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車止めピロー:旧館

  理阿弥の 題詠blog投稿 および 選歌・鑑賞など

yuntaさんのうた

2009年11月19日 | 八首選 - 題詠2009
yuntaさんの歌から8首。


084:河
沼底に河童がいると教えられ揺れる波紋も神秘の扉

068:秋刀魚
ぴかぴかの目玉の魚買うのだと秋刀魚見るたび母の声して

051:言い訳
言い訳に猫が出てきたら要注意犬なんかだとさらに最悪

045:幕
幕間に何を話せばいいのやらパンフレットも読み尽くしたし

037:藤
藤色の袴をはいて外に出た桃の花にはちょっと気後れ

031:てっぺん
あの山のてっぺんから見る町が好き雲海の下そこにあなたが

028:透明
透明な硝子が覆って本当の世界は小さな瓶の中かも

021:くちばし
柿の実の熟れた色味はどこでみた名も知らぬ鳥の曲がったくちばし



68番。
新鮮な魚を買うための日常の知恵でしょうか。

31番。
今ならgoogle mapで代用かな。

お気楽堂さんのうた

2009年11月19日 | 八首選 - 題詠2009
お気楽堂さんの歌から8首。


096:マイナス 
なぜ首位がマイナスなのと言う声の足元見れば赤いピンヒール

079:恥 
正面の女性の膝のすきまからゆるゆる揮発する羞恥心

073:マスク 
押入れに隠したままのガスマスクふと思い出す満員電車

062:坂 
もうすでに惨事は起きてしまったか病院坂に風鈴を聴く

052:縄 
禍は足りているからこののちは福が来ないと縄が綯えない

029:くしゃくしゃ 
くしゃくしゃの茶色の髪が流行るので心ならずも目立つおかっぱ

008:飾 
たてがみを編まれポンポン飾られて今日が勝負と馬も知るなり

001:笑 
オの段で笑う婦人の団体にウエイトレスが二度目の水を



96番。
時事的な題材を、こんなふうにスマートに詠えるセンスが欲しいです。
なにより説教臭くなく、ユーモアがあるのがいい。
こういう歌を詠むときって、怒りや残念さを表明して
しまいがちだと思うんですが、その辺は読む側に委ねられている。
詠み手が価値判断を下さない、断罪しないというのは、
一首を豊かにするためにとても必要なことだと思う。

