●朝からたっぷり一日”ごみ”の話を聞いてきた!!
毎年「職員技術発表会」がおこなわれているとは聞いていたが、参加したのは初めて。
現場の人がどんなことを考えて、どんな取り組みをしているのかを直に聞く機会はないので、とてもよかった。
●印象に残ったひと言と感想など
(「第10回 職員技術発表会」当日資料より)
東京二十三区清掃一部事務組合 第10回 職員技術発表会
日時:2010 年2月18日(木) 会場:区政会館 20F
発表内容:午前の部
特別講演
◇一般廃棄物処理基本計画に関する報告
<総務部副参事:小島啓三>
地域バランス:湾岸部は施設能力に対し6割のごみ量。主灰の単独溶融・飛灰の有効利用。
大田第一工場と灰溶融施設は今後のごみ量の動向を見て検討
*一廃計画は16日に評議会で承認をもらったそうだ。
第一部 灰溶融
1 灰溶融施設の現状と課題解決に向けた取組み-溶融処理技術検討委員会報告
<溶融処理技術対策室:杉原幸次、大手洋平 園田龍平>
【灰処理量と経費】
平成19年度 実績処理量:12万トン 経費:67.5億円(処理単価:56,100円/トン)
(平成19年度歳出決算額約740億円の約9%を占める。今後、ますます増加する。)
(平成20年度 実績処理量:10.8万トン 経費:約80億円←会場との質疑で)
【経済効果試算】
溶融対象量:235,000トン
改善前:処理経費:120億円(処理単価:51,000円/トン)
改善後:処理経費:108億円(処理単価:46,000円/トン)
*溶融処理技術検討委員会を傍聴していても感じたのだけど~改善の成果で万が一単価が下がったとしても大変な処理費がかかることはまちがいない。既に全量溶融は破綻したともいえるのだから、すべての溶融処理をやめて他の資源化にした場合、埋立をした場合等の経済効果も試算してほしかったな~
2 プラズマ式灰溶融炉の効率的な運転への取組み
<葛飾清掃工場:中村卓男、鈴木直治>
ゲルマニウム製の窓を取り付けて、赤外線カメラによる随時監視。主電極先端位置を確認し、調整、主電極消耗量の削減
溶融保安動力系統に電力量計を取り付けて、溶融設備と焼却設備の電力量を正確に把握し、効率的な運転の有効な指標とする。
*本当に溶融炉はエネルギーがかかりすぎるので、徹底した削減努力が必要。
いままできちんと分けて把握できていなかったことが問題。
建設時点の設計でメーカーもエネルギー消費を曖昧にしたいのかな??
3 品川清掃工場灰溶融炉耐火物実証試験中間報告
<品川清掃工場:小林守、石戸秀和、山田康介>
クロム含有量の低減による耐火物耐久性の確認→コスト削減
炉床スタッド長さの変更による耐火物耐久性の確認→コスト削減
コスト削減効果:材料を変更すると1炉1回あたり15%削減。施工回数を半年から1年に変更すると年間55%のコスト削減
*やはり、品川清掃工場で使用の硫酸第一鉄は耐火物のクロムの影響だったのだ!! これで納得!!
■東京23区「清掃工場作業年報(平成20年度)」その3/薬剤使用量(本ブログ)
http://blog.goo.ne.jp/wa8823/e/252a3ce8be8b39c8338623d1fc5ccdab
4 板橋清掃工場灰溶融設備の稼働率向上の取組み
<板橋清掃工場:松村到>
処理停止の原因を分類、そのうち削減が可能な停止は「機器の故障・(環境対策など)」、機器の故障は補修・交換部品の手配に長時間かかった。予備品の拡充により時間短縮。
集じん機下ホッパ閉塞への対応→バグフィルターに浸かる(?)ほど詰まらせてしまうと清掃作業で1日かかるので、定期的な閉塞解除作業を行う。処理停止期間の削減
*今日の説明では、板橋も乾燥工程があった。今まで、単純に焼却工場併設の溶融施設の灰は、乾燥工程なしでそのまま溶融できるのかと思っていた。中防灰溶融は他の工場から運ぶため、一旦、灰を濡らして(?)運ぶので乾燥工程が必要なのだと思っていた。本当に灰溶融施設というのはおかしなシステムである。燃え残った燃えない灰を、また水で濡らして、またそれを乾燥して、また莫大なエネルギーをかけて溶融するのだから。
第二部 工夫・改善
5 不燃物抜出装置の針金類巻付き防止に向けた取組み
<世田谷清掃工場:南洋介>
廃プラサーマルが始まってから不燃物抜出装置に針金類が巻き付くようになった。3ヶ月に5回(それ以前はメーカー試運転中で1年に1回程度)
巻き付くと、除去するのに炉を停止して1週間程度かかった。
対策として砂からでた部分のスクリュー羽根を切断。但し、巻き付かなくなるわけではないので、定期的(毎週必ず)な点検は必要。今なら炉を停止せずに3~4日でとれる。年1~2回の発生は覚悟。
*この説明は写真入りでとてもわかりやすかった。巻き付き具合の写真、針金類を切断する写真、巻き付きのメカニズムの説明(最初は小さな金属類でも連結して成長していく、そして大きな塊に成長する)本当に大変なことである。防護服を着て、重金属やダイオキシンまみれの針金の塊を切断するのだから~。直営の工場でのこういうトラブルも、何か故障が起これば外部の業者を呼んで作業をするのだと思っていた。
ちなみに世田谷清掃工場の焼却はガス化溶融で直営。灰溶融施設も併設でそちらは委託
6 不燃ごみ・粗大ごみ中間処理に係る今後の展望
<施設課:野村隆男>
*不燃ごみと不燃系粗大ごみは性状が似ているので、今後はラインを改造して共通処理をしていくようだ。
不燃ごみは量が激減したので中防の不燃ごみ処理センター第一プラントは廃止、23年度解体。
7 高反応消石灰の導入に向けて
<技術課:藤本寛司>
今使っているのはJIS規格の特号消石灰→酸性ガス除去率の向上・飛灰発生量の低減化におる灰処理コスト削減→高反応消石灰の導入
6工場、6品種(6メーカー)で効果を検証。
検証結果:酸性ガス除去率が高い。使用量削減が42.6%(北工場)、47.5%(足立工場)程度になった。貯槽や配管に、集じん器への影響はあまりない、飛灰処理汚泥安定性への影響はあまりない。
検証結果:北工場では、年間約900万円程度の削減という試算になった。足立工場では、年間約3,100万円程度の削減という試算になった。
*平成20年度の消石灰の使用量は前年度より1.25倍となっている。しかし、各工場によって使用量はかなりバラツキがある。発表でも、今後の課題で各工場と高反応消石灰との相性も検証必要ということであったので~どんどん検証して成果を出してほしいものだ~
●午後の部は、次ページに続く
■東京二十三区清掃一部事務組合 第10回 職員技術発表会(その2)
http://blog.goo.ne.jp/wa8823/e/ce07dbdf2424f7d8ea6725a2277f3ea7
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