東京新聞「東海第二の延長認める 最長20年、規制委手続き終了」から
福島第一原発の事故により、首都圏のいずれの地域も放射性物質の放出による多大な被害を受けて、今なを、その汚染廃棄物の始末さえできいていないというのに、、、なんてこった!!
原子力規制委員会は7日の定例会合で、今月27日で運転期限40年を迎える東海第二原発の、最長20年の運転延長を認めた。委員の全員が延長に賛成したというのだから、、、、東海第二原発はすでに新規制基準に適合しており、再稼働に必要な規制委員会の審査を終了したことになる。ただし、稼働には、県と地元の東海村を含め周辺の水戸市など6つの自治体の事前了解が必要。一自治体でも反対すれば再稼働はできない。
ほんとうに、首都圏に一番近い老朽化原発の再稼働など許しがたいこと。それも、防潮壁の改良など再稼働に向けた安全対策に必要な工事費を東京電力が支援するなどというとんでもない話しもある。そもそも日本原子力発電(株)は、財源不足で破綻の危機にもあるというのだから、そんな会社が老朽化原発の運転延長、再稼働などと、、、
東京電力も東北電力も、傾きかけた電力会社の救済措置、、
原子力規制委員会は電力会社への忖度なのか、世界一甘い新安全基準
福島原発事故を起こした東京電力は、諸々の事故収束費用や賠償費用も何兆円という国の支援を受けている身で、いまだに原発依存、原発推進、原発再稼働、原発頼みの日本のエネルギー政策
東京新聞 2018年11月7日
原子力規制委員会は七日の定例会合で、今月二十七日で運転期限四十年を迎える日本原子力発電(原電)の東海第二原発(茨城県東海村)について、最長二十年の運転延長を認めた。東海第二は新規制基準に適合しており、再稼働に必要な規制委の審査を終えた。稼働には県と三十キロ圏の水戸市など六市村から同意を得なければならず、一自治体でも反対すれば再稼働できない。 (越田普之)
関連(本ブログ)
■首都圏の老朽化原発 東海第2原発(沸騰水型炉)、再稼働の前提となる審査に正式に合格、東日本大震災で被災した原発では初めて、2018年09月27日
■東海第2原発は首都圏原発 20年運転延長を止めよう!(東海第 2 原発の運転延長・再稼働反対署名など)2018年07月13日
東海第二原発再稼働をめぐり採択された意見書及び決議
茨城県
水戸市「東海第二原子力発電所の住民理解のない再稼働を認めないことを求める意見書」
土浦市「東海第2原発の再稼働中止と廃炉を求める意見書」「日本原子力発電東海第二原発の再稼動を断念し廃炉を求める決議」
石岡市「運転期間40年を迎える原電東海第二発電所の運転期間延長を行わないことを求める意見書」
龍ケ崎市「運転開始から 40 年を超える東海第二原発の運転期間延長を行わないことを求める意見書」
下妻市「日本原電に対して、東海第二原発の運転期間20年延長の申請をしないように求める行動を要請する意見書」
取手市「東海第2原発の廃炉を求める意見書」
牛久市「まもなく40年を迎える東海第2原発の20年延長の申請をしないように求める意見書」
鹿嶋市「運転開始から40年を超えた東海第二発電所の運転期間延長を行わないことを求める意見書」
守谷市「東海第2原発の廃炉を求める意見書」
つくばみらい市「まもなく40年を迎える東海第二原発の20年延長の申請をしないよう働きかけることを求める意見書」
北茨城市「東海第二原発の廃炉を求める意見書」
高萩市「東海第2原発の廃炉を求める意見書」
笠間市「東海第二原発の「安全協定見直し」に関する意見書 」
つくば市「東海第二原子力発電所の廃炉を求める意見書」 「東海第二原子力発電所の再稼動を認めないことを求める意見書」
筑西市「東海第二原発の廃炉を求める意見書」
古河市「東海第2原発の廃炉を求める意見書 」
常総市「東海発電所及び東海第二発電所の安全性確保と廃炉を求める意見書」
常陸太田市「東海第二原子力発電所の20年延長稼働に反対する意見書」の採択を求める請願
小美玉市「東海第二原発の廃炉を求める請願」
結城市「東海第二原発の廃炉を求める意見書」
阿見町「東海第二原発の廃炉を求める決議」
八千代町「東海第二原子力発電所の廃炉を求める意見書」
茨城町「運転開始から9年を超えた東海第二発電所の運転期間延長を行わないことを求める意見書」
五霞町「まもなく40年を迎える東海第二原発の20年延長の申請をしないよう働きかけることを求める意見書」
境町「まもなく40年を迎える東海第二原発の20年延長の申請をしないように求める意見書」
利根町「まもなく40年を迎える東海第二発電所の20年延長の申請をしないよう働きかけることを求める意見書」
美浦村「東海第二原発の廃炉を求める意見書」
常陸大宮市「東海第二原発の住民同意のない再稼働に反対する意見書」
茨城県の意見書等に関する新聞記事
茨城新聞 「東海第2原発 17市町村「延長反対」 議会意見書」(2017年11月1日)
東京都
西東京市 「東海第二原発の運転延長を行わないことを求める請願」(2018年9月)
千葉県
流山市 「東海第2原発の廃炉を求める意見書」(2011年12月)