星桔梗さんのうた

2009年11月19日 | 八首選 - 題詠2009
星桔梗さんの歌から8首。


092:夕焼け
あなたとの距離が僅かに近づいた夕焼けの道赤とんぼ舞う

088:編
写真には残せなかった三つ編の君との記憶終(つい)のアルバム

063:ゆらり
粉雪が音もたてずにゆらゆらり朝(あした)景色は変わるのだろう

038:→
私→(から)あなたへ向いたベクトルと同じ強さの愛求めてる

037:藤
ドライブの途中で眺めた藤の花君に寄り添う私がいたんだ

027:既
既製服ぴったり合うのはありふれた人という事?物足りないが

014:煮
いつまでも煮え切らないのは悪い癖賞味期限を定めましょうか

004:ひだまり
風景が秋の色濃くなるにつれ恋しさ募るひだまりの苑



14番。
手綱を握るものだけが口に出来る、強気の言葉。
駆け引きをするだけの余裕って、
自然に生まれちゃうんだよなぁ、どちらかに。

村上はじめさんのうた

2009年11月18日 | 八首選 - 題詠2009
村上はじめさんの歌から8首。


066:角
角張った頬緩ませるため私あなたを変えていきますやんわりと

054:首
首に手をかけられたまま朝になり陽の光浴びベランダに出る

035:ロンドン
長い暇持て余しがちトランジット空港で過ごす疑似ロンドン

032:世界
世界地図フリーハンドで描いてみる頭に浮かんだものには遠く

030:牛
よく冷えた牛乳喉元落ちてゆく私の温度と絡んでぬるく

026:コンビニ
帰り途明るい光に誘われてコンビニ寄り道夜光虫

009:ふわふわ
ふわふわでチーズがたっぷりオムレツがうまくできたよ今日は良い日だ

001:笑
目の前を尻尾の黒い猫が行くきっと笑顔だ足取り軽く



1番。
四句目「きっと笑顔だ」で決まり。

30番。
体内の感覚が良くあらわれた一首。

さとさんのうた

2009年11月18日 | 八首選 - 題詠2009
さとさんの歌から8首。


092:夕焼け
イカロスの羽 夢熔け落ちて夕焼け  二人 お家に帰る時間

088:編
編んだ私も似合うかと尋ねて巻いたあなたも無敵でしたよね

079:恥
別々の体に戻り同じものを反芻する恥ずかしい朝

050:災
息災でな と吾を撫づ老いし人よ 言の葉の幹太く剛し

034:序
山の辺に紫の薄明かり一つ灯る 秋の序 竜胆の花

033:冠
普通で良いではないか なぜ定冠詞つけてほしがるのだ私は

029:くしゃくしゃ
歩こう くしゃくしゃの朝でも深呼吸してしわのばして  歩こうよ

011:嫉妬
嫉妬。赤い髪焦がし柘榴の実ひとつぶひとつぶひとつぶ潰し



自由律に立ち向かうのにはとても体力が要る。
私の貧弱な胃には手強いさとさんの歌。
定型が鋭利な刃物になりうるとすれば、
破調は鉈で頭を割られるような感覚かなぁ。

50番。
文語遣いなんだけど、口に出して詠むと
二句切れ・三句切れが、現代詩だなぁと感じさせる一首。
言の葉の幹、という表現に納得。

橘 みちよさんのうた

2009年11月18日 | 八首選 - 題詠2009
橘 みちよさんの歌から8首。


098:電気
どうだんつつじ赤極まりてわが猫の静電気帯ぶる季節めぐりく

097:断
病院よりもどり来てたつたそがれの踏切いまし遮断機おりく

092:夕焼け
感情のその場所にただ触れぬやう刈田の果ての夕焼けを見ず

025:氷
軒したに煌めく氷柱(つらら)をたおりては持ちてあそびき手の痛むまで

023:シャツ
いくたびも抱きしめしはずのワイシャツのくびのサイズを知らぬまま過ぐ

008:飾
若き肌に飾りはいらぬ陽光をまとひ前髪風に吹かれし

005:調
調律を終へしピアノの鍵盤の黄ばめるを弾く二十年ぶりに

004:ひだまり
われを見るひとみな瞳やさしかりき幼年期とはひだまりの舟



97番。
とても抑制の効いた一首。
病院から戻ってきたら、ちょうど踏み切りの遮断機が降りてきた。
それだけの描写なのだけど、作中主体の胸中や境遇を、しぜんと推し量ってしまう。
時は夕暮れ。毎度のように通せんぼをする遮断機。
踏み切り待ちでは、ひとはいろんなことを考える。
たったいま見舞ってきた患者の病状とか。今日のこれからの予定とか。
いつまでこういう生活が続くのか、とか。

92番。
この歌は、夕焼けを直接詠っていない。夕焼けを見てもいない。
お題が与えられたら、それをなんとかして言い表してやろうと
しがちなんだけど、「あるべきでない」ものとして扱うこともできるんだなぁ。
ことばってすごい。
そして紛れもなくこの一首は、夕焼けが持つ本質を突いている。

