自分のために読む、古典のひと言

昔の本を読んで、考える。昔の人は、何を思ったのか。

諸人から意見があったならば、これに逆らうようなことをせず、

2020-04-19 | 自分自身
諸人から意見があったならば、これに逆らうようなことをせず、十分に反省すべきである(武田信繁)。

◇読んで思ったこと:反対意見が上がってきたなら、まずは聞く姿勢を持つようにしたい。反対意見に対して即反論していると誰も意見してくれなくなる。
◇引用元:桑田忠親「武士の家訓」講談社学術文庫

手際のよい合戦をやって大勝利を得て後、おごりの心が出てきて、

2020-04-18 | 自分自身
手際のよい合戦をやって大勝利を得て後、おごりの心が出てきて、敵を侮り、不行儀をすることは必ずあるものである。こんなにして滅んだ家は昔から多い(北条氏綱)。

◇読んで思ったこと:事業に成功すると「自分の実力」「自分は優れている」と考えがちで、そうなると人を見下したり問題を直視せず楽観視するようになりがちである。人を見下せば他者の意見を取り入れることができず、自分一人の能力で切り盛りするしかなくなって、能力の限界にぶつかるだろう。問題を直視せず楽観視していれば、より慎重に入念に準備してきた者に打ち負かされるであろう。一つの成功で自己過信しないように注意したい。松下幸之助のいうように、「成功したら周りのおかげ、失敗したら自分に原因を求める」という態度を持っていたい。
 成功が続くといつしかおごり高ぶり、おごり高ぶると反省や準備を軽視して、いずれ大きな失敗や挫折を経験することになる。しかし自分が「おごり高ぶる」という状態に陥っているということを、自分自身で気づくのは難しい。利害関係を持たない人で、自分に対して客観的に率直な意見を述べてくれる相談相手を身近に持っておきたい。
◇引用元:桑田忠親「武士の家訓」講談社学術文庫

人々の意見をよく聞いて立派な意見が埋もれてしまうことのないようにし、

2020-04-18 | 自分自身
人々の意見をよく聞いて立派な意見が埋もれてしまうことのないようにし、人材を見出して賢臣が登用されずに忘れられているということがないようにする(書経)。

◇読んで思ったこと:人は成長するものだから、過去の評価や印象をいつまでも固定的に持っていると人を見誤ることになる。
◇引用元:古典文学大系「書経・易経」平凡社

人のために事業を起こすものは衆人がそれを助ける

2020-04-17 | 自分自身
人のために事業を起こすものは衆人がそれを助ける。自分のために事業を起こすものは衆人に遠ざけられる。衆人に助けられればたとえ弱勢でも強くなるし、衆人に遠ざけられればたとえ大軍でも滅びることになる(淮南子)。

◇読んで思ったこと:新事業を興すときには、自分の動機を洗練化すること。私利私欲が出発点ではない。
◇引用元:古典文学大系「淮南子・説苑」平凡社


事業において向こう見ずの人は必ず失敗する。一方、あまり物事に用心しすぎると

2020-04-17 | 自分自身
事業において向こう見ずの人は必ず失敗する。一方、あまり物事に用心しすぎるとすべてに怖くなって手出しができないようになる(渋沢栄一)

◇読んで思ったこと:ものごとの流れをよく観察しながら、リスクをふまえて決断する。決断は早すぎても失敗するし、遅すぎても失敗する。しかし適切な決断時期を見極めるのは難しい。経験が必要になる。ただし経験は疑似体験でもよい。人が決断に迫られている場面に遭遇したら、自分ならどうするかを考えて、その後の結果をよく観察する。疑似体験で修練する場は世の中にたくさんある。
◇引用元:竹内均「渋沢栄一 論語の読み方」三笠書房

自分にとって心持ちのよい人によく振る舞い、悪い心持ちを抱かせる人に

2020-04-16 | 自分自身
自分にとって心持ちのよい人によく振る舞い、悪い心持ちを抱かせる人に辛くあたるのは、非常に不満足な態度というべきだ(北条重時)。

◇読んで思ったこと:好きな人の短所を見極め、嫌いな人の長所をよく見極めるようにする。ある人がどうしても好きになれないときは、その人の能力に着目するとよい。
◇引用元:桑田忠親「武士の家訓」講談社学術文庫

教える方では必ず正しい道理を行うようにときびしく教えるものだが

2017-07-30 | 自分自身
教える方では必ず正しい道理を行うようにときびしく教えるものだが、もし教えた通りにうまくゆかないと、そのあとついつい腹を立てて怒ってしまう。がんらい善くするつもりで始めたことが、反対に愛情を損ねる結果になってしまう(孟子)。

◇読んで思ったこと:成長の度合いに応じて投げかける言葉を考える。教えるタイミングは自分の都合で考えるのではなく、相手の立場で考えてみる。
◇引用元:金谷治「孟子」岩波文庫

羽毛も積みに積めば舟を沈ませ、軽い荷物も山積みすれば車軸をへし折る

2017-07-30 | 自分自身
羽毛も積みに積めば舟を沈ませ、軽い荷物も山積みすれば車軸をへし折る。ゆえに君子は微小のうちに禁制する(淮南子)。

◇読んで思ったこと:たいしたことないと思って軽く見ていると、被害が想像以上に拡大し、取り返しのつかないことになる。
◇引用元:古典文学大系「淮南子・説苑」平凡社

他人を頼りにするよりは、自分自身を頼った方がよい

2017-07-06 | 自分自身
他人を頼りにするよりは、自分自身を頼った方がよい。他人が自分のためにしてくれるのをあてにするよりは、自分で自分自身のためにする方がよい(韓非子)。

◇読んで思ったこと:他人の行為を織り込んだ計画は先々実現が難しくなる。自力でやっていけるような範囲で準備をしておく。
◇引用元:金谷治訳「韓非子」岩波文庫

人の心は抑えつければ沈み、おだてれば高ぶって

2017-06-23 | 自分自身
人の心は抑えつければ沈み、おだてれば高ぶって、高ぶったり沈んだりしながらやつれ衰えていくものだ。善くしようなどと考えて縛り付けてはならない(荘子)。

◇読んで思ったこと:自分の後継者を育てようなどと意気込むと、一方的な価値観の押し付けになりやすい。相手本位に考えなければ、人材育成はうまくいかない。
◇引用元:金谷治訳注「荘子」岩波文庫