カレー屋(EXA)

エキプロ5で遊ぶブログでした。もはやその名残りはほぼない。

Bitter Sweet

2022-02-08 23:00:00 | スポーツその他
カレーです。



感染症禍が再びの何度目かのピークを迎える中、
そんな中でも絶えず続いてきた“チョコレートプロレス”…
通称・チョコプロが、
この度シーズン12にして、節目の200回を迎えます。



…ナンバーシリーズものの興行で“200”というと、
個人的にはUFC200を思い出しますね。

メインイベンターが私と生年月日が同じミーシャ・テイトで、
セミがダニエル・コーミエvsアンデウソン・シウバのスーパーファイト。
そしてその前のカードが、
ブロック・レスナーvsマーク・ハントでした。
(なお試合はレスナーの規定違反で無効試合)



さて、今年もDAY1、DAY2に分かれての2日間のアニバーサリーとなる
“チョコプロ200”。

そしてその2日目“DAY2”のメインイベントは…
奇しくも昨年迎えた“チョコプロ100”と同じ、
スーパーアジア王座戦。

藤田ミノルvsバリヤン・アッキ

しかし、というか、
当然、と言うべきか。
約1年かけてさらに積み上げられた100の大会を経て、
このカードの意味合いは、大いに変わったものとなりました。



まず以ての大きな違いは、
今回のこの王座戦は“統一王座戦”となるということ。

昨年3月のチョコプロ100で
バリヤン・アッキ選手との王座決定戦を制した藤田ミノル選手は、
その後駿河メイ選手との55分超、
そして新納刃選手との60分フルタイムという
壮絶な激闘を繰り広げて2度の防衛。

しかし、この感染症禍を潜り抜けてきたアジアの王者をその波が襲い、
罹患からの入院、集中治療室での闘病に伴い、
欠場を余儀なくされることとなりました。

曰く“地獄の淵”から生還を果たした藤田プロレス☆スクール教頭は、
しかし特の肺のダメージは著しく、
(大阪で活動を共にしていた大門寺崇選手曰く、
退院当初は“100mごとに休憩が必要”な状態だったという)
復帰までに時間を要することから、その王座を一時的に預けることとし、
スーパーアジア王座の歴史に“暫定王座”の名前が
刻まれることとなりました。

その暫定王座…
言うなれば、“王者”として藤田ミノルを待つ権利…
を賭けて、4人のプロレスラーが名乗りを上げます。

一人はもちろん、第2代王座を争ったバリヤン・アッキ選手。
一人は、藤田ミノルというプロレスラーにおそらく
最も影響を受けた、水森由菜選手。
一人は、藤田ミノルとの“約束”を待つ、高梨将弘選手。
そしてもう一人が、かつて同じ“磁場(西調布)”で戦ってきた、
趙雲子龍選手。

この4人による戦いは壮絶を極めましたが、
入れ替わりの目まぐるしい戦いの中で
頭一つ…というか、
“プロレス頭”一つ、抜け出していた、趙雲子龍選手が激戦を制し、
初代の暫定王者の座につくこととなりました。

初代暫定王者となった趙雲子龍選手は、
インディー大賞2007(だったかな)でその多岐に渡る活躍で“特別賞”を受賞するなど、
とにかくありとあらゆる団体で存在感を発揮されてきましたが、
実は王座戦線に関わることは大変珍しく、
シングルのベルトの獲得はおそらく、初。

少なくとも個人的には、ベルトを持った趙雲子龍選手を見たのは初めてで、
この暫定王者としての期間に目撃したベルト姿には
とても新鮮、かつ、プロレスラーとしての充実、
端的に、“強さ”をギラギラと感じたところです。

そしてその暫定王者・趙雲子龍の防衛ロードがまた、
実に力強かった。

スーパーアジアのベルト、
正規王者・藤田ミノルの目の前に立つ権利、
そして、“王者”趙雲子龍に。
挑戦者たちはそれぞれに並々ならぬ意気を抱いて、
アジアの頂きを目指しました。

