そんなあり得ないようなことを成し遂げたのが、日本の科学技術の結晶である小惑星探査機「はやぶさ」だ。
小惑星「イトカワ」が太陽の周りを回る公転速度は秒速30キロメートル ! それと同じ速度でぴったりマークしてランデブー飛行する「はやぶさ」を、例えるとそんな感じになるだろう。
近距離から写真を撮るだけでも快挙なのに、地球から3億キロメートル離れた小惑星「イトカワ」へ、再度着陸に成功した。
しかも「サンプラーホーン」から秒速300メートルで金属球を打ち出し、舞い上がった砂などを採取することにも成功した。
地球からの指令電波は片道約17分かかるそうだが、おんぼろ施設の内之浦宇宙空間観測所の関係者は、ハラハラドキドキの時を何度も繰り返したのだろう。
成功の瞬間の喜びは如何ばかりか。
故糸川英夫博士にちなんで名付けられた小惑星「イトカワ」(1998SF36)は、1度溶けて丸くなった巨大な惑星と違い、オヤジの好きな芋焼酎の芋のような格好をしている。
なぜそんなヘンな形のちっぽけな(長さ540メートル×270メートル×210メートル)惑星に行ったのかというと、溶けずに丸くない天体は、太陽系の創世や地球の起源を知る上で、非常に有効な「材料」を秘めている可能性が高いからだそうだ。
その土や岩石を調べれば、ひょっとすると地球や太陽系の秘密がわかるかもしれないという。
地球の「核」まで届く穴を掘って調べることが技術的にまだ出来ないので、宇宙から逆に発想するということだ。
「はやぶさ」が地球に帰還するのは2007年の6月。(当時の予想)
高効率の「イオンエンジン」で順調に飛行を続けても、1年半先だ。
無事に帰ってほしい、と「アルマゲドン」のリブ・タイラーのような心境であります。
人類がこれまで持ち帰った地球外の天体の一部は「月の石」のみで、NASAと比べると遥かに小粒だが、科学的成果のはかり知れないこのミッションにかかった費用は、たったの約127億円だ。
「ホリエモン」や「村上ファンド」が操る金よりもずっと経済的。
「ヒルズ族」のみなさんよ。自分らの懐を膨らますことばかり考えないで、こういった事業にもポンと金を出しなさいよってんだ。(そういえば、最近はぜんぜんヒルズ族なんて聞かないねぇ。勝ち組・負け組なんて言ってたヤツラもどこへ消えちゃったのやら)
吉本興行の宇宙船が飛び回るのもなんだかなと思うが、なるほど世の中は適材適所にお金が運用されていないもんだと、つくづく考えさせられる。
がんばれ「はやぶさ」!!
ということを旧ブログに書いたのが、2005年11月27日のこと。
それから遅れること3年、60億キロ、7年間の宇宙の旅を終えて「はやぶさ」が帰還した !!
様々なトラブルとアクシデントに見舞われ、何度も帰還が絶望視されたりしたが、そのたびに解決策を見つけだし、イオンエンジンの限界まで飛び続けた小惑星探査機「はやぶさ」は、日本時間13日午後10時51分、オーストラリア南部の上空で大気圏に再突入した。
最後に故郷・地球の姿を撮影し、小惑星「いとかわ」の砂が入っている可能性のあるカプセルを分離して、長いミッションを果たした「はやぶさ」は、地球の大気の中で燃え尽きて消滅した。
それはまさに、任務を果たすために自らを溶鉱炉の中に投じたT-800のごとく、はたまた、地球を救うために太陽に飛び込んだアトムを彷彿とさせ、さらに、大作少年の悲痛な叫びを振り切って飛び続けたジャイアントロボのようにも、オヤジには思えるのである。
命をもたない機械が、人智を越える感動をもたらしたその瞬間を、ワテクシは忘れないであろう。
おかえり ! そして、ありがとう「はやぶさ」 !!!
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