東京23区のごみ問題を考える

脱焼却の循環型ごみ処理システムは可能か!!
~ごみ問題のスクラップブックとして~

平成21年度 東京二十三区清掃一部事務組合 職員技術発表会(第10回)(その2)

2010年02月18日 23時30分15秒 | 東京23区のごみ

発表内容:午後の部 
●午後は、窓際の席だったので、薄日があたって、まわり中みんなウトウトし始めて~
そのうちすうすう寝息まで聞こえてきて~
 

第三部 工事・建設 
8 ボイラ水管の抜管補修工事(2号炉)
 
<江戸川清掃工場:猪瀬勝利、小川剛弘>
2号炉でボイラ水管の減肉(水管の厚みが減ること)が進行。それぞれの場所(?)や位置(?)の減肉状況・減肉予測をシミュレーション。結果として平成20年度水管7本、平成21年度水管全186本(取り替え?)解体時の水管への異物混入防止など。
*廃プラサーマルとの関連はわからないとのこと。それ以前(H17年~H18年)減肉の状況が見えていた。竣工後13年なので、想定の範囲内(平均年0.1~0.2、最大0.5)で減肉していたそうだ。(廃プラサーマルで減肉に拍車がかかったなどの発言はなし!)耐用年数とか?? こういう工事などは全て外部に委託しているのかと思っていたので驚き。

9 清掃工場における土木施設の健全度調査について 
<建設課:小林秀典、谷本正晴、榊原孝一、飯岡紀幸、佐藤慎一郎>
調査対象:土留め壁・橋梁・トンネル・共同溝などの健全度。耐震に関する評価診断など
考えてみれば工場建物以外にもいろいろあるのだな~

10 清掃工場における建築デザイン 
<建設課:古東達成>
清掃工場=臭い、汚いという負のイメージから地域住民に親しめる景観デザインとする。
*もちろんあまりにも奇抜なデザインやおかしな建物でも困るが~ 安全対策や環境対策という機能を万全にした上での、真の意味での住民との相互理解を得るということこそ重要。外観で地域住民に理解を得るなど本末転倒にならないように注意してほしい。

第四部 リサイクル
11 江戸川区の土木工事における溶融スラグ活用について
 
<江戸川区土木部計画係:豊田明>
江戸川区では平成17年度から積極的に溶融スラグを活用しているという説明。平成20年度は23区全体の使用量の約42%が江戸川区使用分。
【導入にあたっての課題】埋め戻し材(針状物質への対応)→飛散防止:作業員の保護。コンクリート二次製品→製造企業が少ない(供給量への不安)。環境負荷への不安。
【利用の課題】埋め戻し材は割高、二次製品:品質のバラツキ・供給不足、環境への不安(掘り返しの際の処分の扱い:溶融スラグは産廃扱いになるので処理費が約23,000円/m3:約4倍必要になる)
【活用の展望】23区で利用の均衡と拡大、二次製品・製造メーカの拡大と品質管理、埋め戻し材(コスト増加)←利用にあたっての何らかの勘案を、環境への継続調査(10年後、20年後)
*東京23区のごみ処理政策の過程でできた溶融スラグを、江戸川区は責任を持って利用しているということなのだろうが~そこまで大変な思いをして利用しない方がいいように思う。いくらJISの基準で安全だといっても、この先わからないので、あまりばらまかない方が監視はしやすい。

12 乾式メタン発酵法によるバイオガス回収実証試験について 
<東京都環境整備公社:和田橋勝>
環境整備公社と東京ガスが、江東区の清掃事務所敷地内で行っている実証プラント。生ごみと紙ごみから、乾式メタン発酵法でバイオガスを回収する実験。
処理状況:1日の平均処理量、厨芥133Kg・紙ごみ133Kg。ガス発生量を抑えたため処理量は設計値300Kg/日を下回った。
バイオガスの発生状況:湿ごみ1トンあたり平均371Nm3で、設計値(210Nm3)を大きく上回っている。
発酵残渣の状況:平均59.8%。全量清掃工場に搬出し焼却処理。
実証試験の詳細は:オフィスビル等のごみからバイオガスを回収する実証試験の実施について
東京ガス株式会社プレスリリース http://www.tokyo-gas.co.jp/Press/20081126-01.html
*生ごみと紙の資源化の観点から見ると、残渣が60%近くもあればリサイクル手法としてはいいとは思えないが~ エネルギーの面から見るとどういう評価なのかよくわからない。 既に、食品廃棄物バイオガス発電施設として実用化している城南島のバイオエナジーは、2010年度から「食品残さ由来バイオガスの都市ガス導管への注入・受入」という事業も許可が出ているようだ。東京ガスもいろんな意味で新しい事業への道を模索しているのだろうか?
バイオエナジーhttp://www.bio-energy.co.jp/

