日立造船株式会社は、日本アイ・ビー・エム株式会社とごみ焼却発電プラントにおける「燃焼の異常検知」と「燃焼の安定・最適燃焼値の導出」を中心とする最適運転管理システムの構築に関する取組みを開始
日立造船株式会社(以下日立造船)は、このほど、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下日本IBM)の協力により、ごみ焼却発電プラントにおける「燃焼の異常検知」と「燃焼の安定・最適燃焼値の導出」を中心とする最適運転管理システムの構築に関する取組みを開始します。
また、日本IBMはこの取組みにおいて、異常の早期発見から対応するアクションの迅速化に対応するためのソリューションである「Predictive Asset Optimization (PAO)」を提供します。
今回取組むテーマは次のとおりです。
テーマ1.燃焼の異常検知
現在は、熟練オペレーターが監視システムの画面を見て異常発生の有無およびその対処法を判断するが、人が
気づく前に異常を検知できるようにする。
テーマ2.燃焼の安定・最適燃焼値の導出および短期的な燃焼パターン予測
プラントの機器に無理な負担をかけず、排ガスやダイオキシンの発生を抑える環境性能を最大化して、最も効率
よく燃焼させる条件を導く。また、10分から30分程度先の燃焼パターンの予測を可能とする。
日立造船は、ごみ焼却発電プラントでのICT活用として2001(平成13)年にremonシステム※1、2011(平成23)年にmaronシステム※2、2013(平成25)年にはCoSMoSシステム※3を開発し、日立造船が納入したプラントに採用するなど、10年以上にわたり当社の遠隔監視・運転支援センターを中心にICTの活用および複数プラントでの情報のビッグデータ化・共有化などを進めてきました。
今回の取組みでは、日立造船が長年蓄積してきたビッグデータなどに日本IBMの「PAO」を適用することで、テーマ1の「燃焼の異常検知」では、オペレーターが判断する前に異常を検知できるように、蒸気量、炉内温度、ごみ投入量といったセンサーの相関関係から得られるデータを分析し、事前に予測できるかを検証していきます。また、テーマ2の「燃焼の安定・最適燃焼値の導出」では、NOxやCOと言った排ガスやダイオキシンなどの有害物質の発生を抑え、設備に影響を与えずに最も効率よく燃焼させることや、最も安定的に燃焼する条件をビッグデータの解析により検出し、その条件を維持可能とする適切な制御を行うことで、燃焼悪化による発電ロスを最小化させる(最も高く売れる時間帯に最大熱量を発生させ売電する)検証を行います。併せて、ビッグデータを解析することで10分~30分程度先の燃焼パターンを予測する検証を行います。
日立造船では、従来の遠隔監視で培ったノウハウをもとに運転支援システムの開発・導入を進め、プラント側の運転管理の負担を大きく軽減できる遠隔管理への移行を進めてきましたが、上記検証を通じて最適運転管理システムを構築し、完全自動化の実現へとつなげることを目的としています。
日本IBMは、設備や機器などから得られるビッグデータを解析してトラブルの予兆を検知し、品質・サービス・保全領域の最適化を支援する異常検知・予防保全対応ソリューションである「PAO」を提供します。日本IBMでは、IBMグループがグローバルで蓄積してきた異常検知・予防保全における知見を生かしながら、PAOに関するコンサルティングだけでなくPAOを活用した新たなビジネスのコンサルティング、IBMの分析ソフトウェア「IBM® SPSS」や予知保全ソリューションのソフトウェア「IBM Predictive Maintenance and Quality(IBM PMQ)」などを活用し、お客様の資産効率最大化および最適化を支援します。またIBMの東京基礎研究所の研究員も参加しIBMの最先端のデータ解析技術の適用を検討していきます。
近年、ごみ焼却発電プラントは、ライフサイクルコストの低減などを目的として民間企業に運転や運営を委託するケースが増加傾向にあります。また、ごみ焼却発電が再生可能エネルギーの1つと認められていることから、発電所としても期待されています。
日立造船は、国内約65プラントでの運転および20プラント以上での運営を行っていますが、プラントの最適運転管理による売電コストパフォーマンスの向上や省人化を図り、従来の遠隔監視・管理から完全自動化に昇華していくことで、環境ソリューション事業の更なる効率化を進めていくと共に、舶用ディーゼルエンジンや橋梁、シールド掘進機など他の分野にもICTやビッグデータを活用していく所存です。
(終)
※1 remonシステム(remote monitoring system:レモンシステム)とは、ごみ焼却プラントの運転状況を当社の
遠隔監視センターが遠隔監視し、設計検証や経年変化の確認、運転アドバイス、トラブル発生時の技術支
援を行うためのシステムです。プラント間の情報共有が可能なようにネットワーク構築を行っており、技術の
水平展開を積極的に推進していきます。
※2 maronシステム(maintenance assist remote online system:マロンシステム)とは、プラント内の全域をカバー
する無線LAN網を介して、現場の任意の場所に設置した仮設カメラ等を通じて、リアルタイムに情報を発信する
システムです。画像・動画の情報を遠隔監視センターおよび各施設間で共有することによりトラブル時の現場
対応を支援します。
※3 CoSMoS(Combustion Sensing Monitor System:コスモス)とは、学習機能を持った燃焼画像認識システム
です。本システムにより、燃焼状態を調整する手動操作を補助することができ、現場の作業を軽減することが
可能となります。また、remonシステムやmaronシステムと組み合わせることにより、プラントの省人化や最適
運転を可能とします。
<報道関係者お問合せ先>
日立造船株式会社 総務・人事部 広報グループ 中尾、山本 Tel:06-6569-0013
東京総務グループ(広報)永井 Tel:03-6404-0802
日本アイ・ビー・エム株式会社 広報 下岡 Tel:050-3150-5503
広報代表 Tel: 03-3808-5120
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