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吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

金色の世界

2020年08月30日 | モノ

ちょっとしたお買い物。

伊那のグリーンファームの骨董、古道具コーナーは危険だ。

中には寺や神社から出たと思しきものもあるのだ。
今回引っかかってしまったのは古鏡。
なんかねえ、こう、引き寄せられてしまうことがあるのだよ。

木製の箱入りの和鏡。
なんか鏡っていわく付きっぽいよねー。
執着とか情念とか絡んでそうだよねー。

だがしかし、そこに何があろうとオレの闇ほどは深くないんだぜ?

鏡面の傷を磨いたら表面のめっきが落ちてしまったのだった。
青銅の地色の金色である。

和鏡の鏡面は伝統的には錫アマルガムめっきである。
アマルガムは水銀合金だな。
水銀があれば多分自分でも出来るけど若干危険ではある。
江戸時代、和鏡の再めっき屋に若者は居なかったという。
経験的に危険性はわかっていたのかも知れない。
昔は歯科治療にも使っていたけどね。

裏面には唐草地に五三桐

銘は 天下一藤原吉次 てんかいちふじわらのよしつぐ 
同時代で人形浄瑠璃の創始者のひとりに同名の人物が居るようだが詳細は不明。

和鏡の銘に「天下一」というのは織田信長が職人のモチベーションアップのために許可したらしいが、その後あまりに多用されたため、天和2年(1682年)に使用を禁止されたという。
ってことは、ホンモノだったら1682年以前のモノ?
そんなに古いの?

ヨハン・ゼバスティアン・バッハ  生まれてないじゃん!

ヤフオクとかで調べてみると、やはり相場は安いようだ。
へぇぇ。モノの価値はわからんものだ。

ちなみにこれは500円税込み。

箱はこんな感じ。外箱の円周のフチが欠損している。

こんな風に。

まあ、作れるけど。

鏡面は再めっきをしたいところで、この際電気めっきのクロムめっきやニッケルめっきでも良いかと思っていくつかめっき業者に問い合わせてみたのだけれど、どうも良い返事が無い。
技術的難度は非常に低いと思われるのだけれどね。
鏡はお嫌?

錫めっきだったら、電気めっきと溶融めっきが自分では出来そうなのだけれど、古い合金、つまり純度が不確定な合金を酸や熱に晒すのは抵抗がある。
それで、当面それっぽくするのに、塗るとめっき調になる塗料を2種試してみたのだけれど、不思議と塗料が乗らないのだった。

拒否されてる?

まあ、急ぐわけじゃなし、やってくれる人か自分でやる決心がつくまでこのままで良いか。

鏡に映る少し歪んで金色の世界も悪くないかな。
意外と柔らかくて優しい世界だし。



そのうち縁があればどうにかなるだろう。

 


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