華胥の国

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宮廷の諍い女における詩歌――第7話 山之高

2013-06-28 09:43:20 | 宮廷の諍い女

大雨で果郡王(実は皇帝)に会えなかった甄けいは、

琴を弾きながら、口にした「山之高」:

山之高 月出小

高い山から月がいずる

月之小 何皎皎

月は小さく見えるが、何と明るくて美しい

我有所思在遠道

思う人が今遠いところに

一日不見兮

一日会えないだけで

我心悄悄

心が寂寥になる

作者の張玉娘は、15歳で幼馴染の沈佺と婚約をしました。

二人とも学があり、とても仲がよかった。

この詞には、科挙試験を受けに行った沈佺への思いが託されています。

しかし、不幸なことに、沈佺は重い病気にかかってしまい、

それを知った張玉娘は、手紙を送り、「死んだら同じ墓に入る」と誓った。

沈佺は手紙を読んでとても感動し、張玉娘に会いに道を急いだが、やがて病死。

毎日涙が止まらない張玉娘は、再婚を拒否し、一人で寂しく暮らしていた。

上元の節、灯に向かって物思いに沈んだ張玉娘は、

ぼんやりと沈佺を見えた。

「約束だけは破らないでほしい」という言葉を残し、沈佺は姿を消した。

悲しくてやまない張玉娘は、「なぜ私を離れた」とひたすらつぶやき、

半ヶ月後、絶食で亡くなった。

本当に悲しい話でした(;;)

 

原作小説には、「なぜ前半の部分だけ詠んでいますか」と流朱に聞かれたら、

甄けいは「前半だけは気に入る」と答えた、というシーンがありました。

では、なぜ甄けいは後半の部分を気に入らないか、

まずは後半を見てみましょう。

汝心金石堅

あなたの心は、金石のように、

決して変わることがない

我操冰雪潔

私の心もまた、氷と雪のように清らか

擬結百歲盟

一生添い遂げると約束したものの

忽成一朝別

突然別れることになってしまった

朝雲暮雨心來去

朝の雲と夕暮れの雨は、私の心

千里相思共明月

遠く離れたこの思いは、

月に託すしかない

 

この「擬結百歲盟 忽成一朝別」を詠むたびに、

感傷な気持ちになります。

やはり、後半はあまりにも切なくて、

甄けいも、果郡王と関わってはいけないと分っていながらも、

まだ何となく憧れを持っているから、

後半の部分を詠まずにいたのではないかと、思います。

 

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