若生りえ Jazz Songs & Diary

ジャズ歌手の若生りえがジャズスタンダードソングの歌詞やエピソードについて語る。
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BEWITCHED ~魅せられて~

2010年05月24日 | 私の好きな曲 ~ジャズ訳詞一覧~
BEWITCHED
~魅せられて~
1940年
作詞/ロレンツ・ハート Lorenz Hart
作曲/リチャード・ロジャーズ Richard Rodgers


【エラの歌にすっかり「魅せられて」

だんだん「今度何を訳そうかなぁ~?」と

迷ったときは、曲集のタイトルをABCの順番でパッとみて、

心に引っかかったものを選ぶのですが、前回が「AMAPOLA」

そして今回が「BEWITCHED ~魅せられて~」

になったわけです(笑)


何が引っかかったかと言うと、「My Funny Valentine」の

同じ映画からヒットしたロジャース&ハートコンビの

名曲でもありますが、なんといっても、

この歌のエラ・フィッツジェラルドの名唱を

思い出したからです


エラは、とても有名なヴォーカリストですが、私にとって

好きな歌手は沢山いるのだけど、女性の切ない気持ちなどを

歌わせたら、やはりエラなんかはズバ抜けて好きなんです


サラ・ヴォーンやカーメン・マクレイ、もちろん、

ビリー・ホリディなどと並ぶ個性的な名歌手ですが、

ジョー・パス(g)とのデュオの「Girl Talk」や、

ルイ・アームストロングとの「The Nearness Of You」など

男性とのデュオで、更にそう聴こえるのか、また、

「The Man I Love」のソロも、それぞれに、女性らしい

しっとりとした響きの中に感じる力強さは、

とても心地よいものがあります。


もちろん、最後は個人の好みですけれど

みなさんはどなたのがお好きでしょう


【ナイトクラブの支配人&芸人役の色男シナトラに捧げられる】

さて、この歌自体ですが。「My Funny Valentain」と一緒に

有名になった、ミュージカル「パル・ジョーイ」の映画版で

邦題では「夜の豹」という映画(原作はジョン・オハラの同名小説)

に挿入されていた曲です


映画のあらすじは、いつかは自分の店を持ちたいという

野望を持った、シナトラ演じる女癖の悪いジョーイ、

元ダンサーで大金持ちのリタ・ヘイワース演じるヴェラと、

ナイトクラブの司会者兼芸人として働き、そこの

コーラスガール6人全員に次々と手を出す、

とんでもないプレイボーイなのですが(笑)

一人だけ、一筋縄には行かないお堅い女性

リンダ(キム・ノヴァク)との三角関係の話で、結局最後は、

ジョーイはリンダに惹かれてしまうというストーリー。


その中で、大金持ち役のリタ・ヘイワースが、

シナトラ演じるお調子者のジョーイに、うっかり?

惹かれてしまったという思いを歌いました


なので、出だしの歌詞が「He is a fool」なんですね(笑)


まったく、どうしようもないな(爆)


ちなみに2人の女優さんの歌は、吹き替えだそうです。


【誰を聴く?】

女性の歌だけに、圧倒的に女性歌手に歌われています

先述のエラ・フィッツジェラルド、ドリス・デイ、

アニタ・オデイ、サラ・ヴォーン、バーブラ・ストライザンド、

などなど・・・


また最近では、いわゆる「女性ヴォーカル集」などの

オムニバスでもこの人のこの歌が頻繁に聴けるようになった、

ノルウェーの可愛らしい声の持ち主「セリア(シリエ・ネルガード)」

の録音も大変人気があります!!


男性では、メル・トーメ、そして映画に出演したシナトラの

ヴァージョンもあります


さぁ!!それではヴァースのメロディも美しいこの歌

ロジャース&ハートの名曲

「Bewitched ~魅せられて~」です!


どうぞっ


《英語歌詞》

(VERSE)

He’s a fool and don’t I know it

But a fool can have his charms

I’m in love and don’t I show it

Like a babe in arms

Love’s the same old sad sensation

Lately I’ve not slept a wink

Since this halfpint imitation puts me on the blink

(CHORUS)

I’m wild again, beguiled again

A simpering, whimpering child again

Bewitched, bothered and bewildered am I


Couldn’t sleep and wouldn’t sleep

When love came and told me I shouldn’t sleep

Bewitched, bothered and bewildered am I


Lost my heart, but what of it?

He is cold I agree

He can laugh, but I love it

Although the laugh’s on me


I’ll sing to him, each spring to him

And long for the day when I’ll cling to him

Bewitched, bothered and bewildered am I



《日本語和訳歌詞》

(ヴァース)

えぇ、たしかに

彼はちょっとお調子者だわ

そんなことは分かってるの

でもね、彼のそういう隙のような部分が

魅力になってる、とも言えるのよ

そんな彼にすっかり夢中な私は

無邪気な子供のように

はしゃぐこの気持ちを抑えられないの

いつでも恋をすれば切なさはつきものね

ここのところ一睡もしてないの

このどうしようもないお調子者と

出会ってからというもの

私、ほんとどうかしちゃってるわ・・・

(コーラス)

また、この感情がわきあがってくるの

自分でも手に負えないほど夢中になって

うっとり魅せられて

彼のことを思い浮かべては

クスクスッて一人で笑ったり、めそめそしたり、

まるで子供みたいに

すっかり魅了されて、悩まされて

もう、どうしていいのかわからないわ


眠れないし・・・でも、別に眠る気にもならない

すると恋がやってきて私にこう教えてくれたの

恋をするとそうなるんだって

すっかりあの人に魅了されて、悩まされて

もう、どうしていいのかわからないわ


なんにも手につかない・・・

でも、それがなんだっていうの?

彼は素っ気ないけれど、それでも私はいいの

私の気持ちを知ったら、笑うかもしれないわね

それでも、私は彼の笑顔が大好きだわ

たとえそれが、私のことを笑ったのだとしても


彼のために歌うわ、何度春が訪れようとも

春が来るたびに、そのたびに歌うわ

彼の横にぴったりと寄り添えるその日を夢見て

もう、すっかり魅了されて、悩まされて、

どうしていいのかわからないわ

コメント (3)    この記事についてブログを書く
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3 コメント

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素敵なブログですね♪ (tomo)
2011-05-24 23:27:10
はじめまして。
コール・ポーターの歌詞を探していて、若生さんのこのブログにたどりつきました。
私の大好きなスタンダードがたくさん掲載されていて即!「お気に入り」に入れました。

私はこのBe Witched、アニタ・オデイの"sings the most"でファンになりました。微妙に音程が揺れているところが妙に惹かれます。
(でも実はこのアルバムでは「誰も奪えぬ。。。」が一番好きなんですけど)

これからも時々遊びに来させて頂きます。
更新を楽しみにしています。
Unknown (kevin)
2013-09-04 14:55:30
とっても素敵な訳詞だと思います。 うっとりさせられました♡
Linda Ronstadt (1986年) “ For Sentimental Reasons ” (鈴木 亮介)
2014-02-08 18:14:51
私が会社に入って2年目にリリースされたアルバムが、“ For Sentimental Reasons ”です。その中にも“ Bewitched ”は収録されてます。
ポピュラー歌手のLinda Ronstadt と Nelson Riddle オーケストラによるスタンダードJAZZアルバムのうちの1つですが、どのアルバムも気に入って繰り返し聴いてました。
今も時々iPhoneやiPadで聴くことがありますが、エラ・フィッツジェラルドとは別な魅力があると思ってます。
音楽は素人なんですが、プロの耳では如何でしょうか?

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