葉月きららさんのうた

2009年11月15日 | 八首選 - 題詠2009
葉月きららさんの歌から8首。


098:電気
もう二度と電気のつかぬこの部屋も二人愛した思い出となる

095:卓
卓上に置かれた写真伏せて置き忘れる準備整えてゆく

092:夕焼け
もう一度聞かせて欲しい「愛してる」夕焼けよりも真っ赤な嘘を

062:坂
坂道も立ちこぎをして登ってゆく早く会いたい会いたい君に

041:越
君の髪撫でられるのは私だけ 優越感に浸る真夜中

037:藤
藤色の浴衣が似合う歳になりすっかり妥協を覚えた私

011:嫉妬
嫉妬する小さな自分許せずに 飛び込む海も熱さを増して

008:飾
着飾った心のままで挑んでも 虚しくなるだけ 私はだぁれ



95番。
忘れてしまうしかない。
でも捨て去れない。
また立たせて置く日を期する気持ち。

ことりさんのうた

2009年11月14日 | 八首選 - 題詠2009
ことりさんの歌から8首。


099:戻
地平線が美しいから戻りましょう羊雲がやがて茜色に染まって

086:符
うす青き冬の切符を握りしめいつかひとりになるための眠り

084:河
真昼間の銀河の不可思議わたしたちいつも岸辺を辿ってばかり

053:妊娠
妊娠ってねおなかの中にほんのりと鈴蘭燈が灯ることホントだよ

030:牛
売られてゆく牛の額をなでてやる父の厚くてさみしいてのひら

026:コンビニ
コンビニはさびしき魚礁仄白く発光すればウミユリが揺れる

023:シャツ
Tシャツの袖ざきざきと切り捨てて驕りの夏をまちわびている

002:一日
風の一日雲の一日花の一日わたしの一日どの一日もすんすんとせつない



自分には決して出来ない言葉の使い方をされる
歌人のうたを読むと嬉しくなります。と同時に嫉妬も覚える。
ことりさんの「すんすんとせつない」とか「ざきざきと切る」とか。
そう。詩心なんだよなぁ。

26番。
初句、二句でやられてしまいました。
コンビニはさびしき魚礁。
たくさんの「魚」たちが、何を欲するでもなく、
ただ影をもとめて集まり、漂っている。
お互いに話をするでもなく。他にいくあてもなく。
コンビニはさびしき魚礁。

30番。
牛には、悲しみ・寂しさがよく似合う。
大きく潤んだ、黒い瞳をしているから。
いま蘇ってきた記憶があります。
小学生のころ、牛の頭を恐る恐るなでようとしたら、
いやいやと首をよじって逃げられたこと。
動物にはこちらの怯えが伝わるんですよね。
他意のない優しいてのひらだけが受け入れられる。

南 葦太さんのうた

2009年11月14日 | 八首選 - 題詠2009
南 葦太さんの歌から8首。


076:住
三階の住人が突然笑う 死ねばいいのに 主に俺とか

074:肩
その肩にその指先にその頬に 触れてく風に嫉妬していた

072:瀬戸
瀬戸内の暖かい陽をいっぱいに受けたたまねぎみたいな笑顔

069:隅
好きなもの:チーズ 嫌いなもの:トマト そんな記憶がまだ片隅に

025:氷
氷中花 冷たい棺 葬った遺体 綺麗はなんか哀しい

021:くちばし
空を飛ぶための羽より地べたから歌を囀るためのくちばし

017:解
眠れずに君が涙で悲しみを加水分解している夜更け

010:街
この街の熱量保存則として温度をくれる君の手のひら



69番。
ありますね・・・。
なぜか誕生日を覚えてたり。当人に向かっては忘れたふりしてみたり。
向こうがこっちのを忘れてたら、ガッカリしたり・・・

17番。
涙で悲しみを流し去る、とはよく聞くフレーズですが、
加水分解とは!恐れ入りました。
なんかすごくしっくりきました。
悲しみなんて、そんなあっさりとは消え去らないですもんね。
じわじわ、じわじわと消えていく。
ウレタンやスポンジが、ぼろぼろになっていくみたいに。

寺田ゆたかさんのうた

2009年11月14日 | 八首選 - 題詠2009
寺田ゆたかさんの歌から8首。


093:鼻
鼻水か泪か知らね身ぬちより滲み出るものを拳でぬぐふ

080:午後
独り居の部屋に射し入る秋の陽を諸手に受けて黙しゐる午後

077:屑
はららきて屑となり果つ白骨(しらほね)の軽きを拾ふ手の鈍さかな

069:隅
庭隅にブライダルヴェール蔓延りぬ妻亡きあとの金婚の年

066:角
その角を曲がればわが家 庭の花世話するひとを幻に見る

034:序
好きだよと直ぐには言へぬわれなれば序詞(じょことば)のごとき長き前置き

021:くちばし
雨の園にくちばし赤き鳥を見し異国(とつくに)の旅 あれは六月

009:ふわふわ
病む妹(いも)のふはふは声で願ふこと梅園のあんみつ一口欲しと



寺田ゆたかさんの連作百首。
ひとつのテーマに沿って、題詠百首を詠まれた方が他にもいらっしゃいますが、
百首全体が大きな作品となってこちらに迫ってきます。
このように、幾首かを採りあげるのは本来的な鑑賞の仕方ではないかもしれません。

