ちょっと間があいてしまいましたが、
日曜日はDDTの後楽園大会を観戦してきました。
震災後初めての東京での興行。
開場から避難経路を記されたプリントを手渡され、
試合開始前から緊急時の注意事項を繰り返しアナウンス。
さらに前説でも丁寧に説明が行われ、
非常に心をくだいた対応がなされていました。
さすが、文化系プロレス団体。
今回は何故かボクは友人の送別会も兼ねていたがために、
プロレス初観戦の友人に解説をしながらだったので、
(もちろん、ボクは好きでやってるわけですが)
写真を特にとることがなく興行を観戦しました。
なので今回は文字のみで。
◎オープニング
前述のように注意事項の確認がなされたあと、
1分間の黙祷。
節電のために低照明、映像なしでの興行になるとの説明。
しかし、これに全く屈することがないのがDDTの恐ろしさ。
鶴見GMは,
「映像に頼らない新たな表現技法を目指す」
ことを宣言、
いつものように「In to The Light」が流れると、
実況席の村田さんがオープニングコール&カード発表・・・
と、なんと、カード発表と同時に出場選手がリング上に上がる!!
で、対戦者同士、にらみ合いを見せるという心憎い演出。
格闘ゲームやWWEなんかでは映像で目にする光景ですが、
まさかコレをリング上で実地にやるとはw
はじめから度肝を抜かれました。
◎第一試合
佐藤光留&タノムサク鳥羽&美月凛音 vs 内藤恒人&平田一喜&彰人
志願の第一試合となったヒカるん、
対戦相手は、因縁の新人・平田。
平田は本当に見るたびに良くなってる印象がありますが、
それを力づくでたたきつぶしに行くヒカるんもまた、
見てて気持ちがいい。
内藤さんは「U」のテーマで入場。
意地でも場外へ落ちようとしなかったのは何故なのだろう。
謎です。
彰人は相変わらず、すごくいい。
この一年で選手としての格が全然段違いに上がってる気がします。
ヒカるんと最後握手をしてましたが、組んでみるのもいいのでは?
◎第二試合 14周年記念試合
MIKAMI&ロホ・デル・ソル vs 蛇界軍団withポイズン澤田JULIE withナオミ・スーザン
試合前、バックステージの様子をリング上で再現するという、
これまた前衛的な演出w
結果、蛇界軍団は蛇ガ井満也(長井さん)と毒蝮三四郎(大社長)が組むことになり、
まーぁ、力いっぱい好き放題やってました。
ちなみに友人に「あの人が社長です」って教えたら黙った。
久しぶりにPSJが出場して"呪文"を披露。
ザンスーさんも年齢不詳ぶりを発揮していました。
◎第三試合 スペシャルシングルマッチ
HARASHIMA vs アントーニオ本多
ディック東郷の前に敗れた二人の対戦。
序盤から場外での乱戦でアントンが優位に立ちますが、
HARASHIMAもハードな打撃と断崖ギロチンなどで盛り返し、
短い時間の中で濃縮な攻防を見せました。
「プロレス」の魅力をシンプルに伝えることのできた好試合。
さすがです。
◎第四試合 ボブ・ゲーム開幕戦
男色ディーノvsボブ・サップからの刺客
試合前、
「映像を使うことができないので、目を閉じ、映像を想像してください」
というコレまた衝撃の表現技法。
~あらすじ~
ボブ・サップを追って米国に渡った男色先生は、
トリニティなる強大な刺客を退ける(スター・プラチナで)。
サップのアジトを聞き出した男色先生は、
その道中、ポルナレフ、花京院、イギーといった仲間たちを失いながら、
なんとかサップのアジトにたどり着くも、
そこにはサップの姿は無かった・・・。
サップは新たに東京に刺客を放ち、
「ボブ・ゲーム」の開催を宣言する。
はたして空条承太郎はサップの刺客にどう立ち向かうのか!?
※本当にこんな感じでした
試合前、男色先生の狩りが久々に行われ、開場は戦々恐々。
友人大爆笑。
サップの刺客として現われたのは・・・ジョナサン・グリシャム。
ボクは最近アメブロをあまり見てないのであれですが、
一部では定評のある選手だったようです。
で、試合前の煽りの中では強大なイメージのあったジョナサン、
小さい。
多分158cmくらいで、小さなサップという感じ。
しかーし、このジョナサン、只者ではない。
恐ろしく軽快な動きで男色先生を翻弄し、
飯伏の登場より前にバミューダトライアングルを披露。
会場をどよめかせました。
が、
これでギアが入ったのは男色先生。
相手が初対面ということもあり、
いつもよりひどい男色殺法を展開。
友人、爆笑とドン引きの中間点。
ジョナサンはなんども心が折れそうになりながら、
しかしキレの良い蹴り技、スイングブレーンバスター、
シェルショックなどで攻めこみ、
さらにSSプレス・・・を、男色先生が膝でブロック!
