憂国の凡人・錦織ワサビの書斎 ー真実を追求するー

反安保法案(米国の無法な戦争に加担する従米下請け戦争法案)反集団的自衛権、反安倍の管理人による真実を追求・周知するブログ

『【日いづる国より】百地章、国際法的にも否定の余地のない集団的自衛権』に対する異論、反論

2015年08月08日 | 改憲派・安保法案推進派への言いたい放題

なにやらおかしな論理で集団的自衛権の行使を肯定している法学者(専攻は憲法学)の方がおられますが、その主張に対して、ちょっと看過できないものがあり、異論、反論という形で今回記事を書いてみました。(毎度のことですが、かなり長文です)

ブログランキングに参加中♪

 

【日いづる国より】百地章、国際法的にも否定の余地のない集団的自衛権[桜H27/8/7]

 

◎集団的自衛権と個別的自衛権は不可分一体!!??


(動画の5分11秒あたりから)

---

【百地氏】

これそもそも集団的自衛権というのは、国連憲章によって全ての加盟国に認められた主権国家の固有の権利だということなんですね。

だから我が国も国連憲章に基づいて、当然、集団的自衛権を行使できるんだという、そこからスタートしないとですね、よくわからない

【中山】

国連憲章の51・・・(51条ですね、ちゃんと書いてあるわけですよね) 集団的自衛権はとか、個別的自衛権は、て書いてないですよね。(並べてあるわけですよね) 集団的、個別的自衛権と、これでワンセットなんですね。(そうなんですね)

ここに区切りがあるという形は・・(区切りが無い、不可分一体のものなんですよね) 国際社会では考えられていませんね。

---

 

上記の百地氏と中山氏の会話に出てくる、集団的自衛権と個別的自衛権はワンセットで不可分一体のものということですが(不可分一体と言っているのは百地氏)、果たしてそうでしょうか!? 単なる都合の良いこじつけともとれます。

不可分』とは、密接に結びついていて、分けたり切り離したりできないこと。また、そのさま。 ←こういう意味のようですが、そもそも集団的自衛権と個別的自衛権とでは意味(内容)自体が180度異なる。


簡潔に書くと、まず個別的自衛権とは『自国が武力攻撃をされたときに、その攻撃を排除するため自衛のための武力行使ができる権利」ですが、

一方、集団的自衛権というのは、同盟関係、又は親密的、密接的に結びついている他国に対する武力攻撃があった場合、その攻撃を受けた他国の防衛のために、攻撃を仕掛けた国に対して武力行使を行ってもよい権利とされている。


このように個別も集団も”自衛権”という看板はついているものの、その内容は180度異なるわけで、決して不可分一体のものではないと思います。

そもそも他国防衛のための権利を”自衛権”としているのが間違いで、どちらかと言えば”他衛権”とするのが内容に見合っていると思いますが、国際法(国連憲章)上、そのあたりの不備があるのではないでしょうか。

 

 

◎他国防衛と友人、恋人、家族を守るための正当防衛を混同して考えて良いものだろうか!?


(動画の6分14秒あたり)

---

【百地氏】

まぁ、それが不可分一体の権利だという権利の説明もですね、私あの、国内における正当防衛権との比較で説明しているんですね。

つまり国内におけるですね、個人の正当防衛権にあたるのが国際社会における国家の正当防衛権、つまり集団的自衛権であるとということですね。

そうすると正当防衛権というのはですね、刑法36条に出てきますけども、急迫不正の侵害に対して自己または他人の権利を守るためにやむを得ずした行為はこれを罰せずと、

例えば友達と一緒に歩いているときに、突然、おかしなのが出てきてですね、とびかかって来たと、ただその友達を助けてやるのが正当防衛権なんですよね。

---

 

国家間による軍事的介入での防衛と、友人や恋人、家族が暴漢などに襲われたとき、それを助けるための正当防衛と混同しているようですが、ちょっとこれには異論をはさみたくなります。

例えば、国家間による軍事的介入での防衛となると、それだけ防衛力(兵員、武器)やコストもかかる。 方や友人、恋人、家族を暴漢から助けるためのコスト、そのほか諸々は然程、必要ない。 こういう書き方をすると身もふたもないですが・・・

また、国家間の軍事的介入による防衛(集団的自衛権)となると、大切な人を守らなきゃ!!という本能とは別の問題となってくる。 どの国も、例え同盟関係にある他国が攻撃されたからと言って「大切な友を守らなきゃ!!」という観念には至らないだろうと思うわけです。

 

あくまでも国と国との関係において、自国の利益を第一に掲げ、追求していくという根本的な外交上の視点からすると、その攻撃をされた国の防衛にあたることで国益を損ねる場合、防衛にあたらないと判断することも可能なわけです。 