野田市 「東海第二原発の廃炉を求める意見書」(2012年3月)
我孫子市 「東海第二原子力発電所の廃炉を求める意見書」(2012年9月)
「東海第二原発の運転期間延長を行わないことを求める意見書」(2018年3月)
銚子市「東海第2原発の再稼働と運転期間延長を認めないことを求める意見書について」(2018年6月)
多古町「東海第二原子力発電所の再稼働と運転期間の延長を認めないことを求める意見書」(2018年6月)
成田市「東海第2原発の再稼働及び運転延長を認めないことを国に求める意見書」(2018年6月)
栃木県
那須塩原市「東海第二発電所の稼働延長を認めない意見書の提出について」(2018年6月)
那珂川町「東海第二原発の稼働延長を認めない意見書」(2018年6月)
茂木町「運転開始から40年を迎える東海第二原子力発電所の再稼働を認めず、廃炉を求める意見書」(2018年6月)
益子町「運転開始から40年を超える東海第二原子力発電所の運転期間延長に反対する意見書」(2018年6月)
市貝町「東海第二原発の運転期間延長に反対する請願」(2018年9月)
芳賀町「東海第二原発の稼動延長を認めない意見書の提出を求める陳情」(2018年9月)
真岡市「東海第二原発の運転期間延長に関する請願」(2018年9月)
埼玉県
鳩山町「老朽化した東海第二原発の運転期間延長を行わないことを求める意見書案について」(2018年9月)
吉見町「老朽化した東海第二原発の運転期問延長させないことを国に求める請願」(2018年9月)
草加市「東海第二原子力発電所の住民理解のない再稼働を認めないことを求める意見書」(2018年9月)
吉川市「東海第二原発の再稼動は認めない意見書」(2018年9月)
東松山市「老朽化した東海第二原発の運転期間延長させないことを求める意見書」(2018年9月)
富士見市「東海第二原発の運転期間延長を行わないことを求める意見書」(2018年9月)
熊谷市「老朽化した東海第二原発の運転期間の延長をさせないことを国に求めることに関する請願」(2018年9月)
志木市「老朽化した東海第二原発の運転期延長させないことを国に求める請願」(2018年9月)
越谷市「老朽化した東海第二原発の運転期間延長をさせないよう国に意見書の提出を求める件」(2018年9月)
新座市「東海第二原発の延長運転を行なわないよう国に求める意見書」(2018年9月)
久喜市「東海第二原子力発電所の運転期間を延長しないことを求める意見書」(2018年9月)
東海第二原発の再稼働に反対するこれだけの理由
本日(2018年9月26日)、原子力規制委員会は日本原電・東海第二原発の設置変更許可を行いました。私たちは、これに抗議するとともに、以下の理由で東海第二原発の再稼働に反対します。
1.危険な老朽・被災原発を動かす理由がない
東海第二原発は運転開始からまもなく40年を迎える老朽原発です。交換できる箇所を交換したとしても老朽化に伴い危険は増大します。40年以上の原発は、よほどのことがない限り動かさないという「40年ルール」はいつの間にか骨抜きになってしまいました。
東海第二原発は、東日本大震災で被災しました。外部電源を喪失して3日以上かかってかろうじて冷温停止し、それ以来停止したままです。地震によってどのような被害をうけているのか、すべてが確認できているわけではありません。
東日本では3・11後、原発は一基も動いておらず、電力供給は安定しています。今年、記録的な猛暑に見舞われましたが、節電要請はだされませんでした。福島第一原発事故は継続中であり、事故原因の検証も終わっていません。
こうした中、危険な老朽・被災原発を動かす理由がありません。
2.「経理的基礎」がない/東電からの資金支援は論外
原子力事業者の「経理的基礎」は、審査の項目の一つですが、日本原電に経理的基礎はありません。
日本原電は、敦賀原発1・2号機、東海第二原発が動いていた2003~2010年の純利益の平均は17億円で、東日本大震災以降2011年~2017年の平均は25億円の赤字です。
2012年以降、発電量はゼロですが、東京電力、関西電力、中部電力、北陸電力、東北電力から、毎年1,000億円以上の電気料金収入を得て、延命しています。その額は、総額7,350億円にものぼります(2012~2017年度)。すなわち、日本原電の延命のための資金を、日本原電から1Whも買っていない全国の電力ユーザーが負担しているのです。なかでも最も高額の基本料金を支払っているのは東電であり、その金額は2011年度~2017年度は累計3,228億円にものぼります。この不明朗な実態自体、問い直されるべきでしょう。
とりわけ東京電力には、多額の公的資金が注入されており、本来、賠償や廃炉に全力を注がなければならないはずです。1Whも電気を買っていない日本原電に巨額の電気料金を支払い続けていることは、国民や被害者に対する「背任」行為なのではないでしょうか? ましてや、これ以上の財政的支援など論外です。
図1 日本原電の純利益の推移 >拡大 |
図2 各社から日本原電への電気料金への推移>拡大 |
3.「債務保証」?「電気料金の前払い」?
