には執着せず、行為者としてではなく、(神の)道具として行動することである。自動的に結果に対する不確実性は、より不快ではなくなり、あなたはそれに影響されなくなる。

道を示す際に推奨される方法

1. 他者を会話に引き込み、クリヤーヨーガとその知恵の教えに対するあなたの情熱を話しなさい。その間、他者の話をよく聞いて、良く考えた後に回答し、他者を攻撃することなく、ためになることだけを話しなさい。
2. あなたが既にクリヤーヨーガについて話をした相手に対しては、我々のウェブサイトに掲載された過去のクリヤーヨーガに関する記事を送りなさい。
3. 誰かが本を与えてくれたことで、いかにあなたのクリヤーヨーガの道が始まったかを思い起しなさい。クリヤーヨーガに関するあなたのお気に入りの本を贈呈しなさい。どの本を贈るのかについては、我々のウェブサイトを参考にすること。
4. 18のポーズの幾つかと、基本的な瞑想の技法を教えることを申し出なさい。我々が出版したババジのクリヤー・ハタヨーガの本(リラックスと若返りのための18のポーズと「道を照らす光」)を参考として使いなさい。
5. 我々の通信教育講座を薦めなさい。
6. クリヤーヨーガのイニシエーション受講者の各地方の会議に参加するか、さもなくば地方の会議を立ち上げることに協力しなさい。
7. 実例をもって教えなさい。言行一致。
8. 我々のウェブサイトにある本を自ら勉強することで、他人と分かち合うことのできるインスピレーション、叡智そして知識を求めなさい。そのために本を読み返しなさい。それらについて「アルーパ・ディヤーナ」の手法で瞑想することで、自分のものにしなさい。苦しんでいる人達と叡智を分かち合う時、それを思い起しなさい。今サンカルパ即ち、愛と叡智とによって、あなたのババジのクリヤーヨーガの道を上手に分かち合うとの意図を表明する誓いまたは自己暗示を創り出しなさい。
以上

PS(1): 尚、このブログは書き込みが出来ないよう設定してあります。若し質問などがあれば、wyatt999@nifty.comに直接メールしてください。
PS(2):『ヴォイス・オブ・ババジ』の日本語訳がアマゾンから発売されました(キンドル版のみ)。『或るヨギの自叙伝』の続編ともいえる内容であり、ババジの教えなど詳しく書かれていますので、興味の有る方は是非読んでみて下さい。価格は¥800です。




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