水森由菜、
アントーニオ本多、
そして、高梨将弘。

しかし、この強い強い挑戦者たちを、
暫定王者・趙雲子龍は全て、その王者としての強さで以て退けました。

その充実を目の当たりにし、
帰ってきた“正規王者”藤田ミノルは自ら、
趙雲子龍との統一戦を望みました…が。

その前に暫定王者には、一人。
正規王者に相対するにあたって戦わなければいけない…
“喰らわ”なければいけない相手がいました。

それが、バリヤン・アッキ。

日本にきて、“日本のインディーレスラー”として
キャリアを重ねて4年超。

類まれなる身体能力と情熱を以て戦い続けるバリヤン・アッキが、
“自分がここにいるといえる場所”であるチョコプロで。
それでも、自身を証明するために手に入れなければいけないものがありました。

それが、ベルト。
スーパーアジアの、シングルのベルト。

その強い強い、誰よりも強い想いを以て挑んだ、
趙雲子龍との“最後の”暫定王座戦。

制したのは…
バリヤン・アッキ。

強い強い王者を超えて、強い強い想いを持って。
“1番チョコプロが好き”な正規王者の前に立つ権利を得たのでした。



さて。

藤田ミノルvsバリヤン・アッキという試合を想起するにあたり、
もう一つ、思い出したい言葉があります。

おそらく昨年もこのブログで引用している気がしますが、
バリヤン・アッキがチョコプロ100の試合を迎えるにあたり、
以下の言葉を用いていました。

「チョコプロが1番好きなのは、藤田さんと、私」

この言葉の含意について、
このチョコプロ200では少し、視点が変わる気がします。

遡ること10日ほど前、
私が本来なら絶対抜け出せない(社会人として抜け出してはいけない)仕事を
1時間抜け出し、職場からダッシュで向かってダッシュで帰った、
DDT後楽園ホール大会メインイベントで、
それは起こりました。

佐々木大輔選手とのおよそ半年ぶりの再戦となったUNIVERSAL王座戦、
高梨将弘、クリス・ブルックス、アントーニオ本多、
そして、バリヤン・アッキという、
いわば“チーム・チョコプロ”とでも言うべき選手たちをセコンドに
聖地のメインイベントに臨んだ藤田ミノル選手は、
復帰から1月弱でメインイベントを戦える力を取り戻したことを示しましたが、
結果的には、敗れることとなりました。

後遺症の影響を案じて駆け寄るチーム・チョコプロの選手たち。
しかし、藤田ミノルの表情はどこか止まったまま…
相対した王者がまず以て戸惑うほど突然に、
佐々木大輔の手を取り、ハグを交わすのでした。

混乱するチョコプロの仲間たち。

その仲間たちを宥めるようにしながら…
藤田ミノルは、一人ずつ一人ずつ、
突如としてリングから叩き出しました。

説明を求めるバリヤン・アッキに、
頭を抱えて“つい、思わず”やってしまった
とばかりにオーバーアクションを見せる藤田ミノル。
改めてバリヤン・アッキに握手を求め…
放ったのは、インペイラーDDT。

かつてみちのくプロレスでザ・グレート・サスケをひたすらに騙し続けた、
“サスケだまし”として知られる技。

藤田ミノルの“騙し魂”…
今となっては九州プロレスでしかこの言葉は使われませんが、
九プロでのキャッチフレーズは“裏切りの流浪狼”。

そう。

“裏切り”という、
藤田ミノルのプロレスの、ある意味での、本領。

それを向けた相手が、他ならぬチョコプロであり、
バリヤン・アッキでした。



プロレスのリングの上での“良い悪い”について、
個人的にはあまりこだわりがありません。

私がとてもここで重要だ、と個人的に考えるのは…
というか。

藤田ミノル選手がチョコプロという場所を、
バリヤン・アッキという対戦相手を特別だと考えてる

…と、推測するのは。



DDTという団体の流れの中にあって、
佐々木大輔という存在は今となっては大変異質です。
そして、藤田ミノルという
…ヤス・ウラノ選手とともに、
自ら“ド腐れインディー”と称した…
対戦相手も、今となっては、実に異質です。