男色ドライバーはキックアウトしたものの、
最後は男色リップロックからの、
ゴッチ式生男色ドライバーで3カウント。
試合後、ジョナサンは肉の芽に食い破られて死亡。
男色先生は再びボブの手がかりを失うことに・・・
ならず、ボブ・ゲーム第二戦が新宿で決定。
日本語のわからないジョナサンに強引に締めさせ、
前半戦が終了。
◎セミ いつでもどこでも挑戦権×2争奪バトルロイヤル
例年ひどい展開を見せる恒例の一戦。
いつもはバラエティな面が強調される試合ですが、
今年はかなりゴツゴツした「闘い」に。
序盤は藤田ミノルが活躍。
手の届かないいつでもどこでも挑戦権を狙って、
無意味に飛び跳ね続け、会場をわかせてくれました。
昨年、同権利を獲得した大家健も躍動。
スピアーの連打で一掃すると、
あっさり挑戦権をゲット!!
・・・が、これを高尾が強奪!!
なんか微妙な塩っぱさで、SHFがまず一抜け。
もう一枚の挑戦権を獲得したのはGENTARO。
あまりにも手厳しい張り手の連打で、
会場の空気を凍りつかせました。
最終的に残ったのは、
石井慧介、ケニー・オメガ、石川修司、KUDO。
石井はニールキックでケニーを追い込むも、
3カウントをとるには一歩足りず。
ケニーは相当コンディションが良かったように見えました。
ニールキックをキャッチ→肩に担ぎ→肩車
→クロイツ・ラスの離れ業で3カウント!!
ケニーはさらに巨体の石川にもクロイツ・ラス!!
が、そこにKUDOのダイビングダブルニー!!!
KUDOがケニーから雪辱の3カウント!!
最終的に石川とKUDOの一騎打ち。
この闘いもまた非常に熱い戦いとなり、
KUDOのパズソー連打、石川のニーリフト、
カンヌキヘッドバッド、KUDOのスピンキック、
さらにダイビングダブルニー、石川の暗闇脳天・・・
得意技を繰り出しあい、何度も何度もキックアウト、
しかし、最後の最後、石川のスプラッシュマウンテン炸裂!!!
KUDOが前回のロイヤルランブルに続き、苦杯を舐める結果となりました。
石川が強いのは確かなのですが、
この日はKUDOが本当に惜しい。
あと少し、もう少しで届きそうで、届かない。
何かのきっかけで弾けそうな勢いがあるだけに、
ここで掴んでくれれば・・・と思ったのですが。
石川修司は、昨年6月の関本戦が本当に強かった。
ただそれ以降、(DDTで見ていないということもありますが)
なんとなく落ち着いてしまった印象を受けています。
もっと強い石川修司が見たいし、見れると思っているので、
いま、限界を突破しつつあるディック東郷を相手に、
強い石川修司を見せて欲しいと思います。
◎メイン KO-D無差別級選手権試合
ディック東郷 vs 飯伏幸太
紛れもなく、年間ベストマッチ級の一戦。
ただひとつ言っておきたいのは、
この試合は飯伏幸太にとってのベストではない、
ということ。
飯伏幸太の限界はもっと先にあるはずです。
しかしその限界を見せる前に、
ディック東郷がさらに飯伏を大きく上回った、という、
ディック東郷が凄さを見せた試合だったと思います。
いまのディック東郷は、本当に、神がかり的に強い。
単純な技術だけとっても現在世界トップだと思います。
しかしそれ以上に驚かされるのが、その柔軟性。
昨年、佐藤光留との試合では、
総合流の佐藤光留に対し、プロレスで対抗するという、
タイプの違う二人の戦いを見事に調和させ、
すごい試合をして見せました。
ケガを経ての弟子との対決、アントーニオ本多戦では、
今度は一転してのアメリカンプロレス。
ひたすらにナックルを放ち合う、
もはや日本では彼らにしかできないであろう試合を見せてくれました。
この試合でお互いに出した技らしい技は、
二人合わせても10あったかなかったかじゃないでしょうか。
それでも、一進一退の見事な試合を展開して見せました。
ある意味ではこれがディック東郷本来の姿に、
最も近い試合だったのかもしれません。
先月のHARASHIMA戦では、
DDTにおける真っ直ぐな"強さ"と相対することになりました。
どこまでもまっすぐに、自分の型で攻めてくるHARASHIMAに、
東郷はしかし、これまでのキャリアで開けていない引き出しを開ける、
という、このキャリアにして新味を見せる恐ろしさを披露しています。
個人的に驚かされたのが、打撃の得意なHARASHIMAに、
あえて打撃で対抗しようとしたところ。
なんでもできることは知っていましたが、
まさか打撃まで出来るとは・・・
もはやこの時点でディック東郷の強さは、
