吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

ウンコする機械

2009年05月11日 | オルガン
発音された瞬間からの音のキレイさでは電子楽器(その他スピーカーで鳴る楽器)に勝るものはありません。

残念なことに、パイプオルガンの台数は少ないので、電子オルガンで練習せざるを得ないことが多いのですが、その中で、実際のパイプオルガンの音に違和感以上の不快感を覚える人もいるようです。
まあ、もともと雑音成分の多い音を最低の場所(演奏台)で耳にするわけですから仕方がないといえばそうなのですが。

パイプオルガンと電子オルガンの音の差は生き物と作り物の違いにも似ています。
生き物は、手が掛かりますし、臭かったりウンコもします。

最近の電子オルガン(リアルを追求するタイプ)では、この雑音成分を再現したり、ランダムに音が発音遅れを起こしたりする機能があるらしいです。
いずれは、各パイプ1本1本の位置(演奏台からの距離、レイアウト)なども擬似的に設定、再現出来る電子オルガンも出るでしょう。
もうあったりして。

これは、技術というものの発達の方向性としてはよくあるものです。
つまり、限りない「リアル」の追求です。

この話で思い出すのは、18世紀の伝説的なからくり人形「ヴォーカンソンのアヒル」です。
台の上に固定されているとはいえ、このアヒルの動作はじつにリアルで、エサを食べ、ウンコもしたそうです。
もっともウンコはあらかじめ仕込まれたものなのですけどね。
このウンコする機械アヒルは当時大変な驚きを以って迎えられたそうです。

現実の楽器の欠点まで自由にしようとする電子楽器、不便で不自由な現実に居る僕達、さて、未来はどうなるんでしょうね?

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