異質な佐々木大輔がいるから巻き起こる流れがあると思いますが、
そこに敢えて、今の団体にとってとっても異質な、藤田ミノルを加えた
DAMNATION.T.A。

前期DAMNATIONを解体して、
新たに加わった(MJポーを除いて)最初の加入者という、その注目。

想像の域をでませんし、
実際にそうする人がどれだけいるかはわかりませんが…
おそらくは、これまでのチョコプロ視聴層や、
藤田ミノル支持層と異なる層の注目を集める、
唯一にして最大の機会だった…
と推測します。

自身に集まる最大限の注目、言うなれば資源を、
このチョコプロに、チョコプロ200のバリヤン・アッキ戦に注いだ。

それも、“裏切り”という、
ある意味で自身の…とりわけ、“インディペンデント”の、
藤田ミノルの、本領発揮によって。



あとはもう一つ、気になる言葉がありました。

リングから叩き落としたチョコプロの仲間たちへ向けた、
藤田ミノル選手から発せられた言葉です。

「お前らのその“優しさ”が、肝心なところで負けちまうんじゃねえかよ!」
「勝たなきゃ正義じゃねえんだ!」

“騙し”の展開の中で発せられた言葉で、
ともすれば流れを知らない観客には、
コミカルにも思えたかもしれません。
ともすれば、“騙し”の延長のように。

でもこういう場面で発する藤田ミノルの言葉は、
多くの場合、本当のことを、言いたかったことを、
伝えたい言葉を、放っている…
ことが多いように思います。

価値観は人それぞれ、様々にあって良いですし、
何かを言われても何かは否定されるものでもない。

それでも、
言葉を向けられた選手たちには…
もしかしたら、これらの言葉は、
とても苦味ばしったものだったかもしれない。

高梨将弘は12月の代々木大会で佐々木大輔に敗れ、
そして1月のチョコプロで趙雲子龍に敗れ、
王者として、藤田ミノルの前に立つことはできませんでした。

クリス・ブルックスは昨夏竹下幸之介に敗れKOD無差別級戴冠ならず、
高梨将弘とのCDKで活動して3年、タッグとして確立した一方で、
まだ確たる“結果”は手にしていない状況にあります。

アントーニオ本多は趙雲子龍の持つスーパーアジア王座に挑戦しましたが、
そのベルトを手にすることはありませんでした。

バリヤン・アッキはアジアドリームタッグを保持し続ける一方、
ガンバレ☆クライマックスでは1回戦で敗れ、
シングルの王座としてスーパーアジア暫定王者の座に着くまでに、
日本で4年半ほどの歳月を重ねてきました。

“肝心なところで”、人々の想いを背負って戦う選手たち。
しかし、一方で。

どんなに素晴らしい戦いをして、
どんなに人々の心に残っても、
これが戦いである以上。

“勝たなきゃ、正義じゃない”

この言葉は、重いように感じます。



藤田ミノルが最大限の自身への注目を以てして、
チョコプロ最大の“敵”として、
そして、スーパーアジア正規王者として臨むチョコプロ200。

バリヤン・アッキにとっては、
自身の王座から“暫定”という言葉を取り除くとともに、
自身を、そして、自身の“居場所”であるチョコプロを証明するために。

藤田ミノルに、
バリヤン・アッキに、
そして、チョコプロに。

甘味も、
苦味も、
旨味も、
雑味も、
ひょっとしたら辛味も。

おそらくはこれ程までに複雑な味わいを含んだ試合は
そうそう訪れることはないかもしれません。

“チョコレート一粒の幸せ”をプロレスを通じて提供すること200回。

その味わいは果たして、どのようなものとなるでしょう。



…複雑とは言いながら、
私はただただ、ワクワクしながら、
その時を待ってます。

その幸福もまた、チョコレートの味わい。





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