神々しさをも感じるものでありました。
そして今回の飯伏幸太戦。
"ゴールデン☆スター"と呼ばれ、
プロレスの新たな扉を開き続けるこの男を相手に、
"レスリングマスター"はどう対抗するのか。
佐藤光留戦では、自分のプロレスを相手の闘いに調和させてみせた。
アントン戦では、自分の信じたプロレスを徹底的に遣り通した。
HARASHIMA戦では、自分の新たな引き出しを開いて見せ、
真っ直ぐな強さをねじ伏せてみせた。
しかし、飯伏幸太が相手では、これだけでは勝てない。
新たな扉を開き続ける男を相手に、
ディック東郷自身もまた、開拓者になる必要がありました。
試合の途中や、飯伏の見せた技にも、
もちろん語るべきことはあるでしょう。
ただ、この試合にとって重要だったのは、
以下の4つの場面だったように思います。
一つはまず、一発目のダイビングセントーンが返されたこと。
この技は殆どの場合一撃必殺であり、
ディック東郷が空を舞う姿は、
対戦相手にとって絶望的なシーンであるはずです。
キャリアの中でほとんど返されたことのないはずの技ですが、
しかし、これが一発目はカウント1で返された。
コレによってディック東郷は、
ただ自分のプロレスを展開するだけではいられなくなりました。
飯伏を倒すには、まだ、別の扉が必要だと。
そこで繰り出したHARASHIMA戦同様の打撃、
ミスティカ式クロスフェースは、しかし、飯伏に返され、
東郷は飯伏の打撃の連発に蹴り倒され続けることになります。
立ち上がるたびに起き上がろうとする姿に、
"たってくれ!"や"頑張れ!"
という声援の飛ぶ姿には、
引退前の悲哀じみたものまで感じさせました。
「ああ、ディック東郷はここで終わるのか・・・」
そんな気すらしました。
しかし、ここからが、ディック東郷の凄さ。
東郷に「神」が宿った、3つのシーン。
ラリアートの連打からパワーボムの体勢に入った飯伏。
ここで多くの人の脳裏に浮かんだのは、
一昨年の両国の最終場面だったでしょう。
しかし、上をいったのは東郷でした。
前方回転エビでコレを切り返すと、
なんと、飯伏に蒼魔刀!!!
HARASHIMA戦で掟破りで出すならわかりますが、
まさか、他のレスラーの必殺をとっさに出すとは・・・
普段ならコレはタブー視されるものではあるはずですが、
今のディック東郷は何でも吸収でき、
おそらく、何でも出来る状態であり、
さらに、何をやっても許されるほど、充実している。
なのでこの蒼魔刀はボクにとっては「こうきたか!」
という強烈なインパクト共に残っており、
試合を最終的に決定づけた一撃だったと思います。
そしていつものようにペディグリーの体勢に入る東郷。
これを切り返せるかどうかで勝敗が変わります。
が、ここにも東郷は秘策を用意していました。
なんと、ペディグリーの体勢からカナディアン・デストロイ!!!
まさかまさかの超危険技。
こんな技見たことも、返せるわけもなく、
完全に試合はコレで決まりました。
しかし、東郷はコーナーへ。
最後は、こだわりというかなんというか。
恐怖の大王よろしく、ダイビングセントーンで3カウント!!!
東郷がとことんまでに凄みを見せ、
見事、防衛を果たしました。
東郷さんはダイビングセントーンを返されるなど、
たしかに「終わり」へと向かっている。
でも、それはレスラーとしての命を「削って」いるわけではなく、
レスラーとしての命を「燃やして」、
まだまだレスラーとして進化し、進んでいく中での引退を選んでいます。
今の一瞬一瞬にも研ぎ澄まされ、命を燃やして進み行く、
プロレスラー・ディック東郷の闘いを見れる時間はあと僅か。
しっかりこの目に焼き付けて、世界一のレスリングマスターの記憶を、
この胸にとどめていたいと思います。
昨年、14周年興行と勘違いして行われましたが、
今年が本当の14周年興行。
この団体の歴史をボクはずっと見届けているわけではありません。
それでも常に新しいことに挑戦し、
常に見ている側に幸せを届けようとしてくれるこの団体の姿勢には、
ただただ頭が下がります。
ボクはこの日、初めてプロレスを見た友人の感想が、
全てを物語っていると思いました。
「面白かったし、なにより、やっている人たちがすごく楽しそうだった。」
心の底からプロレスを楽しみ、
同時にボクらに楽しみを届けてくれるプロレスラー達。
彼らの歩みを見習って、一歩一歩、歩んでいきたいと思います。
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