実際、どの国も集団的自衛権を発動するか否かは議会の判断に委ねられるのであって、当然、自国の利害を念頭に掲げ判断がくだされる。

大切な友人や恋人、家族を守るというと、自国の利益を優先したうえでの国家と国家の結びつきなどとは、また異なる、極端に言えば”無償の愛”という何物にも代えがたい崇高な、人が持っている本能による防衛とを混同して語るのはミスリードでもあると思うわけです。

 

つまり、正当防衛というなら自国の主権と国民の生命を守るために発動する個別的自衛権を言うのであって、利害が絡む集団的自衛権を正当防衛とみなしてよいのかどうか疑問であります。

例えば、国家と国家の結びつきにおいて、”無償の愛”という何物にも代えがたい崇高な理念が存在するならまだわかりますが、国家と言うものを維持していく中において他国に対する”無償の愛”など到底生まれるわけがないと思うわけです。 逆にこうなると自国を潰してしまいかねない状況にも陥る恐れがある。

つまり綺麗ごとでは国家を維持できないというこです。 

 

現実として自国はどうなってもいいから他国のために戦う、なんていう国はないと思いますよ。 例えばこれは極端な例ですが、日本はどうなってもいい、亡国と化してもいい、アメリカが助かればそれでいい、アメリカの為に戦う!!と言って日本政府が集団的自衛権を発動した場合、これは崇高な本能からくる正当防衛と言えるかもしれませんが・・、

しかし、その一方で日本国民にまで戦火が飛び火し、多くの国民が紛争の犠牲になったり、テロの被害に遭ったり、最終的に敗戦してしまえば身もふたもない。 政府が本能だけで動けば国の存立も危うくなる。

だから個人間の崇高な心情による正当防衛と、国家間の防衛を同様にして語るのはおかしいと思います。


そもそも攻撃もされていない国が、他国の紛争に武力で介入するというのはそれだけ国家の主権や国民の命が危険に晒されるリスクも高まる。 正当防衛と綺麗ごとで一括りにするのは危険さえ感じます。

国家間の結びつきなんていうのは、友人関係、恋人関係、家族関係とは無縁のものだと思うわけで、どんなに綺麗ごとをいい同盟を結んだとしても利害を抜いて国と国との結びつきなんてあり得ないからです。

 

 

◎アメリカを武力で助けられないと日米同盟は終わり!!??


(7分7秒あたり)

---

【百地氏】

ですから国内における正当防衛権が不可分一体のものですから、国際社会においてもですね個別的自衛権と集団的自衛権は不可分一体のものであると!

で、現実問題としても、例えば公海上においてですね米艦と一緒に自衛隊の護衛艦が行動していると、有事においてですね、目の前で米艦が攻撃されたのにですね、個別的自衛権しか行使できないといったらもう日米同盟、それで終わりですよね。

そういう意味でも不可分一体だってことをですね、きちんと考える必要がある。

---

 

なんとなく百地氏の根底にあるものが垣間見えた気がします。

つまり、日本一国だけで国は維持できない、外国の攻撃に対して日本だけの防衛力では国を維持できない、だから日米同盟が必要であり、しかし米国のために集団的自衛権を行使し防衛にあたることが出来ない場合、日米同盟は崩れる、終わる、日米同盟維持の為にも集団的自衛権は必要、という心情的なものを。(これはあくまでも私見ですが・・・)


そもそも現状の日米関係を”同盟”と解釈してよいのかどうかというのが問題です。 旧日米安保条約に至っては、戦力をもたない、無防備な日本を米国が防衛にあたるという建前上の観点で条約を締結したわけです。

そして岸信介内閣によって旧日米安保条約改定されたときに、初めて集団的自衛権という概念によって日米協力して防衛にあたるといった内容になったようですが、これはあくまでも米国の防衛のために武力行使をするのを許したわけではなかった。

つまり、元々、米国側は日本に武力で守ってもらおうなどという考えはなかったはずです。 だから日本が米国のために集団的自衛権を行使し米国を守れないようでは日米同盟は終わるなんていう考えそのものが歪に感じる。

 

そもそも今まで米国は日本のために集団的自衛権を行使し防衛にあたってくれたことありましっけ!? 例えば、竹島を韓国に不法占拠されたとき、米国は集団的自衛権を行使して取り返してくれましたっけ? 自国の漁師さんが多数、韓国側によって殺傷された事件もありましたけど。

毎年、何千億?という莫大な用心棒代(思いやり予算)を義務もないのに日本人の血税から米軍に支払っているわけですが、いままでなにか日本のために集団的自衛権を行使してくれたことありましたっけ? ないですよね?


こういう言い方をするとなんですが、旧安保条約締結した背景や日本側が米軍を養っているよう現状、その見返りとして日本の防衛にあたるのは当然であると思うのですが、

なんで毎年、莫大な用心棒代まで献上し、そのうえ米軍のために血を流すようなことをしなければならないのか!? 