たとえば、80番、21番などは、連作全体の流れ、うねりの中で読むと、
さらに輝きを増して胸に迫ってきます。
一番私が好きなのは66番です。
読み手のそれぞれがもつ、別離、喪失。
その感情を激しく揺さぶる歌ではないでしょうか。

連作として詠まれていますので、
ぜひ百首を通して読んでください→永訣のうた

七五三ひなさんのうた

2009年11月12日 | 八首選 - 題詠2009
七五三ひなさんの歌から8首。


092:夕焼け
西方の山の背赤く染められし ハレの日我に届けよ夕焼け

081:早
たらちねの母とハモりし早春賦 吾は今でもアルト奏でて

074:肩
幼き日父にねだりし肩ぐるまコロンの匂い今も恋しき

068:秋刀魚
母好む秋刀魚を竜田揚げにしてともに供えし油の匂ひ

064:宮
還暦を越えし今でも「宮ちゃん」と呼ばれし父の笑顔も変わらず

055:式
美容室鏡の中の吾に告ぐ「これより断髪式始めます」

018格差
オフィスにてクシャミの後に吐くセリフ微妙に世代間格差かな

015:型
吾を待つ隙間を埋めるメモ用紙模型のような鶴を折る君



64番。
「ちゃん」ってなんかちょうどいい距離感を生むんでしょうね。
「さん」だとよそよそしい、「くん」だと気取りすぎ。
田舎のコミュニティで、父と同じ世代のひとたちが、
お互いにちゃん付けで呼び合っているのをみると、
これから十年、二十年、同じでいてほしいと思います。
自分はそんな幸せな老い方が出来るかな?
うーん、孤独死なんかしないだろうな・・・。

55番。
美容室や床屋の椅子って、ちょっと日常とは異質の空間。
人の目があるところで、自分の顔を見つめるという体験は、
普段も鏡を見つめているはずの、その同じ表情を、
ある種の客観性をもって眺めるということ。
髪型に注文を出しながら、さああなたはこれから、どんな自分になろうとしているのか。
新しい一歩のために髪を切ろう、自らの目を見つめながら。
「断髪式、はじめます」

キャサリンさんのうた

2009年11月12日 | 八首選 - 題詠2009
キャサリンさんの歌から。


100:好
死ぬまで続けるんだよとこの感じ父かもしれない好きかもしれない

059:済
「済みません」は解決せんの意深々と頭下げつつ靴見比べる

054:首
足よりも首が前でて風に乗るナンバ走りの上手なキリン

041:越
三越のライオンの手の冷たさを確かめたくて手袋をとる

028:透明
透明な羽たまわれば直ぐに発ち貴方の頬をじゃりじゃりなぜたい

007:ランチ  
杉村春子のブランチの台詞「・・・どなたかのお世話になって・・・」演じたかった

001:笑   
漫談の笑いの壺が今三つ解らな過ぎて込み上がり笑



7番。
ランチブランチ、ブランチってそっちのブランチもあったか!
詩情豊かな設定。美しい台詞の数々。
私も好きな劇作家はと聞かれたら、一も二もなく
T.ウィリアムズの名を上げますです、はい。

28番。
じゃりじゃり。
男が女に、あるいは父親が子に髭をこすりつけるみたいな感覚、かな。
嫌がられるんだけど、それもまた楽し、ってな感じで。
たんに優しさだけじゃないところがとてもいいです。
お気に入りの一首。