原子力規制委員会は、日本原電に対して、債務保証の枠組みとして、だれが債務保証を行うのか、その意思はどうかについて、書面で示すことを要求しました。日本原電は2018年3月14日付で、東京電力と東北電力の二社に対して、支援の意向を文書で出すように求める書面を提出しましたが、ここで、債務保証のみならず「電気料金前払」という言葉を入れました。
この経緯は定かではありませんが、みずほ銀行などのメガバンクたちは、債務保証をつけた融資にさえ二の足を踏んだ可能性もあります。いずれにせよ、日本原電がたとえ震災前の経営状況(平均17億円の黒字)に回復でき、それをすべて返済にあてたとしても、安全対策費1740億円を返済するのには100年以上かかることになります。
参考>日本原電に東海第二原発を動かす「経理的基礎」はあるの?(FoE Japanブログ)
日本原電から東電・東北電にあてた資金支援の依頼文書 >拡大 |
東電からの回答>拡大 |
4.事故の際の賠償は?~「最後は国が補償」として事業者責任を放棄
前述のように、日本原電の財政状況は「火の車」状況です。万が一、原発事故を引き起こしても、賠償の備えは全くといってよいほどされていません。
現在の「原子力損害賠償法」では、原子力事業者が事故前に保険などで備える賠償金(賠償措置額)が1200億円となっています。しかし、東電福島第一原発事故では、現時点で見積もられているだけで7兆円をこす賠償金が発生し、この賠償措置額を大きく上回りました。除染や事故収束にかかる費用も入れれば政府試算で21.5兆円とされており、この額はさらに上振れするとみられています。
日本原電も、少なくとも7兆円の賠償に備えるべきでしょう。
しかし日本原電は、今年3月7日の住民への説明会で「最後は国が補償する」と発言。事業者としての責任を放棄しています。
>参考)東京新聞 茨城版2018年3月7日付「事故発生時 原電「国が補償」 「東海第二」25回の住民説明会終わる」
5.パブコメ終了後も、2回も補正書を出し直し
日本原電の設置変更許可申請は、何度も補正書が提出されています。第4回の補正書に基づき、審査書案が作成され、それがパブリック・コメントにかけられました。しかし、その後も2度にわたり補正書が出されています。第5回目の補正書が提出された9月12日のわずか6日後の同18日には、 第6回目の補正書が出されました。補正は第5回の補正書だけでも100箇所以上にも及びます。
修正内容については、少なくとも公開の場では議論されていませんし、パブコメ対象であった「審査書案」にも反映されていません。11月28日の工事計画認可、運転延長許可に間に合わせるために、「スケジュールありき」で審査を急いだためと思われます。
安全対策の内容にもかかわる修正もあります。原子力規制委員会は審査をやり直し、パブコメをやり直すべきではないでしょうか。
6.懸念だらけの安全対策
安全対策には多くの懸念があります。以下はその一部にすぎません。
全長約1,400kmのケーブルのうち、「難燃ケーブル」もしくは「今後難燃ケーブルに取り換える」ものは一部でしかありません。その他については一部防火シートでまく対策がとられようとしていますが、防火シートを通してケーブルが加熱され被覆材が熱分解を始めたり、条件次第では、火災がケーブルに伝わって拡がり、消火が極めて困難となるといった状況が懸念されます。
東海第二原発の格納容器はMARKII型。万が一の事故で炉心溶融が発生した場合、真下に水深1メートルの水を貼ることになっていますが、そこに高温の炉心が落下したときに、水蒸気爆発の危険性があります。しかし、審査では可能性が少ないため、無視してよいとされ、そのリスクが検討されていません。
(上図 原子力規制庁説明資料より )
赤城山噴火時における火山灰を50cmと見積もっていますが、このように大量の火山灰が積もった時に、果たして正常の作業ができるのでしょうか。原子炉建屋の強度不足や非常用発電ディーゼルの目詰まりなども懸念されます。
緊急時対策所は、免震構造になっていません。
7.避難計画の実効性は誰も審査しない
東海第二原発30km圏には96万人が居住しています。万が一の事故の際、影響する範囲はさらに広がるでしょう。避難計画の立案は自治体まかせにされています。
茨城県が過去に実施したシミュレーションによれば、5km圏の住民8万人が、5km圏外に出るまでに30時間かかるとされています。また、体が不自由な要支援者を避難させるための車が確保できないことから、茨城県は、病院や施設などに「屋内退避」させる方針です。しかし、いつ救援がくるかもわからない中での屋内避難は、要支援者を見捨てることにもなりかねません。
原発事故が単独で生じるのではなく、地震、津波、豪雨、積雪などと同時に生じる複合災害となる可能性は十分考えられますが、現在の計画をみる限り、複合災害には対応できていないのが実情です。水没、地震による破損、積雪により、避難道路が通行不可能になる事態も十分考えられます。
こうした避難計画の実効性を誰も審査することなく、原発の再稼働を容認するのは無責任です。
原子力規制を監視する市民の会