そもそも日米同盟は建前であり、第二次世界大戦中の占領期に引き続き、日本を占領し、政治的、経済的に支配するのが目的であるのに、そういう米軍のためになぜ命をかけなければならないのか!??


米国でさえ集団的自衛権を行使する場合、議会にはかり行使するか否かを決定させるのにも関わらず、個別的自衛権しか行使できないでは日米同盟は終わるなんていうのはミスリードもいいところです。

仮に米国が、日本が攻撃をされた場合、必ず集団的自衛権を行使して防衛にあたるという確約をしているならまだ百地氏の言い分はわかりますが、こういった確約なんて一切ないし、いざ日本になにかあったとしても米国は日本の防衛にあたるかどうかわからない、あくまでも議会の判断によって明暗分かれる。

このことは日米安保条約の条文をみればわかることで、現実を把握できていない、綺麗ごとに終始しているとしか思えないです。

 

そして、公海上で米艦船と日本の護衛艦が共に行動しているとき、目の前で米艦が攻撃されたとき個別的自衛権しか行使できないでは云々かんぬん・・・ ということですが、米艦防衛のための集団的自衛権(限定)行使に疑義が出てきている。

民主、米艦防護の必要性に疑義=安倍首相「同盟強化」訴え反論(時事ドットコムより)

---

(一部引用)

世界最強の米海軍を自衛隊が守る必要はあるのか-。安全保障関連法案を審議する4日の参院特別委員会で、政府が集団的自衛権の行使事例の一つとする米艦防護に民主党が疑問をぶつけた。安倍晋三首相は「精強性の高い自衛隊が協力することで米軍の安全性が高まる」と述べ、日米同盟強化の観点から必要と主張した。ただ、首相は米軍の運用を明らかにできないとの説明を繰り返し、議論はすれ違いに終わった。

 「米国のイージス艦が単独行動することはない。空・海のタッグで行動することになっている」。民主党の小川勝也元防衛副大臣は、米軍が制空権を確保した上で複数の艦艇を展開するため、イージス艦の防護も米軍自身で可能になると指摘した。その上で、弾道ミサイルの警戒に当たる米艦を日本が集団的自衛権を行使して防護する想定について「国民をだます図式だ。国民をミスリードをするのか」と追及した。

---

 

上記のように集団的自衛権の行使によって米艦防衛の考え方そのものに疑義が出てきている。

つまり、安倍氏や百地氏のような主張の根底にあるのは、事大主義(自分の信念をもたず、支配的な勢力や風潮に 迎合して自己保身を図ろうとする態度・考え方。)の考え方であるのではないかと個人的に推測します。

先述したように、日本を守るために世界トップクラスの米軍をもつアメリカとの同盟を維持、強化するには、相互主義の観点から日本も集団的自衛権(限定)行使できるようにならなければいけない、日本がアメリカを守れないではアメリカは日本から離れていくという、なにか強迫観念に似たようなものを感じますが、

仮にこういう状況だと、アメリカ側に手のひらの上でいいように転がされているとしか思えないわけです。 心まで支配されてしまっているというのか・・・。


アメリカは自国の利益のために日米安保を締結させ(日本の政治と経済を支配するため)たのであり、決して日本を守るために締結させたわけじゃない。 ここのところが全くわかっていないから日米強化なんていう、逆に国益を損ねることを言い出す。

そしてアメリカは日本を守るのに、血を流すのに、日本はアメリカを守れない、アメリカのために血を流せないでは卑怯だ!日米同盟は終わる、なんていう的外れで頓珍漢な論理に辿り着く。

集団的自衛権行使といったところで、結局、武力紛争に介入するわけで、それだけリスクは高まり、国民にも悪影響が出ることだってあり得る。 ここを考えないで事大主義よろしく、感情論のみで綺麗ごとに終始するのは迷惑極まりない。

 

 

◎国際法が憲法より優先する!??


 (7分57秒あたり)

---

【百地氏】

集団的自衛権をいくら憲法を探しても出てこないと、ネス湖でネッシーを探すよりも難しいってバカな事を言っている若い学者がおるんですよ。何考えてる!