しおりさんのうた

2009年11月11日 | 八首選 - 題詠2009
しおりさんの歌から8首。


091:冬
冬の海岩に砕けた波の花ふわふわ舞ってわたしに戻れ

076:住
住む人のなき廃屋の片隅に赤あか燃える彼岸花咲き

069:隅
裏庭の隅にひっそり咲く花を手折らないでね気がないのなら

065:選挙
選挙カー通過する度手を振って礼儀正しき過疎の人々

029:くしゃくしゃ
くしゃくしゃに乱れた髪に櫛を入れメスより母に戻りゆく午後

008:飾
花飾り 編んで遊んだ思い出はしろつめくさの香りの中に

005:調
さよならの後の歩調が気にかかる 愛の深さと比例するようで

003:助
鈍感であれば良かった助手席の微妙な角度の変化が辛し



相聞歌をおおく物されるしおりさん。

8番。
記憶は多く、色や香りとともに蔵われていますよね。
私は百合の香をかぐと、実家の庭を思い出します。
あとは白樺の皮を剥いだときのニオイとか。
思い出は香りの中にある。いいフレーズだなぁ。

美木さんのうた

2009年11月11日 | 八首選 - 題詠2009
美木さんの歌から8首。


095:卓
食卓の醤油を使い切るまでの長さで一人になったと感じ

082:源
3日間ペットボトルを放置した 謎の命の源となる

079:恥
深夜すぎ高校時代の恥ずかしいセリフ思い出し うわあああああ

067:フルート
ミッキーのペットの犬をフルートと言ってる75点の男

052:縄
この場所は縄文時代は海だった いつも不安は足元から来る

033:冠
冠を「かっぷ」と読む地の冠は優勝カップみたいのだろうか

013:カタカナ
憂鬱な朝にホームで見る人はカタカナの「ム」に少し似ていた

001:笑
生きにくい世に産まれても半年で友の息子は笑顔を覚え



79番。
うわあああああ(笑)
ああ~。高校時代ばっかりじゃないですよね。
つい最近だって・・・ああぁぁああ・・・

1番。
歴史的にみれば、超絶に恵まれているに違いない、今の日本人。
でも「こんな世の中に子供を送り出すこと自体が罪」なんて
つい考えちゃう。
赤ちゃんの笑顔を見たら、そんな思いは吹っ飛ぶんだろうなぁ。

 『フリッカー、あるいは映画の魔』という小説をなんとなく思い出しました。
  (子を生してはいけない、というドグマを持つ教団が出てくる)

桑原憂太郎さんのうた

2009年11月11日 | 八首選 - 題詠2009
桑原憂太郎さんの歌から8首。


078:アンコール 
終わりなき日常過ごせり君たちに焦がれるやうなアンコールはない

063:ゆらり
放課後の援交生徒の対応の職員会議はゆらありゆらり

058:魔法
見えぬものに魔法をかけるA子には魔法をかけた見えぬものが見える

053:妊娠
妊娠に至つた学級担任を男子生徒がぐるりと囲ふ

037:藤 
1組の藤田に指導を入れたあと2組の藤田に謝罪を入れる

030:牛
場に連れられし牛 毎週の月曜朝の朝会の行進

023:シャツ
父親のワイシャツを夜に切り刻む母親の話を放課後に聞く

004:ひだまり
ひだまりの校庭に集ふ学級で生き抜くためにみんなでジャンプ



誰もが通過するけれど、その実質については
よくわかってない、学校という迷宮。
先生って、ときに聖職と言われたりするけれど、
そういう方々の歌にはひかれるものがありますね。
見え隠れする本音を読むのが嬉しい。

4番。
右へならえ!
ひだまりで飛び跳ねるという、子供たちの活き活きとした
躍動感と「生き抜く」という単語の生々しさ。
集団である以上、一定の規律は必要なんだけど、
子供たちのなかにも、自然と出来上がっていくルールがある。

30番。
教師たちの脳裏に流れるBGM。
嬌声をあげつつ並ぶ子供たち視点をかえればドナドナの牛

63番。
教師ひとりひとり、自らが高潔な魂ばかりで出来ていないことを知っている。
そんな当たり前の人間たちが集まって、欲望が作り出した案件を議論する、
そんなふわふわとした空気。
本音だけで話せれば、それほど楽なことはないんだろうけど、
いろんなものが壊れることも知っている。