13 繊維の反毛リサイクル、現場からの報告 
<東京都立産業技術研究センター:大橋健一>
研究の目的:10%程度と低い、繊維のリサイクル率アップ
内容:リサイクル配慮型アパレル製品設計の検討
反毛(はんもう)とは:廃棄された衣類、布地、糸などの繊維製品を裁断、徐々にほぐしていき、綿の状態に戻すこと。綿に戻された繊維は、糸に紡いだり、固めてフェルトにするなど、再生利用される。
繊維リサイクル業の調査:古衣料回収・選別業、原料商。自治体、地域集団回収の衣料を買う。集めるコストは、古紙の4倍。 集めたものは、①古着(東南アジアへ輸出春夏物) ②ウエス(綿65%以上はウエスに加工)③反毛原料(秋冬物)④廃棄(産業廃棄物として処理・廃棄コストが経営を圧迫)
反毛業界の現状:組合員数78社(H20年度)ほとんど小規模企業←岡崎市に集中(70%)、かっては400社
原材料が不足している。利益が出る値段で、原料仕入れが困難。(梱包・輸送費) ←後継者不足で廃業など
まとめ:アパレル業界が、自らリサイクル製品の企画を広げていけば、リサイクル率の向上を図れる可能性がある。繊維の動脈産業と静脈産業および行政が情報を交換・共有化し、連携してリサイクル率の向上を図っていく必要がある。
リサイクル率向上のため、従来の技術を理解した上で今後の展望を明確にし、行政も参加し、ごみ収集等も含め新しいルール作りを行う時期にきている。
*「各種リサイクル法制定時に、繊維製品においても法制化に向けた準備が進められたが、いろんな経緯で見送られた~という話はショックだった。業界内部でもいろいろあったのだろうが、まだその当時は商売として回っていたということなのだろう。もし、繊維もリサイクル品目になっていたら、いろいろ世の中変わっているだろうな。今や、中国などを中心とした輸入品(使い捨てなのかというほどの粗悪な)衣類が山と出回っている。フリーマーケットやリサイクルショップで活用されるのはごく一部、やはり大量の衣類は捨てられている。ほんとうになんとかならないものか~

第五部 調査・研究・新たな取組み
14 清掃技術訓練センター 訓練紹介
 
<清掃技術訓練センター:綱川惠子>
職員の清掃技術(能力)の向上を目的とした研修施設:ベテランを活用した、若手・中堅職員を対象に、少人数・短期集中方式、実際の工場設備を使い、訓練を実施する施設
*21年度当初予算(運営:約7千8百万円)をみたときも驚いたが、清掃が移管されて清掃一組ができて何年になるというのか、いまごろこんなことで大丈夫なのだろうか?安心・安全のごみ処理は出来ているのだろうか?? とても心配である → だから清掃技術訓練センターなの?
移管から6年間の派遣期間も最初からわかっていたこと、順次、区職員の派遣・しかし区職員は任期が終われば区に戻る、エコサービスで乗り切れると思ったのか。そして身分切替の後は、さらに、職員や管理職の求人募集、外部委託、不安材料ばかりだ~

平成21年度組職員の割合
各区からの派遣職464人:清掃一組固有職750人

15 清掃工場における自動制御システム紹介 
<墨田清掃工場:岡田真一、品川清掃工場:岡田吉雄>
はじめに:清掃工場では自動制御システムを中心とした制御が行われている。そのため、清掃工場の安全・安定操業に自動制御システムの理解を深めなければならない。
おわりに:全産業のプロセス制御ではフィードバックPID制御が主流であり清掃工場もその一つである。自動制御システムの考え方と手法の概要が分かれば、より詳細な内容とシンプルな動作原理に気づくことが多くなるのではないだろうか。
*システムについてはほとんど理解できなかったが、今やいろんなところに自動制御が使われているのは分かる。機械がいろんな事を自動的にやってくれるのだろう。でも、私たちがイメージするのは、自動的に制御しているということは、何らかのトラブルがあれば自動的に関知して、音なり、光なり、停止するなりして、警告を発してくれているのではないかと~
品川清掃工場の事故の際も、そもそも危険な箇所に人が入りそうになったら、警告を出すなり、止まるなりする必要がある。しかし、止まっていた場合は~ やはりなにか作業をする場合は、電源を切ってやるという基本的なことをやるしかないのかな。では、世田谷の炉を止めずに針金など撤去するというのはどうなのか?よくわからない。よくわからないと混乱しながら聞いていた。
開会の挨拶の副管理者(?)、「昔は運転技術も感覚的なことでも~ 今はいろんなものが機械・自動運転に変わっている、しかし最終的にはそれも人が動かすのだから~」というようなお話があったが~ 本当にそうなのだろう。システムや機械を知って、人がそれを動かさない限りは、機械に頼りすぎるとおもわぬ事故やトラブルは起きる。


16 廃プラスチックのサーマルリサイクル実証確認について 
<企画室:能戸守、後藤巌>
実証確認結果のまとめ
周辺環境への影響:基準値のある項目は法律、条例、協定値以下、基準値のない項目は実施前と同程度。
廃プラ混合可燃ごみ焼却前後で大きな変化はみられなかった。
施設への影響:今後の課題として継続して調査していく
* なかなかコンパクトにまとめて、堂々とした報告であった。
また、誤解を招く言い回し「環境に影響はなかった」「問題はなかった」というよう発言も一切なかったのでよかった。必ずや環境に影響は与えているし、問題はいろんな面で必ずあるはずなので、それを「ない」といってもらっては困るので。


●いつも発表者はそうなのか、若手中心の発表になっていた。とてもいいことである。
清掃工場の内部でどんなことが起きて、どんなことをしているのかなど全く分からないので、とてもいい勉強になった。いろいろ創意工夫をして仕事をされているということは、しっかりと伝わってきた。
なかでも、質疑の時に、「我が一組」と堂々と答えた若者は、自然にでたのだろうが、自分の職場・仕事に誇りを持っているのだろう。(会場が一瞬どよめいた気もしたが~)今時というか、今の一組体制、区からの派遣職員との混合で、なかなか貴重な存在でもあろう。しかし、組織自体の信奉者のようになってしまうと危険に思う。今時、仕事だからと、何でもかんでも組織の言いなりになる人間はいないだろうが~。あくまでも、組織の掲げる理念や目標に向かって仕事をする、組織の進んでいる方向が間違っていると気がついたら、どんどん改善・改革・提案、内部告発でも辞さない構えで~ 本当の意味でのそれが組織のためになると思って。 今日のような技術発表会、改善提案制度もあるのだろうから心配はないだろうけど。



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