じゃあ集団的自衛権をですね、憲法に規定している国はあるのかってことですよ。ないです、アメリカにしてもフランスにしても、つまり国際標準ていうか、国連憲章に従って行動しているんです。

で、ところが日本の憲法学者たちはですね、そこ権利がわかっていないというか理解していない。つまり国内においては憲法優位説というのが一般に行われていますよね。

違憲審査権というのがありますから憲法の基に条約があるということで憲法が上だと考えられていますけど、国際社会においては国際法に従って行動しますから、国際法が優先するんですよね。このことがわかってないんです。

国際社会において憲法を持ちだしたらですね、お互い事情がありますから成り立たないですよね。

---

 

また、おかしな事を言ってますね・・ 憲法より国際法が優先されるかのような言い分ですが・・・

国際法と国内法の効力関係について論じなさい。

---

各国家は自国が拘束される国際法上の規則を国内的に実施する義務を負うが、その実現の仕方は原則として各国の自由とされる 。

日本では、憲法の基本原則である国際協調主義および憲法98条2項に基づいて、条約や慣習国際法は法律に優先するが、憲法よりは劣ると解されている 。同様に、アメリカやフランス、ドイツも国際法が直ちに国内法としての効力をもつ「包括受容型国家」である。

他方、イギリスやカナダは、国際法と同趣旨の国内法を制定しない限りは国際法が国内的効力をもたない変形型国家である。

---

 

イギリスやカナダの例では、国際法と同趣旨の国内法を制定しない限りは国際法が国内法的効力をもたないと書かれてあるように、国連に加盟しているからといって国際法が憲法に優先したりということはないようです。


そもそも憲法というのは、国の在り方、伝統そのものを反映させた国家の最高法規であり、国家統治(主権)の土台となるものでしょうが、第二次世界大戦時、日本の敵であった連合国が寄り集まって作った国連憲章(国際法)が国家の国体を示す憲法より優先するなんていうと、国体が破壊されかねない。

つまり主権(統治権)さえ侵害されかねない。 所詮、問題の多い国連が独自に作った国際法が主権の発動たる憲法より優先するなんてインチキもいいところですよ。


国際社会ガー 国際法ガー とまるで祀り上げるかのような言い分ですが、例えば、国連憲章において外国人参政権を認めなければならない、とか、外国人にも生活保護の権利を与えなければならないと定められた場合(こういうケースはないと思いますが)、憲法では禁止されているが、国際法が優先するというのなら憲法を無視してまで従わなければならないということになる。

 

実際、国連憲章には不備がある。 戦争禁止を謳っていながら軍事力や交戦権の否定をする条文は一切ない。 しかも、個別的自衛権や集団的自衛権の定義さえなく51条に固有の権利として明文化されている。 定義のないものを法に明文化するなんてありえないことですよ。→ 驚愕!!集団的自衛権の定義は国連憲章で定められていない。(国際連合広報センター・資料担当者より回答)

 

つまり国連憲章自体がいい加減で、曖昧なものであり、こういうものが憲法に優先するかの如く主張するのは馬鹿げている。

所詮、未だに日本を敵国扱いしている国連という組織がどういう実態のものか理解できていないから綺麗ごとが言えるわけでしょう!

 

そしてバカなことを言っている若い学者云々というのは、まぁ、憲法学者のKさんのことでしょうが、Kさんはちゃんと憲法の条文を見定めたうえで論理的に否定しているわけです。 

例えば日本国憲法には政府に軍事権を認めている条文はないとか、政府に他国防衛の権利を認めていないという憲法上の法理によって主張されている。


しかし百地氏の場合は、そのあたりの理論説明がほとんどなされていない。 国際法が憲法より優先する、国際社会は国際法に従っている云々かんぬんとしかいわない。

しかも、政府が閣議決定したのは、個別的自衛権としても行使できる部分が含まれている集団的自衛権を認めたに過ぎない、つまり、本来は個別的自衛権として行使できるものを集団的自衛権にすり替えているわけで、本来の他国防衛の意味である集団的自衛権の閣議決定をしたわけじゃない。→ 閣議決定のカラクリ! 実は集団的自衛権を認めた内容になっていなかった!?


政府が閣議決定したのは、あくまでも自国防衛のための集団的自衛権という観点であり、国際司法裁判所判決(他国防衛権説)に矛盾している。 自国防衛というなら個別的自衛権の範囲を緩和して自国の安全保障を図ることも可能です。

しかし、個別的自衛権の規制緩和をして国防安全保障の強化を図らず、いきなり無理な集団的自衛権の行使を認めようとするのは、そこに何かドス黒い目的があるとしか思えない。

ここのところを百地氏やチャンネル桜界隈の人たちは理解できていないようです。 

 

まぁ、アメリカに見捨てられないためにいろいろとこじつけて集団的自衛権を認めさせたいのかもしれませんが、仮にこれが事実ならあまりにも愚かで滑稽すぎると個人的に思う次第であります。 たとえ日本がアメリカのために防衛をしたとしても、アメリカは日本の防衛にあたるかどうかもわからない。 

結局、最終的にはアメリカに裏切られて見捨てられることもありえる。 そういう政府じゃないんですか、あの政府は。


まだまだ、ツッコミどころ満載ですが、今回はこの辺で終わります。

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。