吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

ブリヂストン グランテック

2020年08月13日 | 自転車

頂き物です。

一度だけ仕事で訪れたお宅の方からわざわざご連絡頂きました。
感謝に堪えません!

ブリヂストン グランテックGR-27 です。
27というけれど、正確には700cというホイール規格です。
現在最もポピュラーな規格ですが、この自転車の当時はマイナーでした。
26インチと27インチの中間の径ですが、インチの呼び寸法では28インチと呼ばれたりもします。
マウンテンバイク関係では29インチ(29er:ツーナイナー)扱いです。
自転車のタイヤ、ホイール規格は実はかなりめんどくさいので、その話はまたいずれ。

製造番号からすると、1985年6月製造らしいです。
あの頃僕は……、いかん、心が過去に飛んでしまったぜ。
室内保管だったので、すごく状態が良いです。
美車です、ビシャビシャです!

80年代の鉄フレームスポーツ自転車は線が細くて好きです。超好きです。

この自転車は最終的には26インチモデル(フレームは27と同じ寸法)が2000年代まで作られていたようなので、20年以上の実績があるわけです。
その間、グランテックからトラベゾーン、トランジットと名を変えています。

これは初期型になります。
どうもこの自転車の『進化』は主にコストダウンだったらしく、初期型の方がハイコストな造りです。

量産品には相反するケースがあります。

ひとつは『初期モデルを買う人は、人柱』。
もうひとつは『魂は初期モデルに宿る』。

初期モデルには初期トラブルという問題がしばしば(かなり)出て、後期になるほど改善されて行くということがあります。
製品を出してみたら不具合、クレームが出たりしてレベルを上げて適正化する流れ。

もうひとつは、気合入れて考えすぎて手をかけすぎて、採算が合わなかったのでレベルを下げる方向で適正化する流れ。
そこまでやらなくて良かったじゃん、とコストダウン。

同じ初期モデルでも前者なら残念で、後者ならラッキーなのです、所有者としては。
これは明らかに後者です。

うーん、良い造り。

部品のコンポーネントのランクはあまり高くないけど十分。

変形機構の関係で前は変速機無しの6段変速。十分だね。
後変速機(リヤメカ)はサンツアーARⅱ。知らんな。
ガタも出ていないので、継続使用。ただ、趣味で違うのを入れるかも知れない。

サンツアー、前田工業というのは今は無く、残党(敬称)が台湾で今でも頑張っているらしい。
この会社が持っていた『スラント・パンタ』スラント・パンタグラフの略、より英語的に好ましくはスラント・パラレログラムという機構は非常に優れた機構で、特許が切れた後、現在の世界の後変速機のほとんどがこの機構を採用しています。

変速機の動作軸が斜めになっていてギアに沿うように動くというのがキモです。
世界制覇出来るほど優れた機構だったのですが、企業力が足りなかったのか製品バリエーション展開がうまく出来なかった。
特許に保護されている間に世界制覇していたら……。
一部おっさんはそこにLOVE!
判官贔屓、真田LOVE、みたいな優れていたのに天が味方せず敗北してしまった者たちへの挽歌、的な。

錆に弱いと言われる変形レバー周りも少しのケミカル錆取りでキレイに。

変形レバーの先っぽにあるロックを外してレバーを引っ張り上げて。

変形開始!

ハンドルを90°回して、ペダルを折って、あっという間に完了!

背当てとストラップを用意すれば背負えるな!
袋を用意すれば輪行も出来るし。
クルマにも積みやすい。
しかも折りたたまない自転車と同等のフレーム剛性、精度、走行性能。
実に楽しみである。


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