
この道具は革スキ、革包丁という刃物です。
革を切る道具です。レザークラフトをする方にはお馴染みの道具ですね。
使い捨ての替刃式もありますし、安価な荒仕事用のものもありますが、これは良質な日本式刃物の構造、つまり軟鉄の地金と鋼を合わせた造りです。
以前、埼玉に住んでいたときに、家内が川越の刃物屋で買ってくれたものです。結婚記念日だったかな。
以来10数年使っています。
革製の鞘は、IBIZAのロゴがホックに入っています。
日本の革かばんメーカーですが、各地のデパートなどでイベントをしていて、その際に購入後の製品の修理などをしています。
そのとき、家内がついでということで、この革スキをかばん職人さんに預けて現物合わせで作ってもらったのです。
使い込んだ道具というのは見る人が見ればわかるので、それでかばん屋さんも作ってくれたのでしょう。
もう、その時点から2センチは刃が短くなっていますね。
オルガンの仕事では、特にふいご周りで革を使います。
山羊、羊の革が多いのですが、柔らかい革を切るには、固い牛革を切るよりもシャープな刃物が必要なのです。
革のへりを削ぐと接着後に剥がれにくく、見た目も良い(ただし上手に削いだ場合)ので、やりたい加工なのですが、きれいに削ぐにはそれなりの道具と慣れが必要です。
こんな風にガラス板の上で削ぎます
カッターナイフを始め、使い捨て刃物は安価で便利です。僕も使うことがあります。
でもやはり、良い道具を手入れしながら使う方が良いと思います。
道具というのは職人にとって非常に大切なものですが、命ではないと思っています。
職人の命は、「作る」ということに挑む執念やスピリッツです。
もっと簡単に言えば、何を作るかが大事で、そのための手段が大事なのではありません。
とはいえ、仕事の手段としての道具という要素と、趣味の対象としての道具という要素は、あいまいなボーダーラインをもって複雑に絡みあっていたりするものですけどね。
皆様にも長年使い込んだ道具はありますか?
私も、けっこう長年使っている道具ありますね。
料理用の木べら。実は私の母の代からのもので、こそげてずいぶん変形し小さくなっていますが、しっとりと手に馴染み、もうおまえしかいない!といった感じですね。(笑)
あと、20年くらい前にNYで買った、象印のライスクッカーいわゆる炊飯器。
いまだに毎日これでご飯炊いてます。
昭和レトロ調の白いボディに淡い花柄なんですが、見かけによらず頑丈ですね。
こちらも、やっぱりおまえだけ!といった感じですね。(笑)
僕がアメリカに居たのは10年前ですが、その当時でも炊飯器は手に入り難かったですね。
そもそも日本のご飯の炊き方「炊き干し法」自体が、米を茹でてから湯を捨てる「湯取り法」が主流の米食世界の中でも少数派ですからね。
20年前だったら、炊飯器はそれこそ苦楽を共にした仲間とか相棒といった感じだったのではないでしょうか。
実は、うちでは炊飯は圧力なべに完全移行していて、電気炊飯器はもっぱら甘酒の発酵用です。